TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

レコジャケのパロディ本



 レコード・ジャケットって、CD時代になってもアーティストのこだわりが表現されるアートワークであり、いままでにもジャケット集などというものは数々出版されているが、この本はいわゆるパロディ・ジャケットを集めた面白本だ。以前、同じ出版社から写真集の体裁で『ジャケット天国!』というカヴァー本を出していたが、これはもっとマニアックに、雑学的にまとめたものになっている。

 600点以上の掲載作品には、偉大なアーティストへのリスペクトや秀逸なアートワークへのオマージュ作品。そして痛烈なパロディ作品が網羅されており、その見事なこだわり精神に感嘆の声が出ます(集めたコレクターもお見事です)。まったくの偶然から似てしまったものからパクリものまでも、こうやって並べて見比べてみるとどれも圧巻。
 パロディやパクリってそのオリジナルを知っている事で成り立つわけだから、それを見つけた時には一種優越感みたいな気分を味わったりするわけで、そこに、いい大人が中古レコード屋の棚漁りする要因もあるだろうし、おバカなジャケットから見えてくるアーティストの熱い思いも感じ取ったり、洒落のわかる余裕を持つことが出来たりするから面白い。

 ダウンロードで音楽を聴くことが主流になりつつある昨今、やっぱり音楽をただ聴くだけではなくて、見て、触って、楽しむことがどれだけ素晴らしいことなのかを再認識できます。

 また本の装丁も凝っており、パロディ精神を発揮し易いビートルズの『サージェント・パパーズ』の表紙はもちろん、表4に至っては裏ジャケに印刷されていた歌詞のひとつひとつがモジられている。例えば『LUCY IN THE SKY WITH DIAMONDS』が『LOSIE GOING TO SCHOOL WITH DOG』といった風に、オリジナルの歌詞と見比べてみるのも楽しいし、本の付録として付いているステッカーデザインのポストカードは、イギリス・オリジナルmonoレコードにしか付いていなかったピンクの波型スリーブを模した袋に入っている、といったように細かな箇所にまでくすぐられる。

 一筋縄ではいかないこの蒐集本。レコード蒐集なんかに縁のないひとでも楽しめると思うので、書店でパラパラとめくって見てくだされ。

レコジャケジャンキー!
発売元:(株)音楽出版社
定価 :1,500円(税別)

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横浜ホンキートンク・ブルース

 ヨコハマにゆかりのあるミュージシャンらに好んで唄われる歌といえばこれだろう。
 ヨコハマに伝わる名曲、歌い手を選ぶ曲でもある。
 もともとは、俳優の藤竜也がトム・ウェイツのアルバムにインスピレーションを受けて作られたもので、藤が過ごしたヨコハマをセンチメンタルに綴った詩に、高校の後輩でもある元ゴールデン・カップスのエディ藩が曲をつけたものだ。

 最初にこの曲を聴いたのは松田優作の歌。工藤栄一監督の映画『ヨコハマBJブルース』('81)の中のワンシーンで、ヨコハマのうらぶれたブルース・バーで歌う松田優作のブルースにはシビレた。



 映画はヨコハマでのオール・ロケーションで、モノトーンの映像が艶っぽいハードボイルド映画。共演者(内田裕也、辺見マリ、宇崎竜童、蟹江敬三、馬渕晴子、財津一郎)のアクの強さを見ても松田優作自身撮影に力を入れた作品であり、優作の原案を常に共犯関係にいる脚本家丸山昇一がホンにしたものだが、これって実は、大好きなロバート・アルトマンの『ロング・グッドバイ』にインスパイアされたものなんだなぁ。まぁそれでも、映像の魔術師と云われた工藤栄一監督の作品だけにカッコ良く出来上がっている。


松田優作/HARDEST NIGHT LIVE

 竹田和夫とクリエーションをバックに、ROCKな歌声を披露する傑作ライヴ。作曲者のエディ藩も登場してのブルース・ギター競演は聴き応えあり。1981年リリース。

   たとえばブルースなんて聴きたい夜は
   ヨコハマ・ホンキートンク・ブルース

 藤竜也のレコードを持ち合わせていないのだが、確か“たとえば”のあとの歌詞は“トム・ウェイツ”だったはず。それを“ブルース”に変えて歌ったのが松田優作で、今ではこの優作ヴァージョンが代表になっている。



原田芳雄/BLUE

 松田優作に何かしらの影響を与えた原田芳雄。数あるアルバムからブルース曲ばかりを集め1990年にリリースされたベスト盤的CDで、原田芳雄のLPがCD化がされないことでこのシリーズ(他にREDとYELLOWがある)は重宝したのだが、現在は廃盤。ダウンロード版を聴くことはできるようだが………。
 名盤JUST SOME BLUESから5曲収められているのだが、目玉はトップに収められている「横浜ホンキートンク・ブルース」。このCDで初登場かな………一番好きなヴァージョンです。1984年名古屋・伏見のハートランド・スタジオという、小っちゃな小っちゃなライヴハウスの最前列で聴いたのが忘れられない。



JUST SOME BLUES

 「横浜ホンキートンク・ブルース」は入っていないが、1981年にリリースされた名盤。宇崎竜童がプロデュースをし、ダウンタウン・ファイティング・ブギウギ・バンドが全曲のバック演奏をしている。楽曲もほとんどが宇崎&阿木コンビで、ホーン・アレンジに大木トオルが参加している大傑作アルバム。社会の底辺にいるものたちの声なき声を唄った「I Saw Blues」は最高。内藤やす子が唄っていた「Lazy Lady Blues」の原田芳雄ヴァージョンもいい。

 ………



宇崎竜童/SMOKE & BOURBON

 ダウンタウン・ブギウギ・バンド時代を含め過去の代表曲をブルース/ロック調にアレンジして、ライヴハウスの紫煙の中で聴いているような雰囲気のセルフ・カヴァー・アルバム。デビュー30周年を記念して2002年にリリースされた。
 この中の「横浜ホンキートンク・ブルース」は、バンド時代の朋友和田静男のギターがむせび泣くレイジーなブルースに仕上がっている。和田静男は、自身が経営するバーのライヴでこの曲を定番にしているらしい。
 また、例の“ブルース”という歌詞をここでは“Tボーン”と変えて唄っている。



エディ藩/BLUE JADE

 1982年リリースのエディ藩のソロアルバムで、クリエーションも参加した洗練されたブルース・ロック・アルバムになっている。エディの「横浜ホンキートンク・ブルース」は、原田芳雄や松田優作に比べかなりサラっと唄っている。ディープなブルース感ではなくアダルト・コンテンポラリー風の趣きだ。
 

EDDIE BAN & ROXVOX/Another Better Day

 これもエディ藩。2004年に久しぶりにリリースされたアルバムで、ライヴハウスでの演奏風にリラックスしたセッションからは、大人のブルースの香りがいっぱいする好アルバムだ。「横浜ホンキートンク・ブルース」以外にも、カップス時代の大ヒット曲「長い髪の少女」が唄われ、エディの唄心に酔うことができる。
 ゴールデン・カップスの再結成ライヴ『ワンモアタイム』にもエディ・ヴァージョンが収録されている。これはDVD-BOXが出ているのでライヴ演奏を見ながらの方がいい。涙ものだ。


yokohamaragtime.jpg
石黒ケイ/YOKOHAMA RAGTIME

 さて「横浜ホンキートンク・ブルース」を唄うのは何も男性ばかりではない。ムードぴったりな女性がこの石黒ケイ。アルバムは、彼女のホームグラウンド横浜をコンセプトにした曲ばかりで1981年リリース。彼女を初めて聴いたのは1980年の『アンダートーン』で、これは一種のジャズアルバムとして聴くものなんだなと云うのが第一印象。五木寛之や糸井重里などの文化人から好かれ、アンニュイな歌声と歌のスタイルがこの曲にぴたりとハマっている。



石黒ケイ/LIVE SELECTION

 引退状態から16年経った2004年に、突然リリースされたのがこの80年代の未発表ライヴをセレクトしたアルバム。石黒ケイの魅力にあふれた好ライヴで、「横浜ホンキートンク・ブルース」のブルージーさはライヴハウスならではのサウンドだ。
 浅川マキの「ジンハウスブルース」と山崎ハコの名曲のひとつ「サヨナラの鐘」をカヴァーしているのも聴きもの。

 もうひとり、レコーディングはされていないが山崎ハコがライヴで「横浜ホンキートンク・ブルース」を歌っている。彼女も、原田芳雄の歌うこの曲がカッコ良かったと話しており、歌詞に登場するサラという女性に憧れここ何年かのライヴの定番曲になっている。


★ ヨコハマBJブルース ★
★ ロング・グッドバイ ★



今日は告知だけ

 昭和歌謡をエンターテインメントに紹介している音楽番組に、『徳光&コロッケ“名曲の時間です”』(テレビ東京:月曜22:00~)というのがあり、次回2月20日放送がフォークソング特集。

 ゲストは杉田二郎、西島三重子、長谷川きよし、細坪基佳、丸山圭子、山本コウタロー、りりィといった面々で、杉田二郎以外はテレビ出演が珍しい方々ばかり。
 リリィは、ツインヴォーカルユニット“リリィ&洋士”での出演で、一番楽しみなふたりです。
 西島三重子は、最近車のなかで頻繁に聴いていたので何だか奇遇です。

 楽曲についてのコメントはまたの機会に……

 よくお邪魔する帝都熱烈音盤戦線の路傍の石さんが、この番組を毎週解説を交えながら楽曲紹介されますので、ぼくはそれを楽しみにしているのですが………只今、諸事情によりしばらく更新がされていないのが残念です。
 来週には復帰されますかね………笑。

 別の話として、去年山崎ハコがデビュー30周年を迎えたことで、そろそろテレビでも見てみたいのだが………。

鉄砲玉の美学/中島貞夫の世界

 Hotwax Trax 第4弾として『鉄砲玉の美学/中島貞夫の世界』が2月4日に発売された。



 70年代の中島貞夫の映画は、通称チンピラ映画。
 スクリーンの中では、どうしようもないクズたちが徒花のごとく血の華を咲かせながら散っていく。そして、日本のロックや歌謡曲がカッコ良く使われていたサウンドは、日活ニュー・アクションとは違った危険な香りがプンプンしていた。

 その危険な香りの一番手が頭脳警察。1970年の日劇ウエスタン・カーニバルでの伝説(ステージ上でのヤバイ行為は、ここでは書けない)から始まり、超左翼系バンドの名前を欲しいままにしていた。ヴォーカルのPANTAの少し外れた歌声が、TOSHIの刻むビートに絡みながらヤバく暴れまくる。「銃をとれ!」「赤軍兵士の詩」「世界革命戦争宣言」は、あの時代のなかでは語るべくして生まれた歌詞だったと思うのだが、1stアルバムと2ndアルバムは発売禁止になっている。(2001年になって発売された)
 ここに収録されている「ふざけるんじゃねえよ」は、初めて店頭に並んだ3rdアルバムのトップを飾った曲で、中島貞夫がATGで制作した『鉄砲玉の美学』に使われた。(映画の方が先だったと思う)
 オープニングのカッコよさと、渡瀬恒彦演じるチンピラの哀しさが滲む映画だったなぁ。
鉄砲玉の美学_pst

 ブルーコメッツのヴォーカルはもとより、70年代から90年代にかけて歌謡曲やポップスには欠かせなかった井上忠夫のサウンドは、大野克夫やミッキー吉野と並ぶ忘れられないクリエイターだった。59歳での死去は悔やまれる。

 70年代の荒木一郎は、映画音楽の仕事とともにロマンポルノなどでも活躍しておりました。
 梶芽衣子と野坂昭如の唄は昭和の逸品。橘真紀が唄うやさぐれ歌謡「酔いどれ女の流れ歌」も、まさに昭和!
 
 そして、このアルバムの目玉は個性派男優・粟津號(あわづ ごう)の怪曲「人体改造」………これはスゴイ! この一曲だけでも購入の価値あり(笑)。
 1972年に神代辰巳の作品でデビューをして、ロマン・ポルノだけでも30本近い出演。そしてテレビ・映画にも欠かせなかった彼でしたが、2000年に永眠。享年55歳は早すぎる。
 「生きる辛さに泣きはしない 生きる喜びに涙する」彼の言葉です。


収録曲
01. ふざけるんじゃねえよ(唄・演奏:頭脳警察)
02. ジーンズブルース・明日なき無頼派 M-2(音楽:井上忠夫)
03.りんどばーぐスペシャル(唄:ピートマック・ジュニア)
04.ポルノの女王・にっぽんSEX旅行(音楽:荒木一郎)
05. 女番長・感化院脱走 M-14(音楽:荒木一郎)
06. 女番長・感化院脱走 M-6(音楽:荒木一郎)
07. ジーンズぶるうす(唄:梶芽衣子)
08. ジーンズブルース・明日なき無頼派 M-9(音楽:井上忠夫)
09. ジーンズブルース・明日なき無頼派 M-7(音楽:井上忠夫)
10. マリリン・モンロー・ノー・リターン (唄:野坂昭如)
11. 女番長・感化院脱走 M-7(音楽:荒木一郎)
12. 893愚連隊テーマ(音楽:広瀬健次郎)
13. ワン・ナイト、ワン・キッス (唄:ケン・サンダース)
14. 唐獅子警察のテーマ(音楽:広瀬健次郎)
15. 実録外伝 大阪電撃作戦テーマ(音楽:津島利章)
16. 人体改造(唄:粟津號)
17. 沖縄やくざ戦争 M-3(音楽:広瀬健次郎)
18. 現代やくざ 血桜三兄弟(音楽:山下穀雄)
19. 酔いどれ女の流れ歌(唄:橘真紀)
20. りんどばーぐスペシャル part2(唄:ピートマック・ジュニア)
21. 女番長・感化院脱走 M-10(音楽:荒木一郎)
22. 今日は別に変わらない(唄・演奏:頭脳警察)
23. ジーンズブルース・明日なき無頼派 M-15(音楽:井上忠夫)



    ☆    ☆    ☆

 ところで、松田優作や原田芳雄の唄で知られる名曲「横浜ホンキートンクブルース」(藤竜也作詞・エディ藩作曲)が、荒木一郎の「りんどばーぐスペシャル」(荒木一郎自身もセルフカヴァーしている)にそっくりなのだが………。
 アリスにもパクられていた荒木一郎の音楽は秀逸だ。

愛しき人へ/稲葉喜美子


愛しき人へ
 シンガーソングライター稲葉喜美子のアルバムで「やさしきひとへ」と読む。
 1993年までに9枚のアルバム(オリジナル&ベスト)を出している彼女の1982年のデビューアルバムだ。

 「第二の中島みゆき」などと云われたのは、彼女の歌の世界感の重さからか。山崎ハコとも並べられていたが、当然、似ているわけではない。(かなりの曲に山崎ハコの夫・安田裕美が、編曲やアコースティック・ギターで参加している)

 ハスキーな声と独特な節回しで、ディープな世界をよりブルージーな情景として唄う稲葉喜美子の世界には、男についていない女、男と女の駆け引きや男の下心を見通した女、そして、堕ちてしまった女たちが居ついている。
 
 石黒ケイの『港のマリア』から名付けたのだろうか自分のことをマリアと呼び、西岡恭象の『プカプカ』の歌詞に出てくるようなイメージの彼女。

  俺のあん娘は煙草が好きで いつもプカプカプカ
  ……………………
  幸せってやつがあたいにわかるまで あたい煙草やめないわ


   ☆    ☆    ☆

催愛術
 オンナに生まれたことしか取り柄がない女が、一生に一度の我が儘だと憧れのひとに呪文をかける。目を醒ました彼が微笑みながら愛していると囁いたそのあとに、君は段々と僕を嫌いになるとたしなめられる女。

眠れない夜
  想いだされるくらいなら 忘れられたままでいい
  中途半端なやさしさなら くれない方がいい


 男が酒に酔うように、男に酔う女のひとりごと………。

はあばあぶるうす
  カッコつけきれずヨコハマ 公衆電話捜して
  けれどもポケットのなかに10円玉ひとつない
  電話ボックスの扉を 握り拳で叩いて
  カッコつけてヨコハマ 鼻唄まじりブルース


氷雨
  別れ噺 切り出す あんたのその唇
  ついこの間まで 火傷するほど熱かった


 ルージュを変え彼の好きなトワレで出向く女のドラマは、彼のために伸ばし始めた黒髪に冷たい雨が打つことで終わる。JAZZYなピアノが奏でるブルース感たっぷりな名曲。

日の出町ブルース
  皮肉なもんさね 日の入りから稼ぎどき

 50絡みの立ちんぼの猫撫で声や、顔なじみのストリッパーのいたわりや、トルコ嬢の情けが沁みる町横浜日の出町。赤線時代の名残ある風景からは、女たちの息づかいが聴こえてくる。代表曲のひとつ。

夢の燃えがら
  どうせ男はと口にしてきたせいなのか
  それとも 男が所詮そんなもんだったからなのか

  共倒れるよりはマシ 今 離れた方が


   ☆    ☆    ☆

 残念ながら、稲葉喜美子のアルバムは全て廃盤扱いになっている。《あ~る盤》というオンデマンドCD-R盤で手に入れることは出来るのだが、きちんとした形で残して欲しいアーティストのひとりだ。

'77年の映画ノート

 この年あたりから、邦画を見る本数が洋画を見るより多くなってきた。ROMAN PORNOは封切り時に通うようになり、つまらない映画に出会えば退館することもしばしば。邦画・洋画とも二本立てだからと無理して2本目も見ることはしない。さっさっと帰る方が身体によい。
 まぁ、気に入れば一日映画館にいることもあれば、後日くりかえし見ることは変わらず。
 ベスト・テンは、長谷川和彦作品とATG作品に尽きた年だった。

◆'77年の邦画ベスト・テン

01 青春の殺人者 
02 藤本義一の“市井”・本番 
03 日本人のへそ 
04 竹山ひとり旅 
05 不連続殺人事件 
06 黒木太郎の愛と冒険 
07 悪魔の手毬唄 
08 HOUSE ハウス 
09 江戸川乱歩の陰獣 
10 霧の旗
 

ラビ

 熱烈でコアなファンがいる孤高のシンガーソングライター、中山ラビ。
 1999年にライヴ活動を復活させ、現在2枚のライヴアルバムを出している。

 登場は70年代初頭、岡林信康や加川良らのいた関西フォークからで、ギターの弾き語りで唄われる歌の社会性から“女ボブ・ディラン”と異名をとっていた。
 その社会性は1stアルバム『私ってこんな』のなかの一曲「13円50銭」で見られる。
 関東大震災時の朝鮮人虐殺を唄ったもので、「50銭」を「コチーセン」と撥音することで朝鮮人を見分けた踏み絵的言葉がこのタイトルで、ラビは「コチーセン」と撥音しながら朝鮮人側に立ちその心象風景を唄っている。一時発売禁止か放送禁止になっていたはず。

 年齢不詳。低く独特の歌声と、抜群の歌唱力を備えていたことも魅力的だった。



ラビ女です
 75年の3rdアルバムで、バンド編成になりブルース、ロック色が強くなっており好きな1枚。
 彼女の力強い歌唱には、このアルバムのようなサウンドが似合っていたように思う。


 歌唱力のある実力派で、個性も豊かで魅力的なラビ。しかし無名だった。
 前髪を揃えたストレートな髪に、T-シャツ姿だけではビッグになれない。
 80年代に入り所属レコード会社のキティは大胆にラビを変身させた。
 プロデューサーに加藤和彦を迎え、スタイルは濃いメイキャップにウェイビーな髪。プロモーションのライヴでは黒の下着姿で行われたらしい。



MUZAN
 1982年に発売された8枚目のアルバム。
 プロデューサーの加藤和彦自身が発売したヨーロッパ3部作の中の『うたかたのオペラ』に近い妖艶なアルバムだ。マレーネ・ディートリヒを思わせるような、気だるい退廃美が匂う。
 ヴォーカリストとしてのラビでは、この後の2枚『SUKI』('83)『甘い薬を口に含んで』('83)とともに好きなアルバム(3枚ともPr:加藤和彦)。
 『甘い薬を口に含んで』は作詞に安井かずみが参画しローマでの録音となった。が、やはり売れなかった。

 その後、一枚アルバムを出してから活動を停止していた。
 


ラビ


ラビing
 復活の狼煙となったライヴ盤は、ラビ組というバックバンドを従え全曲既発の曲ばかり。ロックサウンド(パンクっぽい)と弾き語り、そして2ndアルバムから「ひらひら」加藤和彦との「グッバイ上海」を新たにスタジオ録音している。
 
 ステージ写真はショートカットの金髪にタンクトップに編タイツ姿。そして、このスタイル以上に驚くのがパワフルな歌声だ。年齢やブランクからくる衰えが一切ない。
 CDだけでもその凄さを感じるのだから、生のステージにも触れてみたい。ラビingのサイトでステージの模様を知ることができる。

「博士の愛した数式」*小泉堯史監督作品




原作:小川洋子
監督・脚本:小泉堯史
出演:寺尾聰、深津絵里、齋藤隆成、吉岡秀隆、浅丘ルリ子

☆☆☆ 2006年/日本、アスミック・エース/117分

    ◇

 「潔い」  綺麗な言葉だ。
 この「潔さ」で、ひとの生き方のうつくしさが決まるのだろう。
 
 自分が関わったことには、全部に責任が伴う

 みんな優しいひとたちだ。博士も、家政婦も、その息子も。ひとに対する「いたわり」と「尊敬」と「思いやり」………当たり前のことが静かに描かれていく。
 そこに流れる時間が、見る者を温かく迎えてくれる時間が、じつに心地よい。

 事故の後遺症で記憶が80分しか続かない天才数学者が示す倫理、論理、美学、そして存在はじつに哲学的だが、ひとへの気持ちを数式で表現する博士の「思いやり」「慈しみ」こそ、うつくしい日本人の佇まいのように見える。

 そう云えば博士は、数式の証明にも美しさがあると云う。東野圭吾の『容疑者Xの献身』にも、そんな言葉が出てきたのを思い出した。

 映像のなかには、余分な言葉がない。
「こころで感じとる」ことで本質が見えてくると諭される。

 そして、こころ温まる物語の中に隠れた哀しいロマンスの描き方も、うつくしい。
 簡素な文章の行間から物語を読み取るかのように、さり気ない挿入で観客はもうひとつのストーリーを思い描くことができる。
 博士の義姉のこころの内に流れる時間の重さが、短いカットやシーンで綴られる美学。
 静かな佇まいで演じる浅丘ルリ子もまた、うつくしい。

The Rolling Stones 名古屋公演

 ローリング・ストーンズの名古屋公演のチケット発売(プロモーター先行予約は既に行われましたが……)が正式に発表になった。

The Rolling Stones “A BIGGER BANG TOUR”

日時:2006年4月5日(水) 開場17:00 開演19:00
会場:ナゴヤドーム
チケット:S席¥18,000/A席¥15,000/B席¥13,000/C席¥9,000
     ゴールデンサークル¥55,000
主催:ZIP-FM/WOWOW


 今度の土曜日2月4日に先行発売があるので、とりあえず報告。

 主催は、思ったとおりの地元FM放送局のZIP-FMだった。
 運営にあたりボトムラインの名があるのだが、ボトムラインでシークレット・ギグなんか演ってくれないかな、って夢想するのも楽しい………笑。


   ☆    ☆    ☆


 ストーンズに興味のない方には55,000円の席があることに驚くでしょうが、今回の北米ツアーでは400ドルが一般。ゼニ儲け主義のミック・ジャガーといろいろ云われるこの何年かです。
 でも考えようにによっては、公式にステージに近い席を高額に売るのは理に叶っているのかも。
 大体が、だだっ広いアリーナ全部とスタンド席の一部が同一料金なのもおかしな話で、だからオークションでの高騰やダフ屋が蔓延るのだと思うのだが。
 まぁそれでも、いろいろ不公平感は出てきますが。

 先日、中村勘三郎氏がTVでこんな発言をしていた。
 自身の中村座に於いて観劇料がベラボウに高い席を設けて、逆にお金のない若いひとらには安く観るられるようにしたいと。そのひとたちが高額席のひとに対し『ぼくらのためにアリガトウゴザイマス』と云うのが愉快だってさ。
 面白いひとです。