TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

Hotwax*trax  日活ロマンポルノの世界



 Hotwax*trax秘・色情めす市場/日活ロマンポルノの世界』が10月21日に発売されました。

収録曲
01. 煉獄のブルース(唄:宇崎竜童/梢ひとみ)
02. 実録おんな鑑別所  M2-1(演奏:ダウンタウン・ブギウギ・バンド)
03. The CITY(音楽:樋口康雄)
04. Photograph(音楽:樋口康雄)
05. 海は女の涙(唄:石川セリ)
06. 人妻集団暴行致死事件 M-5(音楽:石間秀樹/篠原信彦)
07. 人妻集団暴行致死事件 M-7((音楽:石間秀樹/篠原信彦) 
08. 秘・肉体調教師 M22-A1(演奏:近田春夫&ハルヲフォン)
09. バニシング・ストリート(音楽:多摩 零)
10. 壇の浦夜枕合戦記 M-EX-1(演奏:沖至、中谷襄水) 
11. 煉獄のブルース inst(演奏:ダウンタウン・ブギウギ・バンド) 
12. 人妻集団暴行致死事件 M-3(音楽:石間秀樹/篠原信彦)
13. 人妻集団暴行致死事件 M1-3(音楽:石間秀樹/篠原信彦)
14. 実録おんな鑑別所 M5-1(演奏:ダウンタウン・ブギウギ・バンド) 
15. 人妻集団暴行致死事件 M1-A(音楽:石間秀樹/篠原信彦) 
16. Dream(音楽:樋口康雄) 
17. 煉獄のブルース Ending(唄:宇崎竜童)  


 この日活ロマン・ポルノの劇伴は、先に発売されている東映ピンキー・アクション映画の劇伴より一段とロック色が濃く、『野良猫ロックシリーズ』や『無頼シリーズ』に見られたようなクールで乾いた音作りが受け継がれている。
 70年代初めは日本のロックの黎明期にもあたり、ロマン・ポルノという新しいジャンルの映画とシンクロすることも必然であり、ここに収められているアーティスト以外にもクリエイションやコスモス・ファクトリーなど、既製の楽曲も含め数々のロック・アーティストがロマン・ポルノの劇伴に携わっていた。

 ダウンタウン・ブギウギ・バンドはまだ世間に認知される前の参加と思われるが、この『煉獄のブルース』は、以後、歌謡ブルースといったジャンルを確立させるに充分な実証となっている。
 梢ひとみのザラついたヴォーカルと、宇崎竜童のコブシが絶品です。

 石間秀樹と篠原信彦の洗練されたメロディや、近田春夫のリズミックなファズギターが奏でる軽快感も心地よい。

 アルバムタイトルになっている『秘・色情めす市場』の音楽は樋口康雄。
 ドキュメンタリー・タッチのセピア調の画面に流れるエレキピアノとギター・サウンドが、都会の乾いた空気感を見事に表しており、『Dream』はオーケストラ的サウンドで雄大なスケールを感じさせます。

 中谷襄水の琵琶を絡ませる沖至のトランペットは異色。
 神代辰巳の作品なのだが、これは未見なのです。

 『バニシング・ストリート』は、「多摩 零」のペンネームで数本のロマン・ポルノに参加した玉木宏樹の作品。
 『野良猫ロック・ワイルドジャンボ』『野良猫ロック・暴走集団'71』『反逆のメロディ』など、日活ニューアクション群でビート感あふれる劇伴を創作してきたビッグネームの作家ですが、鏑木創もロマンポルノではペンネーム「月見里太一」で参加していました。

 さて、アルバム全体では一曲一曲の完成度が高く、劇伴というより作品集としての趣があります。40分足らずですが、聴き応えありということです。

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「ブラック・ダリア」

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THE BLACK DAHLIA
監督:ブライアン・デ・パルマ
原作:ジェイムズ・エルロイ
脚色:ジョシュ・フリードマン
出演:ジョシュ・ハートネット、スカーレト・ヨハンソン、アーロン・エッカート、ヒラリー・スワンク、ミア・カーシュナー、ジョン・ガバナー、フィオナ・ショウ、ビル・フィンレイ

☆☆☆☆  2006年/アメリカ/121分

    ◇

 最高のヴィジュアリスト、ブライアン・デ・パルマ監督が描く極上のフィルム・ノワールである。

 原作はジェイムズ・エルロイの、1940~50年代のL.Aの暗黒部を描いた『LA四部作』の第1作目。1997年の映画賞を総なめし、キム・ベイシンガーの妖艶さで魅了された『LA コンフィデンシャル』はこのエルロイの『LA四部作』の3作目だった。

 1947年のロサンゼルスを震撼させた実際の迷宮入り猟奇殺人事件を下敷きに、エルロイが書き上げたこの犯罪小説は、まさにデ・パルマのために用意されたような素材だ。

 アメリカで一番有名な死体の名前はエリザベス・ショート。女優を夢見ながら、田舎からハリウッドへ出てきた黒髪の美人。しかし、ハリウッドではひと山いくらの存在でしかなく、安バーで男漁りをし、サンセット大通りを黒服で歩きまわる彼女を指して、当時の映画"THE BLUE DAHLIA"から『ブラック・ダリア』と呼ばれていた。

 発見された全裸の死体は、腰から胴を真っ二つに切断され、内蔵を取られ、血液はきれいに洗い清められており、顔は口から耳にかけて切り裂かれていた。

 デ・パルマ監督の70~80年代の作品『愛のメモリー』や『悪魔のシスター』『殺しのドレス』に通じるような、いわゆるタブロイド紙が競い合うゴシップネタに満ちた犯罪だ。
 映画はミステリーの形式をとりながら、決してミステリーだけに終始しているのではなく、特異な死体を介して、その周りにいる魑魅魍魎な人間たち、性と狂気に魅了された人間たちの暗い闇を浮かび上がらせている。
 セピア調の色彩とギミックな映像は、まさにデ・パルマらしい香りに満ちている。

    ☆    ☆

 ミスター・アイスことバッキー・ブライカート刑事と、ミスター・ファイア=リー・ブランチャード刑事はともにボクシングのリングで闘った間柄。バッキーがリーを恩人と慕う要因や、リーの恋人ケイ・レイクとの三角関係が、映画の前半三分の一を使って語られなかなか事件が起こらないのだが、ここでいろんな伏線が張られているから要注意だ。

 ケイ役のスカーレト・ヨハンソンが素晴らしく美しい。バッキーとの恋愛模様もスリリングで魅惑的だ。

 後半、『ブラック・ダリア』に魅せられたリーを含め、エリザベスに関係した人物が次々と登場する中で、エリザベスにそっくりな大富豪の娘マデリンの存在がバッキーをも狂わせていくことになる。
 このマデリン役のヒラリー・スワンクが、『ミリオンダラー・ベイビー』とはうって変わって妖しい魅力を振りまいている。

 そして、40年代のハードボイルドな雰囲気も魅力的だ。
 紫煙漂わせるダンディな男たちと、眩しいくらいの赤いルージュで官能を振りまく女たち。
 バッキーが聞き込みに行くレズビアン・クラブのなんと退廃的なことか。ここでは、実生活でもレズビアンを公言している歌手のkd.ラングが、颯爽と『Love for Sale』を披露している。

    ☆    ☆

 デ・パルマお得意の流麗なカメラワークは冒頭からも見ることはできるが、ピークを迎えるのが、ふたりの刑事がある事件の張り込みをしているところから始まる。
 2羽の鴉の不気味な鳴き声を合図に、カメラはまるで神の目線であるかのように天空高く昇り、エリザベスの死体発見者の悲鳴をフレームの隅に収めながら、バッキーとリーの張り込み現場に舞い降りてくるまでの長廻しは実に見事だ。

 そして後半のクライマックスであるスローモーション・シーンと、『キャリー』を彷彿とさせるラストのショック・シーンでのデ・パルマらしさに、ゾクゾクさせられた。

    ☆    ☆

 エリザベス・ショートが生きているシーンは、ポルノ映画とカメラテストのフィルムの中だけ。この手法が、回想以上にエリザベスの存在を際立たせている。カメラテストの監督の声はデ・パルマ自身。そして、このエリザベスを演じているミア・カーシュナーは、テレビシリーズ『24〈Twenty Four〉』のseason 1・2・4で女テロリストのマンデーを演じている。





つま恋、再放送

 9月23日に静岡県掛川市で行われた『吉田拓郎&かぐや姫 in つま恋2006』は、当日NHK BS ハイビジョンで生放送をされたが、ぼくを含め見ることのできなかったひとが多かったです。

 なんでも、サプライズゲストとして中島みゆきも登場したというではないか。「永遠の嘘をついてくれ」を拓郎と共演したという。
 そのワンシーンだけでも見たかった。

 12月20日には、その模様をバックステージとともにパッキングしたDVDが発売され、NHKの放送とは違うカメラ映像も加えたオリジナル編集で、ゲストのみゆきやムッシュかまやつとの共演シーンも収録されるそうだが、価格が12,800円………高いなぁ。

 と思っていたら、10月29日(日)NHK BS2にて『吉田拓郎&かぐや姫 in つま恋2006 総集編』( 15:00~17:00[前編]/19:30~21:30[後編])として、再放送されるそうだ。

 10月23日(月)には NHK総合「プレミアム10」にて『吉田拓郎~3万5千人の同窓会』と題しての90分番組も放送されるので、地上波しか見ることのできないひとも楽しんでくだされ。

秋の新ドラマ

10月からの新ドラマが出揃ってきたので、少し書いてみよう。

たったひとつの恋
成就しない純愛を示唆するお得意の過去形語りといい、出逢いの滑稽さといい、毎度おなじみパターンの純愛ラブストーリー。
すでに、ラブストーリー以外に書けなくなった脚本家の限界なのか。
それとも、単に北川アレルギーのぼくの肌に合わないだけなのか。
だらしない母親役の余貴美子さんの変貌を期待しながら、ときどき鑑賞する程度でいいだろう。

役者魂!
松たか子の表情や台詞まわしが好きだ。
この君塚良一のハートフル・コメディは、なんとなくニール・サイモンや三谷幸喜の喜劇を連想させる。
それにしても、藤田まことを相手役にキャスティングしたところで、まずはワザありか。若いひとは、藤田まことがコメディアンだったことを知らないんだろうな。
都会派コメディとして今季イチオシ。

14才の母
放送前から賛否両論が噴出している社会派ドラマなのだが、脚本の井上由美子をはじめスタッフらの訴えたいテーマは、初回だけで分かるはずもない。どんなことがあっても、未成年者の妊娠や性行為を容認するような作品を創る制作者など、いるはずもないだろう。『女王の教室』の時もそうだったが、全体を見もしないうちの批判は慎むべきだ。
志田未来の演技力には目を見張るものがある。

嫌われ松子の一生
原作ファンとして中島哲也監督の映画版を大絶賛したが、やはり原作に忠実なドラマも見てみたい。松子役が、才媛で美人教師のイメージとはかなりかけ離れた内山理名なの心配だったが、悪くはなかった。
松子の過去を探る笙と明日香の立場を逆転した脚本もスムーズで、明日香の方が、より松子の心情を理解するにふさわしいのかもしれない。

テーマ音楽の『In The Mood』には違和感あり。いくらなんでも昭和40年代初めのイメージではないよ。この曲は1940年代でしょ? だからクロージング・イメージも、なんだか時代錯誤に見えるのです。

セーラー服と機関銃
テーマ・ソングは同じでした。これは嬉しいよな。
薬師丸ひろ子の方が上手だが……長澤まさみは可愛い。
ただ、始まって15分ほどはガッカリ感があった。『木更津キャッツアイ』などを真似しなさんな。
堤真一や本田博太郎、緒形拳、小泉今日子……クセ者揃いに注目かな。

Dr.コトー診療所2006』『相棒5』は、シリーズものとして相変わらずの高水準。

あとは、テレ東の『逃亡者おりん』と、NHK土曜9時の『魂萠え!』を鑑賞予定。
桐野夏生原作の『魂萠え!』は、高畑淳子&高橋恵子主演の大人のドラマ。熟年離婚モノの渡哲也の『家族』は見ないけれど、コチラの方が面白そう。


Sooty Bear & Naomi Laight

 6日から9日まで、名古屋のAntique Market 吹上で『テディベア&ドールワールド』というイベントが開催されていました。






 ご覧のとおり、1920~40年代の アンティークベアがいっぱい。
 ほかにも、限定モノ作家モノのベアにビスクドールなど、小物も含め多数の展示即売会でありまして…………

    ☆    ☆

 今回の収穫は、アンティークものと作家モノをひとりづつ。



 スーティーベア(耳黒クマと呼んでいる)がたくさんあり、かなり迷ったのだが、値段との折り合いで、少々小さめなスーティーベアを連れてきた。

 もうひとりは、英国のベア・アーティスト、ナオミ・ライト女史の80年代の作品。
 コレークターからアーティストになった彼女は、現在はワックス・ドールの作家として活動しているようなので、ナオミ・ライト・ベアは貴重といえます。



 ところで、このAntique Market 吹上の屋上にある、ガーデンカフェ Le Jardin《ル ジャルダン》のラムレーズン・チーズケーキは絶品です。

中日ドラゴンズ、リーグ優勝!

おめでとう!

今夜は泣かせて。
もう、涙が止まらねぇ~。
こんな、こんな試合見たことない。
こんな、こんな監督見たことないぜっ!

落合監督のアノ涙に、もらい泣きしないドラファンは、いねぇ~っ。

それにしても、まさかの試合展開。
まるで水島新司の漫画ではないかっ。

ジャイアンツの高橋由伸選手や小久保選手の同点ホームランも、あの12 回表のため……
森野選手のバント失敗も、あの12 回表のため……

タイロン・ウッズの、2試合連続グランドスラムのために、あったのだ!
落合監督の、涙のために、あったのだ!

バンザ~イ!

病床にいる忌野清志郎さん、勝ったゼっ!
清志郎さんも、ガンバってくれよ~!

BLUES ROCK review 01

GUV'T MULE/HIGH & MIGHTY


 95年のデビュー以来、毎年アルバムをリリースしているGUV'T MULE(ガヴァーメント・ミュール)が、2年のインターバルをおいて発表した通算11作目。

 FREEの「All Right Now」風に始まる1曲目『Mr. High & Mighty』から、野太いウォーレン・ヘインズの歌声が沁みる完全無欠のブルース・ロックです。
 軽快なナンバー『Unring The Bell』は、日本のメロディメーカーが好みそうだなぁ。

 日本ではあまり人気がないバンドなのだが、本国アメリカでは毎年100以上のステージをこなし、大リーグ並のスケジュールで動いている。オールマン・ブラザーズ・バンドのギタリストとしても活躍するウォーレン・ヘインズだが、ふたつのバンドで毎年ツアーをこなし、新作レコーディングもしてしまうんだから、見た目だけでなくやっぱりタフだよなぁ。

 オールマンズと云えば、もうひとりのギタリストであるデレク・トラックスが、11月に来日するエリック・クラプトンに同行する。天才少年と云われた彼も現在26歳。故デュアン・オールマンの年齢を超えちまったんだ。
 デュアンのスライド・ギターを彷彿とさせるテクニックを持つデレクが、今回のクラプトンのツアーでは『LAYLA 』や『誰も知らない 』『ANYDAY 』『恋は悲しきもの』などで、デュアンのパートを受け持つと聞いたので、昨日早速、名古屋公演のチケットを手に入れて来ましたよ。実は、クラプトンのライブは16年ぶり。いままで16回も来られちゃ、あんまり有り難みがなかったわけで、今回も、クラプトンよりデレク・トラックスが楽しみだったりするわけ。


    ★

JOE BONAMASSA/YOU & ME


 このギタリストも、オールマンズと関連ありかな。

 ニューヨーク生まれのモダン・ブルース・ギタリスト&シンガーのJOE BONAMASSA。8歳のときに、B.B.キングのステージのオープニングアクトを務めたという天才肌でしょうか。グレッグ・オールマンのような歌い方で、ストラトキャスターやレスポールをガンガン弾いております。

 10代の頃のボナマッサは、ベリー・オークリー.Jr.
(1972年に、デュアン・オールマンを追うようにオートバイ事故で亡くなった、オールマンズのベーシスト ベリー・オークリーの息子)のバンド BLOODLINEに在籍しており、ソロ・デビュー・アルバムは、やはりオールマンズゆかりの故トム・ダウドのプロデュースで、フリーやジェスロ・タル、ロリー・ギャラガーの曲を披露している。

 この最新アルバムは、オーティス・ラッシュの名曲『So Many Roads
(ピーター・グリーンversionで演奏)や、レッド・ツェッペリンのスローブルース『Tea For One(このブログの名前はここからの命名です)などを織りまぜた、バリバリのブルース・ロック・アルバムに仕上がっている。
 『Tea For One』をカバーするなんて珍しいと思ったら、ドラムスがジェイソン・ボーナム
(ZEPの名ドラマー故ジョン・ボーナムの息子)なので納得。
 また、アル・ディ・メオラのようなスパニッシュ・ギターを聴かせてくれるバラエティさもあります。


    ★

FREE/Live At The BBC


 英国のブルース・ロック・バンドFREE の貴重なBBC音源集『 Live At The BBC』2枚組CDです。

 disc 1が68年から71年までのスタジオ・セッション。disc2が70年のスタジオ・ライブとなっており、スタジオ・セッションの方は、以前、紙ジャケ・シリーズ時にボーナス・トラックとしてバラバラに発表されたテイクを含んでいるが、未発表ものも多く、こうしてまとめて出されることは嬉しい。
 ただしdisc2のライブ音源の方はテープよれが目立つブ-トレグ並みの音質なので、ボーナストラックの公式未発表という資料的価値のつもりで聴いた方がいいだろう。

 68年のデビュー当時、ヴォーカルのポール・ロジャースとドラムのサイモン・カークが19歳。不世出のギタリストであるポール・コゾフは18歳で、オリジナルの楽曲のほとんどを作っていたのが若干16歳のベーシストのアンディ・フレイザー。この少年たちの奏でるブルースは、やはり凄いのひとこと。4人とも天才です。

 シングル『 I'll Be Creepin'』のB面曲として発表された『Sugar For Mr. Morrision』のフリーフォーム・ジャズ風セッションは、グルーヴ感溢れるアンディのベースソロが素晴らしいです。フェイドアウトされているのが惜しいが必須音源だろう。




 そう云えば かつて高円寺のROCK喫茶Kに出入りしていた頃、FREEのひとりに似ていると云われていたなぁ……笑……

野良猫だぁ~

 12月8日に発売される野良猫ロック/コンプリートDVD-BOX公式サイトが開設されました。

 特典は、長谷川安春監督、藤竜也、原田芳雄らのインタビュー。
 梶芽衣子さんのインタビューは明記されていませんねぇ。
 ここ2~3年の間に数々のインタビューがあったせいでしょうか………ちょっとガッカリ。

 amazonでは25% OFF で予約受付をしていますから、狙い目でしょう。

田中登監督、死去

映画監督の田中登氏が、急性動脈瘤乖離(どうみゃくりゅうかいり)でお亡くなりになりました。
突然のことでびっくりしています。
69歳は、まだまだのお年です。
4月のラピュタ阿佐ヶ谷でのトークショーで、中川梨絵さんと再会された時にはお元気だったと聞きます。

『Hotwax vol.6』で特集が組まれ、6時間のインタビューにお答えくださったのもこの時期です。
この特集が最後ということでしょうか。
ウルトラヴァイヴさんには、このロング・インタビューの完全版をなんらかの形で、ぜひ、発表して欲しいです。
とにかく、残念です。

ご冥福をお祈りいたします。

    ★

《フィルモグラフィ》
・ 野良猫ロック マシンアニマル /1970 (助監督)
・ 女子学園 おとなの遊び/ 1971 (助監督)
・ ラブハンター 熱い肌 /1972 (助監督)
・ 花弁のしずく /1972
・ 官能教室 愛のテクニック /1972
・ 好色家族 狐と狸 /1972
・ 牝猫たちの夜 /1972
・ 夜汽車の女 /1972
・ (秘)女郎責め地獄 /1973
・ 女教師 私生活 /1973
・ 真夜中の妖精 /1973
・ 昼下りの情事 変身 /1973
・ (秘)色情めす市場 /1974
・ 実録阿部定 /1975
・ 神戸国際ギャング /1975
・ 安藤昇の わが逃亡とSEXの記録 /1976
・ 江戸川乱歩猟奇館 屋根裏の散歩者 /1976
・ 女教師/ 1977
・ 発禁本「美人乱舞」より 責める! /1977
・ ピンクサロン 好色五人女 /1978
・ 人妻集団暴行致死事件 /1978
・ 愛欲の標的 /1979
・ 天使のはらわた 名美 /1979
・ ハードスキャンダル -性の漂流者- /1980
・ もっと激しくもっとつよく /1981
・ 丑三つの村 /1983
・ 蕾の眺め /1986
・ 妖女伝説'88 /1988



「風の墓碑銘〈エピタフ〉」 乃南アサ



 小説を読んでいて「まだまだ読み終わりたくない」という感覚がある。
 ミステリーなら早くその解決を知りたいという思いが起こるはずなのだが、こと、この音道貴子の物語に関しては、これまでの長編でも短編でも、彼女が感じる痛みや苦しみ、そして、彼女を取り巻く人間関係のもどかしさに、血の通った感覚で、身近に、体温を感じずにはいられないのだ。
 事件とともに、彼女の日常を一緒に過ごす貴重な時間を惜しみながら、後ろ髪がひかれてしまうのだ。
 そして、本を閉じたあと、どこかで、オートバイで疾走する音道貴子に逢えるような、気がしてしまうのだ
 人物描写に長けた乃南アサさんの文章は、毎度、感動的だ。

 音道貴子シリーズの最新刊は『凍える牙』『鎖』につづく長編としては3作目(その間『花散る頃の殺人』『未練』『嗤う闇』の短編が3冊)で、いままで以上に自分に忠実に生きている貴子の、こころの動きが丹念に描かれた作品となり、読み応えのある長篇警察小説になっている。
 
 東京下町の解体工事現場から、死後二十数年経って掘り出された三つの白骨死体。身元を探るために音道と同僚の玉城は、大家で認知症の老人の許を日参するのだが埒が明かない。そんな中、ある日、その老人が撲殺死体で発見された。
 捜査本部が立ち上げられ、音道の相方となったのが、かつてコンビを組んだことのある(『凍える牙』)ベテラン刑事滝沢保。
 音道にとっては、絵に描いたような男社会に生きる滝沢には嫌悪感しか抱かないわけで、警戒心まるだし。滝沢の方はかつてのような女性差別はなく、また、個人的問題を抱えながらも貴子の力量を認めだしている。

 小説の展開は、ほとんどが地道な地どり捜査に費やされる。炎天下の捜査の間じゅう繰り返されるふたりの不協和音なコンビぶりと、音道の頑固なほどの生真面目さと直感力が、滝沢の老獪な捜査方法とともにジリジリと真相に近づいていく醍醐味が、本書の読みどころだ。

 明かされた真相の惨さと、犯人のあまりの自己中心的な言動への音道貴子の怒りは、現実社会に蔓延している狂気への憤りとして伝わってくる。

風の墓碑銘〈エピタフ〉/乃南アサ
【新潮社】
定価 1,995円(税込)