TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

フォ-クの達人:三上寛

 1960年代から70年代にかけて大活躍したフォーク歌手で、いまだ現役のシンガーたちのパフォーマンスを放送しているNHK-BS2『フォークの達人』。
 10月6日(金)(NHK-BS2 22:00~23:28)放送の出演者は、三上寛。
 異議ナシ! 

 演奏曲の半分は比較的新しい曲だけど、『夢は夜ひらく 』や、『 オ-トバイの失恋 』など、70年代の代表曲も聴かせてくれます。

 三上版『夢は夜ひらく 』は、藤圭子の怨歌よりもっと奥深いところから、ドス黒いゲロを吐き出すような歌だった。

 ♪ 七に二を足しゃ 九になるが
     九になりゃ まだまだいいほうで
       死に死を足しても 苦になって
         夢は夜ひらく ♪

 「'71 中津川全日本フォークジャンボリー」の実況盤で初めて聴いた三上寛は、生ギター1本で、怒鳴り、がなり、泣き叫ぶ。
 「こんな異常な歌い手が居てもいいのかっ!」って思ったものです。

 ちっとは他では見ることのできない歌い手ですので、貴重なテレビライブとなるはず。
 視聴者を張り倒すような、唄を 聴け。

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「ブルーレイン大阪」*小沼勝監督作品

BlueRainOsaka_pst.jpg
監督:小沼勝
脚本:高田純
出演:志水季里子、広瀬昌助、久我冴子、絵沢萠子、江上修

☆☆☆☆ 1983年/にっかつ/79分

    ◇

 八代亜紀の『ブルーレイン大阪』を主題歌に、ロックシンガーの夢を捨てたおんなと無頼派カメラマン、そして彼を慕うサーカスのおんな芸人が織りなす男と女の微妙な関係を描いたのが、日活歌謡ロマンポルノとして公開された小沼勝監督の『ブルーレイン大阪』。秀作メロドラマである。

 大阪は北新地のクラブ“萠”。クラブのピアニストが『ブルーレイン大阪』の旋律をしっとりと奏でるなか、水たまりに落ちている少女の赤い靴を映しながら、雨上がりの新地の夜景から物語が始まる。
 実姉の大ママ(絵沢萠子)が身体をこわし療養している間、店を切り盛りする妹のチーママ待子(志水季里子)。
 彼女の周りには、勇夫という若い恋人や真面目にプロポーズをしてくれる常連の商社マンがいるのだが、ある日、かつての恋人でカメラマンの悠司(広瀬昌助)と再会をする。

 3年前、カメラマンとして夢を賭けた仕事のため待子の許を去った悠司は、サーカスの現場に迫った写真集を出版して成功。サーカス団にいた五月という女を連れて大阪にきていた。
 待子ともう一度やり直したい気持ちがある悠司の誘いに、戸惑う待子。そんなふたりの関係に嫉妬をする五月と勇夫。
 同じ過ちを繰り返したくないと自分に言い聞かせながら、結局、悠司と躰を重ねる待子。悠司の躰には、かつて自分がナイフで刺して作った傷跡がある。
 いまだに、ふたりには癒しきれない古傷がしっかりと残っていたのだ。

 酒に溺れる男の姿に耐えかね、ひとりライブハウスのカウンターで佇む。ステージでバラードを歌う女性シンガーに、かつての自分を重ね合わせる待子。バンド演奏を延々と流しながら、待子の表情を追うカメラ。いいシーンだ。
 後に脚本の高田純氏は、このシーンに、名唱“大阪で生まれた女”を歌う大上瑠利子を起用したかったのだがポルノ映画ということで断られた、と回想している。
 70年代後半、関西ロックの雄と云われていた伝説のソウル・ファンク・バンド「スターキング・デリシャス」で、ごっついシャウトを聴かせていた大上瑠利子の選択はいいとしても、“大阪で生まれた女”ではあまりにもベタ過ぎていたのではないかな。
 結果、ゴダイゴのバックヴォーカルやJABBのツイン・ヴォーカルのひとりだった坂本めぐみというシンガーが「ドラマ」という歌を熱唱しているのだが、これがなかなか聴き応えある。

 志水季里子はこれが映画初出演だが、夜の街で気丈に生きながら、夢を追いかける男に振り回される女の未練を、情感たっぷりに見せてくれている。彼女はこのあと、相米慎二監督の『ラブホテル』でも、村木哲郎の別れた妻をしっとりと演じていた。

 万博記念公園のベンチで悠司を待つ待子。約束の時間に行くことが出来なくなる悠司の事情は、メロドラマの常道でありながら、悠司のこころ変わりは男のエゴ。
 ふたたび裏切られた女の嗚咽を、八代亜紀の歌声がやさしく包み込む。
 
  ♪ めぐり逢えば 別れがくる  
     追いかければ 逃げてゆくわ
       ブルーレイン  雨の大阪 ♪



 やるせなく、切なく、女ごころの揺れを、軽快なメロディに乗せて歌う八代亜紀。作詞荒木とよひさ、作曲浜圭介のコンビで作られた1983年の佳曲である。


カルトGSコレクション



 Hotwax @traxの『カルトGSコレクション 日活編~麻生レミ/フラワーズ』です。

収録曲
01. ラスト・チャンス /フラワーズ 
 (Vo麻生レミ、別ヴァージョン)
02. ウィ・アー・フラワーズ /フラワーズ 
 (インストゥルメンタル) 
03. つかのまの恋人たち/麻生レミ
 (映画「恋のつむじ風」主題歌、初音盤化)
04. 君恋し /フラワーズ  
 (『日活ニューアクションの世界』収録とは別テイク)
05. 愛の真実/麻生レミ
 (映画「恋のつむじ風」主題歌、初音盤化)
06. あきらめ/麻生レミ
 (映画「恋のつむじ風」主題歌、初音盤化)
07. 土曜の夜何かが起こる/黛ジュン
 (映画「華やかな女豹」より、別ヴァージョン)
08. チビのロビー/ジュディ・オング
 (映画「青春ア・ゴー・ゴー」より)
09. ラスト・チャンス(インスト)/フラワーズ 
 (フルートをフィーチャーしたトラック#1のインスト)
10. 青空のある限り/ワイルド・ワンズ
 (映画「愛は惜しみなく」劇中ヴァージョン)
11. ベラよ急げ/モップス
 (劇中ヴァージョン)
12. 朝日よさらば/モップス
 (1STアルバム収録)
13. PS-102-2 DISCOTIQUE /フラワーズ
 (映画「無頼・殺せ!」より、インストゥルメンタル)
14. 青い瞳 /ブルー・コメッツ
 (映画「二人の銀座」映画用テイク)
15. ブルー・シャトー/ ブルー・コメッツ
 (映画「二人の銀座」映画用テイク)
16. 甘いお話/ ブルー・コメッツ
 (映画「二人の銀座」より)
17. 君をもとめて /ヴィレッジ・シンガーズ
 ( 映画「二人の銀座」劇中ヴァージョン)
18. バラ色の雲/ ヴィレッジ・シンガーズ
 (映画「東京ナイト」劇中ヴァージョン)


 すべて映画用トラックということで、レコードで聞き慣れた演奏とはひと味もふた味も違う、最高のGSサウンドです。
 ブルーコメッツやヴィレッジ・シンガーズの名曲が実に新鮮に聴けます。

 フラワーズの麻生レミのヴォーカル、イカシてます!
 和製ジャニスだなんて書く人がいますが、大きな誤りです。それを言うなら、和製グレイス・スリックでしょう。サンフランシスコのサイケデリック・ロックの代表格、ジェファーソン・エアプレインのヴォーカリストです。
 何でジャニスではなくグレイスなのかは、多分、フラワーズというバンド体制がカウンターカルチャーが生んだ文化の象徴的存在として、サイケデリック・ロック・サウンドを目指して結成されたということで、ジャニス以前のエアプレインに近いバンドだったことで、そのバンドの女性ボーカリストならば和製グレイスになる、のかな。
 また、ジャニスの声質よりは断然グレイスの節回しに似ているしね。

 『君恋し』は『日活ニューアクションの世界/無頼・殺(バラ)せ』の1曲目と同じように聴こえますが、よ~く聴けば別テイクであることが分かります。まぁ、一般にはどうでも良いことですが(笑)。

やさぐれ姐御伝 総括リンチ



 東映ピンキー・プログラム・ピクチャーの第2弾として、Hotwax @traxやさぐれ姐御伝 総括リンチ/やさぐれ歌謡*最前線』が発売された。

収録曲
01. 「ふうてんぐらし」(唄:池玲子)
02. 「やさぐれ姐御伝 総括リンチ」 M-6B(音楽:鏑木創)
03. 「不良姐御伝 猪の鹿お蝶」 M-4(音楽:荒木一郎)
04. ふうてんぐらしpart.2(唄:池玲子)
05. 「前科おんな 殺し節」M-12(音楽:八木正生)
06. 「徳川セックス禁止令 色情大名」 C-2(音楽:荒木一郎)
07. ジュテームはさよならの始まり(唄:サンドラ・ジュリアン)
08. 「女番長 タイマン勝負」 M-6(音楽:広瀬健次郎)
09. 「温泉みみず芸者テーマ(音楽:鏑木創)
10. 「やさぐれ姐御伝 総括リンチ M-34B」(音楽:鏑木創))
11. お蝶のブルース(唄:池玲子)
12. 「現代ポルノ伝 先天性淫婦」 M-9(音楽:鏑木創)
13. 「やさぐれ姐御伝 総括リンチ」 M-6C(音楽:鏑木創)
14. 女番長ブルース(唄:八田富子)
15. 「不良姐御伝 猪の鹿お蝶」 M-21(音楽:荒木一郎)
16. 「エロ将軍と二十一人の愛妾」 M-19(音楽:伊部晴美)
17. 女番長ブルース(カラオケ)
18. お蝶のブルース(カラオケ)


 ピンキー女優池玲子を中心に、デビュー作『温泉みみず芸者』から女優としてピークを迎える1973年の作品がピックアップされている。

 1曲目の『ふうてんぐらし』は初音盤化であり大変貴重。虚無感あふれる怨歌で、なかなか聴き応えがあるというのに、レコード化されなかったことが不思議である。

 11曲目『お蝶のブルース』は荒木一郎の作曲で、“姐御伝シリーズ”として石井輝男が監督した2作目『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』('73)の主題歌。これはレコード化されているけれど、本曲は当然劇伴なのでヴォーカルは別テイク。3番の歌詞部分をレコードよりかなり気張った巻き舌歌唱で聞かせてくれる。

 “姐御伝シリーズ”は、鈴木則文監督の『不良姐御伝 猪の鹿お蝶』('73)を1作目とし、日露戦戦争後を舞台に、幼い頃警察官の父親を殺された少女が、女博徒となり復讐をするストーリーで、どこか、梶芽衣子主演、藤田敏八監督の『修羅雪姫』(公開は1973年の終わり)に似通ったところがある。もちろん、“姐御伝シリーズ”は成人映画指定のB級作品ということで、池玲子の全裸の大殺陣シーン(『やさぐれ姐御伝 総括リンチ』)が見ものでも、一般には陽の目を見ないわけなのだ。

 6曲目『徳川セックス禁止令 色情大名』(荒木一郎)は、エロな映画の劇伴だなんて想像もできないくらい美しい曲。
 もちろん、お馴染みの鏑木創、広瀬健次郎、八木正生らのスピーディーで躍動感あふれ、ちょっとヤバそうな雰囲気を醸し出す楽曲は相変わらず。

 14曲目の『女番長ブルース』(唄:八田富子)は『女番長ゲリラ/やさぐれ歌謡★最前線』収録と同一曲だが、バック演奏のミックスが少し違う気がする。ヴォーカルテイクは同じだと思うのだが…。

 最後のカラオケ2曲は初回特典。

 さて、池玲子はこの時期『仁義なき戦い・代理戦争』('73)でもいい仕事してるぞぉ。

「ニワトリはハダシだ」*森崎東監督作品



監督:森崎東
脚本:近藤昭二、森崎東
音楽:宇崎竜童、太田恵資、吉見征樹
出演:肘井美佳、原田芳雄、倍賞美津子、浜上竜也、守山玲愛、加瀬亮、石橋蓮司、余貴美子、塩見三省、岸部一徳、李麗仙、中川梨絵、柄本明、笑福亭松之助、不破万作、河原さぶ、

☆☆☆☆  2004年/日本/114分

    ◇

 常に、社会の底辺でたくましくエネルギッシュに生きている庶民の姿を描いてきた森崎東監督の24 本目の新作は、知的障害の少年を軸に権力の汚職や差別など、社会が抱えるさまざまな問題をユーモアをもって描いたエンターテインメントな傑作。

 タイトルの『ニワトリはハダシだ』とは“わかりきっていることのたとえ”。そして、誰もが自分の人生哲学を持っているということ。

 ♪ 生きているうちが花なんだぜぃ ♪

 舞台は、京都府舞鶴。
 潜水夫のチチ・守(原田芳雄)と二人暮らしの少年サム(浜上竜也)は、知的障害をもちながら人並みはずれた記憶力を備えている。チチはサムの将来を案じ、自分と同じ潜水夫の仕事を憶えさせようとしていた。
 サムのハハ・チンジャ(倍賞美津子)は在日朝鮮人で、チチと教育方針が合わないためにサムの妹チャル(守山玲愛)と共に、近所に住むチンジャの母親・金順礼(李麗仙)のところに帰っている。

 サムが通う養護学校の担任教師・櫻井直子(肘井美佳)の父親は大阪府警の捜査課長(石橋蓮司)で、妻・貴美(余貴美子)の実兄の検事・灰原(岸部一徳)が関係している機密費など裏金による汚職事件を捜査している。
 ある日、暴力団重山組が灰原への賄賂として贈ったベンツが盗まれる事件が起きるのだが、車内には機密費の裏帳簿が入ったままだった。

 出稼ぎ外国人が頻繁に出入りする中古車販売所で、クルマのナンバーや車種を憶えるのが好きなサムは、偶然、盗難されたベンツの中で帳簿を見てしまう。生来の記憶力の良さから丸ごと数字を暗記してしまったサムは、事件の揉み消しを画策する警察権力と暴力団らに狙われることになる。
 直子やチチ、ハハ、そして権力に疑問を持つ若い刑事(加瀬亮)らは、サムを救出するために決死の覚悟で行動を起こす………。

    ☆    ☆
 
 障害者問題や在日あるいは外国人労働者を扱ったからと言って、決して悲惨で暗い映画にはなっていない。むしろヴァイタリティあふれ、あっけらかんと、ワクワクして観ることができる。弱者が追いつめられたときに、沸き上がるパワーで権力に立ち向かう姿の痛快さがある。
 そして、愛する者同士が一緒に暮らせないもどかしさや、苦しい環境や立場で一生懸命に強がって生きている者たちの絆が、こころに響く。

 尊い歴史がある舞鶴。
 第二次大戦終結後、シベリア抑留からの引き揚げ港としても有名だが、もうひとつ、多数の朝鮮人の殉難地でもある。
 日本で強制労働を強いられていた朝鮮人労働者の家族を乗せ、祖国釜山港へ向けて航行していた船が佐波賀沖で爆発。五百人以上の命が眠っている地でもある。
 その時、運良く助けられた人々が、祖国へ帰ることもなくこの舞鶴に住み着いている。

 海に落ちた守を引き上げ、震える守の身体をさすりながら「この海がウチを産んだも一緒や。韓国人でも、朝鮮人でも、日本人でもない、この佐波賀の海で産まれた佐波賀人や!」と、チンジャが語る。
 かつて「なに人でもかまわん。ニワトリはハダシや!」と言って、守はチンジャと結婚しているのだが、逞しさの裏にある男の弱さを優しく包み込む見事なイイ女ぶりは倍賞美津子ならではだ。

 ほかに大好きな女優がふたり出演している。

 余貴美子は、仕事一筋で家庭を顧みない捜査課長石橋蓮司の妻役。実兄の汚職事件を夫が捜査しているために家を出て行く。ここにも、愛する者たちが幸せに暮らせない不合理がある。
 父親に反発している直子に、余が最後にかけて行く言葉が映画の軸にもなっているような気がする。
 「お釈迦さんが死なはって五十六億七千万年経ったら、弥勒菩薩(みろくぼさつ)さんがこの世の人間を救いに来はる。その時までにも時々菩薩さんは人間の中に混じって、布袋さんみたいな欲のない、ニコニコ笑うてばかりの、ちょっと知恵が薄いように見える人に化けて、様子を探りに来てはる。あんた(直子)を救うてくれるんは、菩薩そっくりに見えるあの子らだけやで。」
 
 18年ぶりの映画出演となる中川梨絵は、鍼治療師の島崎一枝役。
 容姿端麗お変わりないが、さすがに『竜馬暗殺』でのギラギラした原田芳雄と妖艶な中川梨絵からは長い年月を感じさせるふたりだが、それでもこのツーショットは嬉しい。ついでながら、石橋蓮司も『竜馬暗殺』のひとりだ。

 そのほか、円熟味ある役者たちが一同に揃った見事なキャスティングだ。
 李麗仙と不破万作のツーショットに、にやり………。

Hotwax vol.6



 9月14日発売の『Hotwax vol.6』です。

 大特集は『Hotwax meets 日活ロマンポルノ』と題し、日活ニューアクション時代を引継ぐヴァイオレンスの作品群と、ポルノを“芸術”にまで押し上げた監督、神代辰巳と田中登の作品を紹介しています。
 私的なことでは全27作品の内、神代辰巳監督の4作品の作品紹介をさせて頂きましたが、初めての方が読んでみて映画を観たくなるような紹介が出来たかどうか………

 読みどころは田中登監督のロング・インタビューに尽きます。実に、6時間半にも及んだという田中監督のお話の中身の濃いこと………超悶絶です(笑)。
 『秘・色情めす市場』でのロケのエピソードや、芹明香の近親相姦シーン撮影での衝撃の裏話。女優宮下順子と監督との撮影現場で高まるテンションぶり。神代辰巳と共に作家性に富んだ田中監督らしい発言の数々です。
 東京学参(株)から発売されている『愛の寓話 Vol.1』の、田中登監督と宮下順子の各インタビューと併せて読むともっと面白いと思います。
 
 第2特集は、ダウンタウン・ブギウギ・バンド。
 あとにも先にも、歌謡ロックバンドの称号が燦然と輝くバンド。大好きです。
 ここでも、宇崎竜童のインタビューは興味深い。

 第3特集は、映画版『子連れ狼』シリーズ。

 付録のスペシャルCDは、先にも書いたとおり幻の未発表音源5曲。
 梢ひとみの『煉獄のブルース』にも悶絶してしまう。こうなると、やっぱり10月発売のHotwax*trax 第8弾『秘・色情めす市場/日活ロマンポルノの世界』がスッゴく待ち遠しくなるわけです。

◆Hotwax vol.6 発行元:ウルトラ・ヴァイヴ 
         発売元:(株)シンコーミュージック
         定価:1895円+税

    ☆    ☆

エロチカ狂想曲

 Hotwax誌が連動企画として、70年代の日本のプログラム・ピクチャーのサウンドファイルを発売し出したのが2005年の8月。
 『野良猫ロック stray cat rock 』と『日活ニューアクションの世界/無頼・殺(バラ)せ』に始まり、『ザ・スパイダース/ムーヴィー・トラックス』『鉄砲玉の美学/中島貞夫の世界』とつづき、ピンキー映画の雄東映『女番長シリーズ』のサントラ集『女番長ゲリラ/やさぐれ歌謡★最前線』に辿り着きました。
 9月23日には、池玲子を中心にした東映ポルノ映画のサントラ・コンピレーション盤『やさぐれ姐御伝/総括リンチ』が発売されることになり、ポルノ映画の劇伴が再認識されようとしています。

    ☆    ☆

 さて、過去に発売されたポルノ映画の劇伴といえば、日活を中心にした『エロチカ狂想曲』(1996年/2000年リイシュー)というサウンドファイルがあります。



収録曲
01. エロスは甘き香り Part.1(音楽:樋口康雄)
02. 秘・肉体調教師(音楽:近田春夫&ハルヲフォン)
03. いちどは行きたい女風呂 Part.1(音楽:坂田晃一)
04. 教師 女鹿(音楽:コスモス・ファクトリー)
05. 赤い通り雨(音楽:三枝成章)
06. でんきくらげ 可愛い悪魔(唄:渥美マリ)
07. 実録おんな鑑別所 性地獄 (音楽:ダウンタウン・ブギウギ・バンド) 
08. 残酷おんな情死 Part.1 (挿入曲:猪俣猛士)
09. 謎の女B(“華やかな女豹”より 唄:平岡精二)
10. 危険な関係(音楽:クリエイション) 
11. 宵待草(音楽:細野晴臣) 
12. 黒い牝豹M(音楽:小沢典仁)
13. 関係 (“夫婦秘戯くらべ”より 唄:三上寛)
14. 少女娼婦けもの道(音楽:新井英一) 
15. 残酷おんな情死 Part.2 (挿入曲:猪俣猛士) 
16. 東京エマニエル夫人 Part.1(音楽:エディ潘&オリエントエクスプレス) 
17. 宵待草のテーマ“漂流記”(音楽:細野晴臣) 
18. 女風呂の唄(“いちどは行きたい女風呂”より 唄:南雲修治)
19. 実録不良少女 姦(音楽:クリエイション)
20. 夕ぐれ族(音楽:本田俊之)
21. エロスは甘き香り Part.2(音楽:樋口康雄) 
22. 残酷おんな情死 Part.3 (挿入曲:猪俣猛士) 
23. 東京エマニエル夫人 Part.2(音楽:エディ潘&オリエントエクスプレス) 
24. 令嬢肉奴隷(音楽:峰 善雅) 
25. 桃尻娘(唄:ピンクヒップガール) 
26. Mr.ジレンマ 色情狂い(音楽:ダディ竹千代&東京おとぼけCATS) 
27. いちどは行きたい女風呂 Part.2(音楽:坂田晃一) 
28. 四畳半青春硝子張り(音楽:樋口康雄) 
29. 冬の出逢い(“宵待草”より 音楽:細野晴臣) 


 70年代の空気感を閉じ込めたヴァラエティに富んだ劇伴は、自由な環境下で華開いたミュージシャンたちの独自性に満ちています。

 満を辞して日活ロマンポルノを特集するHotwax vol.6では、おまけCDとして『エロチカ狂想曲』にも収録されているダウンタウン・ブギウギ・バンドの、『実録おんな鑑別所 性地獄』の未発表音源が登場するということで、心震えているのです。

 そして、幻の梢ひとみの主題歌や石間秀樹の演奏など、おまけでは勿体無いほどの音源収録と思っていたら、なんと、10月21日(予定)にHotwax*trax 第8弾『秘・色情めす市場/日活ロマンポルノの世界』としてサウンドファイルが発売される模様です。

 ウルトラヴァイヴさん、やってくれますね~!!

予定収録曲
01. 煉獄のブルース(“実録おんな鑑別所 性地獄”より 唄:梢ひとみ)
02. 実録おんな鑑別所 性地獄 M2-1(音楽:ダウンタウン・ブギウギ・バンド)
03. The CITY(音楽:樋口康雄)
04. Photograph(音楽:樋口康雄)
05. 海は女の涙(唄:石川セリ)
06. 人妻集団暴行致死事件 M-5(音楽:石間秀樹)
07. 人妻集団暴行致死事件 M-7(音楽:石間秀樹) 
08. 秘・肉体調教師 M22-a1(音楽:ハルヲフォン)
09. 濡れた荒野(音楽:玉木宏樹)
10. 壇の浦夜枕合戦記 M-ex1(音楽:沖至、中谷襄水) 
11. 煉獄のブルース inst(演奏:ダウンタウン・ブギウギ・バンド) 
12. 人妻集団暴行致死事件 M-3(音楽:石間秀樹)
13. 人妻集団暴行致死事件 M1-3(音楽:石間秀樹)
14. 実録おんな鑑別所 性地獄 M5-1(音楽:ダウンタウン・ブギウギ・バンド) 
15. 人妻集団暴行致死事件 M1ーA(音楽:石間秀樹) 
16. Dream(音楽:樋口康雄) 
17. 煉獄のブルース(“実録おんな鑑別所 性地獄”より 唄:宇崎竜童)  

「豹〈ジャガー〉は走った」*西村潔監督作品

豹は走った

監督:西村潔
脚本:石松愛弘、長野洋
音楽:佐藤充彦
演奏:宮間利之&ニュー・ハード
出演:加山雄三、田宮二郎、加賀まりこ、高橋長英、中村伸郎、神山繁

☆☆☆★ 1970年/東宝/95分

      ◆        ◆

 東宝ニュー・アクション映画の後期の作品で、加山雄三主演作品としては3作目。
 前2作、『狙撃』ではクールなスナイパー、『弾痕』では米諜報員を演じてきたが、今回は特命を受けた警視庁の警部。

    ☆    ☆

 東南アジアの某国でクーデターが起こり、国を脱出した大統領はアメリカ亡命のために日本に立ち寄る。クーデター派は、日本のアメリカ大使館での手続きの3日間の間に大統領の暗殺を画策。

 日本側は護衛として、警視庁警部で元オリンピックの射撃選手の戸田(加山雄三)に特命任務を与えた。それは「警察官の身分を一時剥奪し、暗殺者に対し先制攻撃で立ち向かう」ことだった。

 一方、大統領とビジネス関係にあり今回の国外脱出を工作した巨大商社の社長(中村伸郎)は、もう片方の手で革命側との取引のために大統領暗殺を仕組む。
 “死の商人”が選んだのが、国際的スナイパー九条(田宮二郎)。そして彼のコードネームが『ジャガー』。

 スイスから日本に舞い戻った黒豹のライフルと、鎖を解かれたシェパードのモーゼル。男と男の対決の時が迫る。

    ☆    ☆

 何と言っても、ピンクのシャツに黒のスタンドカラー・スーツで颯爽とした田宮二郎の、日本人にないスマートぶりに目を見張る。
 当時、この加山=田宮の対決は夢のような組み合わせだったはずが、どこかシャープさに欠けどてっとした感じの加山は、単に田宮を引き立てるだけの役になってしまったのが残念。

 そして田宮と同じように、日本人離れしたスタイルでふたりに絡むのが加賀まりこ。コシノ・ジュンコの衣装に身を包み、いい女っぷり満開です。
 彼女の役は中村伸郎の秘書。九条とは以前にも仕事をした仲で、日本に着いた黒豹に仕事の依頼とライフルとムスタングを渡す。久々の再会での会話がクールだ。

 加賀:しばらく、とも云わないのね。
 田宮:さよなら、とも云わない主義なのでね。

  ◇

 ハードボイルドなストーリーは、国際的な映画にしようとする試みもたくさん見られる。
 田宮の乗る車はムスタングで、加山は特別仕様のワーゲン・ビートルと後半にはオープンのアルファロメオ。空撮でアルファロメオの疾走を撮らえる画が格好いいです。
 九条のエピソードとして描かれる行きずりのロマンスでは、外国人女性を相手に田宮は全て英語で会話をする。
 ただし、このエピソードはストーリーの流れを止めかねない出来で、ラスト近くに田宮が吐くセンチメンタルな台詞のためだけにしてはあまりに陳腐だ。

 銃器庫での加山と担当官とのスナイパーに対抗するための武器選びは、ハードボイルドには欠かせないやりとりで、モーゼル銃にはショルダーストックが付けられ千メートルまで射程距離が伸ばせるとか、ワルサーにサイレンサーを装着するとパワーが落ちるとか、ニヤリとさせられる。

 大統領の滞在最終日、横田基地へ向かう一行を待ち受ける黒豹。そして追う猟犬。一触即発のなか、なんとか大統領は米軍基地のフェンスの向こう側に辿り着き、暗殺計画は終わる。
 しかし、男と男のプロの勝負は終わっていなかった。
 廃墟となった飛行機の格納庫での対決は、西部劇のように砂塵が舞い、舞台として最高。ただ、何かピリっとしないのがこの頃の日本映画の野暮ったさなのか、少し残念。

 対決前の男たちを見て加賀が呟く。
 「素敵ね、おとこって。ゲームは終わったのに、あのふたり………」

    ◆    ◆

 タイトルに名前はないが、外国人クラブのシーンに黒沢年男がワンカット出演している。これは、西村潔監督が同年製作した『白昼の襲撃』の外国人クラブを任された修(黒沢)としてのカメオ出演だろう。

the-target.jpg

石井隆の世界~歌謡曲10選

 “女と男の世界”を独自の視点で描き続けている石井隆は、2004年「花と蛇」で杉本彩 との相性の良さが実を結び、2006年にはパート2へと疾走した。
 石井隆の監督作品がこの17年間に13本と少ないとはいえ、1本1本が解き放つエロティックぶりは、石井隆のエロスの原点であるアントニオーニやポランスキーらを彷佛とさせる。

 その“エロス”を存分に書きなぐっていた劇画家時代の“名美と村木”が織りなすセンチメン タルなメロドラマの世界は、作品ごとに年齢も職業も違う土屋名美という女性が綴る普遍の女性像として歌謡曲がお似合いだった。
 名美の不幸や諦め、男への恨みと意地、おんなが再生するときに流れる通俗的な歌謡曲。土屋名美の世界として、それは鮮やかに決まっているのだ。

 70年代を中心に、石井隆の劇画と映画の中に流れる歌謡曲を10曲選んでみた。

 《本文は70年代カルチャー誌『Hotwax』第3号(2005年8月発売)に掲載された記事を加筆修正したものです。》

九月になれば

 朝晩涼しくなってきたと思ったら、9月なのです。

 我がドラゴンズは一体どうしてしまったのでしょうか………
 9月になって立て直し、出直しです。

 さて、初っぱなは告知だけしておきましょうか。

 14日発売のHotwax vol.6☆のサイトが立ち上がっていますのでお知らせいたします。

 Hotwax vol.6☆オフィシャルサイトはこちら☆

 なにせ今回は、第一特集の作品紹介を少々執筆させていただきましたので、より多くのひとに購入していただきたく、勝手に広報活動をさせてもらいます(笑)。
 詳しい内容に関しては、また後日に紹介いたします。

 さて今晩は、NHK-BS2『フォ-クの達人』で山崎ハコさんのライヴが見られます。『横浜ホンキー・トンク・ブルース』も歌うようです。
 ゲストの、根岸季衣&The Blues Roadの演奏も楽しみなのです。