TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「フライトプラン」



FLIGHTPLAN
監督:ロベルト・シュヴェンケ 
脚本:ピーター・A・ダウリング、ビリー・レイ 
音楽:ジェームズ・ホーナー 
主演:ジョディ・フォスター、ピーター・サースガード、ショーン・ビーン、マーリーン・ローストン 

☆☆☆ 2005年/アメリカ/98分

    ◇

 高度一万メートルを飛ぶ大型旅客機の機内からひとりの少女が姿を消した。
 緊迫した空間のなかで必死に娘を探しまわる母親を演じるのがジョディ・フォスター。
 ミステリーテイストと、知的演技派女優の出演とあれば見ずにはおけない映画だった。

 突然の夫の死によって深い消失感を抱えた飛行機設計士カイル(ジョディ)は、ひとり娘ジュリアを伴い夫の棺と共にベルリン空港からニューヨーク行きの最新鋭のジャンボジェット機に乗り込む。軽い眠りから醒めたとき、娘が消えた……。

 娘の行方不明に気づいてからのなりふり構わない言動は母親としてすごく心強いけれど、まぁ何と他人に迷惑をかけることか。逆に、乗客は何と無関心のことか。航空法に基づき全居室の捜査を開始する機長らフライトアテンダントの態度も冷たい。そして怪しい。
 乗客や乗務員全員が怪しい素振りをしているから、逆に普通そうな人物が怪しいのかと勘ぐってしまう。

 乗客も乗務員も誰も少女を見ていないと聞かされてから、段々と表情が険しくなるジョディの迫真の演技は凄く、母親の顔として凄い形相のジョディははっきり云って恐い。
 
 前半はヒチコック並みのミステリー満載で、緊迫感もかなりのものである。
 そして告げられるひとつの事実………ここまでが中盤。

 しかしここまでは予告編で知っているのだ。予告編は見せ過ぎ。配給会社からすればこの映画は“アクション・サスペンス”のつもりなのか、前半の謎の部分を予告編でネタバレさせていたのには閉口。
 なにせ、密室の中から消えた少女の謎という最大の解決篇になる後半の出来があまりに貧弱なのだから、あとはジョディのアクションしか見るところがない。まぁそれも、ジョディの独断場として見応えはあるのだが……。

 種明かしされた一見綿密そうな計画も、映画のプロットだからのものでじつは穴だらけ。そこんところは目をつぶって、大型飛行機の中を縦横無尽に走り回るジョディのアクションだけというのでは、ジョディの存在感が際立つだけに実に残念だ。

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12人の優しい日本人



 日本に陪審制度があったら?そんな仮定のもとに、映画『12人の怒れる男」(シドニー・ルメット監督)のパロディーとして東京サンシャインボーイズが1990年に初演した戯曲で、パルコプロデュースとしては1992年以来の上演(初演からは再々々演になる)。1991年には中原俊監督によって映画化され三谷幸喜の名前が巷に広まった作品でもあり、劇団からはオリジナル・キャストの梶原善、相島一之らの映画デビューでもあった。

 とにかく今までにも増して厳しいチケット争奪戦だったこの舞台。東京公演の先行予約はすべて玉砕。しかし何という奇跡! 大阪公演の主催者先行予約で前から6列目というベストポジションを手に入れた。神に感謝……なんて大げさなことを云いたいくらい、三谷幸喜の舞台はいつもプラチナチケットなのだ。(1月20日観劇)

    ☆    ☆    ☆

 日本でも陪審制度が現実になってきた現代だが、日本人は議論をすることに馴れていないといわれている。そんな人間たちが審議など出来るのだろうか?
 この作品では、その口べたやら理論立てて話せない人たちと議論好きな者たちとの激しい言葉のバトルにより、情や理論に揺れる人間の悲喜が笑いとともに描き出されていく。

 自分勝手な意見ばかり云う人、人の意見にコロコロと影響される人、優柔不断な人、ひとの意見を一切受け付けない人、人情に弱い人……この“優しい”日本人たちからは、止めどない笑いしか生まれてこない。
 最高の法廷劇は、最高の会話劇であり、最高の喜劇だ。(不満がないでもないが、それはネタバレで………)
 
 舞台は一幕。登場した12人が、扉の向こう側から入ってきた瞬間から最後まで、ひとりとして舞台をおりることがない。熱く議論を交わしている者だけではなく、周りにいる全員から目を離せない。12人全員に観客の目や耳が注がれるから、役者たちの緊張感は計り知れないだろう。役者全員の言葉の格闘技と緊張感の維持が、観客にとってのこの舞台の大いなる魅力となっている。それは12人が退場するまで、一切の音楽や効果音が使われていないことに気づかないほどにである。

Gentle 12
◆脚本・演出:三谷幸喜
◆出演:浅野和之、生瀬勝久、伊藤正之、筒井道隆、石田ゆり子、堀部圭亮、温水洋一、鈴木砂羽、小日向文世、堀内敬子、江口洋介、山寺宏一(陪審員番号順)
◆公演:東京/2005年11月30日(水)~12月30日(金) PARCO劇場
    大阪/2006年1月6日(金)~29日(日) シアター・ドラマシティ

★千秋楽前日の1月28日(日)pm19:00~ WOWOWにて生中継

◆以下、ネタバレがいっぱいなので未見の方はご注意を。

神はサイコロを降らない 第一回

 黛ヤス子(小林聡美)のモノローグからどことなく2003年の『すいか』を思わせる。ヤス子が弟の菊介(武田真治)と住んでいる家がハピネス三茶に見えたり、ともさかりえとの共演だったり、演出家が佐藤東弥だからだろうな。市川実和子はハピネス三茶の大家(市川実日子)の姉だし……(笑)。
 そんなことを思いながら見ていくと、少し毛色の違うドラマ展開になっていく。SFっぽく不思議なお話である。

 東洋航空402便が行方不明になった1996年。東大の物理学教授・加藤久彦(大杉蓮)は、10年後の2006年2月10日に時空を越えて再び帰還すると断言。この大杉蓮のキャラクターが、『バック・トゥ・ザ・フィーチャー』のドクター・ブラウンのようなハイテンションでいいなぁ。
 そして10年後、東洋航空に勤めるヤス子が38歳の誕生日を迎えた二日後に、乗員乗客を乗せた東洋航空402便が姿を現わす。
 遺族会会長の甲斐役の尾美としのりと小林聡美の“転校生コンビ”は久々の共演で、それこそ年月を感じるふたりだ。

 10年という歳月で人間はどれだけ変わってしまうのか。また、変わらずにいられるものなのか。
 自分の居場所って、そうそう簡単に見つけることはできない。探しているうちに昔の自分と違うって人に云われても、どうしようもないよな。

 10年前の亜紀(ともさかりえ)に「10年なんかに負けてんじゃねぇよ。汗をかけ、こころに汗をかけ。勝手に人生捨てんじゃねぇよ。」って、ヤンキー口調で云われるヤス子。
 普通に10年を過ごしたヤス子は反発する。「18歳から28歳の10年と、28歳から38歳の10年は違うのっ」
 10年という時間を失ったひとたちから問いかけられる、自分の10年間って何だろう。
 ヤス子側から見て、ちょっと自分を振り返ってみるドラマかもしれない。

 それぞれの乗客の成り行きも気になる次回。そして、天才ピアニスト瑠璃子役の成海璃子ちゃんにも注目。

神はサイコロを降らない  第1回(1月18日放送)
脚本:水橋文美江
演出:佐藤東弥、南雲聖一 
原作:大石英司
出演:小林聡美、ともさかりえ、山本太郎、尾美としのり、市川実和子、成海璃子、岸部一徳、大杉蓮、高橋恵子、武田真治、明星真由実、ベンガル、大川栄子

☆☆☆★ 日本テレビ系水曜日22:00~22:54(初回~23:09)

けものみち 第一回

 冒頭、取り壊しの病院跡にそびえ立つ十字架を引き倒す小滝(佐藤浩市)。傍らにいる民子(米倉涼子)を魑魅魍魎の世界へ引き込む暗示的なシーンから、暗闇を疾走する車の中へとつづく序章は快調。

 脳硬塞で倒れ寝たきりの生活をする夫を抱え、料亭旅館で働きながらジュエリー・デザイナーを夢見る民子は、嫉妬深く酒びたりの夫との生活の日々の生活費を稼ぐだけで精一杯で、出口のない毎日に疲れ果てている。前半、民子が夫を焼き殺すまでのジリジリとした息苦しさが、閉息感で充満している仕事場とともによく表れていた。

 『黒革の手帖』同様に悪人の品評会の中、米倉涼子のワルぶりは鬼頭(平幹二朗)の前に出てからの開き直りとふてぶてしさで決まり。
 若村麻由美の氷のような佇まい、東ちづるの貫禄、星野真理の嫉妬深さと、女たちの憎々しい模様も息を飲むし、何と云っても平幹二朗の怪演ぶりは、眼光の奥のおどろおどろしさに加え老獪かつ滑稽な様が、さすがシェークスピア俳優。

 米倉の低い声でのナレーションと、朗々と歌い上げる中島みゆきの声が映像にピッタリ嵌まっている。

原作:松本清張
脚本:寺田敏雄
演出:松田秀知、藤田明二 
主題歌:「帰れない者たちへ」中島みゆき
出演:米倉涼子、佐藤浩市、仲村トオル、平幹二朗、若村麻由美、東ちづる、吹越満、星野真理、田丸麻紀、上原美佐

☆☆☆★ テレビ朝日系木曜日21:00~21:54(初回~22:09)

負ける時もあるだろう~三上寛

 三上寛……どんなジャンルにも属さない孤高の歌い手。
 シンガー、詩人、アナーキスト、そして存在がブルース。

 71年の中津川の舞台でデビューした彼のアルバムを聴いたときの衝撃は大きい。「ひびけ!電気釜」と怒号し、「犯されたら泣けばいい」と恨み唄うのは、人間の哀しみと破壊性。そのアナーキーさは尋常ではなく、不快さを伴いながら人間の暗黒部をさらけ出す「うた」の毒は、非常に危険で聴く者を打ちのめしてきた。

 72年までのURCレコードでの魑魅魍魎さに比べ、70年代後期のレコードは歌謡曲っぽく怨歌・情念・恋歌を表現してきた。
 そして傑作が多く生まれた。
 その70年代後期の名作『負ける時もあるだろう』『青い炎』『』『夕焼けの記憶から~青森ライヴ』の4枚の廃盤・未CD化レコードが、インディペンデントレーベル(うち1枚はビクターエンタテインメント)からデジタル・リマスターされ紙ジャケットで発売された。



はじめの4曲「そうさあの日の夜は」「泣けてくるよ」「人間とはなにか」「せりふ」は、哀感を込めた、場末の酒場でひっそりと唄われるような歌謡曲。貧しくて惨めったらしい四畳半的な唄からは、市井の人間が浮かび上がる。どこか昔のイタリア映画のリアリズムを感じことができる。
“男にとっては何でもないことでも 女にとっては命がけのときがある”と唄う「関係」や「花子と太郎の恋物語」の日本的恋愛の姿。
「オートバイの失恋」「三上工務店が歩く」………どれをとっても名作。


負ける時もあるだろう
震えるほどに言葉が光り輝いている。
それまでの危険な香りが内包され、閉じ込められなかでチロチロと燃える炎のごとく、切ない叙情ある言葉と唄の数々。
中村誠一の弾けるようなサックスが踊る「ふしだらの傾向」。タイトル曲「負ける時もあるだろう」は、オーケストラをバックに物語られる。
言葉がウネウネと聴くものの体内を這って同化し、こころを鷲掴みされる傑作だ。
何か一枚と云うならば、これしかない。

    ◇    ◇    ◇

 上記シリーズではないが、メジャー・レーベル最期のアルバム(81年)もいい。


Baby
小室等、りりぃ、井上陽水、宇崎竜童、山崎ハコ、クニ河内、斉藤哲夫、惣領智子、大塚まさじ、菅野賢二らから提供された楽曲を、ヴォーカリストとして三上が歌うアルバム。彼の人脈の広さに感心しながら、ひとつひとつの曲から発せられる三上の歌声は素敵だ。
とくに「幸せの手紙」(りりぃ)「うわさによれば」(山崎ハコ)は、哀しい女の情感が伝わってくる。

 この3作は、昭和歌謡のブームのなか大西ユカリなどを聴く方々には、ぜひ一度聴いていただきたい。

  ◆    ◆    ◆

 90年代からはPSFレコードから精力的にアルバムを発表しているが、ぼくは80年代以前のように聴くことはなくなった。
 久々に最新録音を買ってみたのがコレ。


異義ナシ!
20年ぶりの新宿2丁目でのライヴはデビュー当時を彷佛とさせる熱い弾き語りで、「夢は夜ひらく」「オートバイの失恋」「青森県北津軽郡東京村」を再び絶唱している。

 幻の作品「補遺」と「1972・高知大学ライヴ」も、インディペンデントレーベルから発売されたが、コアなファンだけがお聴きください。灼けど、するかも。

白夜行 第一回スペシャル

 ◆ネタバレを含んでいるので未見の方はご注意を。







 原作を大きく改変し事件全体の謎と要因をはじめに明かしてから綴られるこのドラマのオープニングが、原作のラストシーンを冒頭に持ってくることは予想できたが、いかにもリアル感のないドラマ仕立てのうえ、間延びした雪穂と亮司の再会シーンには気を削がれた。これは、同じスタッフ・キャストで制作したドラマ版『世界の中心で愛をさけぶ』での空港シーンと同じで、創る側の思い入れが過剰過ぎる。お互いが名前を呼び合う演出もこれ見よがしな感じで興醒めするし、なんと云ってもこれでは、雪穂の人物像が原作と大きく違う印象となってしまったのが残念。ここは無言の演技で、原作『白夜行』のタッチを尊重して欲しかった場面だ。

 見事だったのは幼年期の雪穂と亮司。特に雪穂の、過酷な運命に耐え、苦しみ、怒り、絶望し、そして哀しみと決意の姿を演じた福田麻由子の卓越した演技力は傑出している。成長した雪穂役の綾瀬はるかの演技を不安視させるほどだ。
 『ドブの花』と『ドブの月』のエピソードも、原作に書かれなかったふたりのこころの通い合いを描いたシーンとして出色。脚本家森下佳子のオリジナルとして、こういった繊細で情緒ある箇所は今後も望むところだが、一方で、スリリングさを一気に視聴者に示すために、笹垣刑事がいち早く子供らに目をつけるといった不自然さもある。証拠品のハサミを雪穂に返却するのも何らかの説明が欲しいところ。あそこのシーンは、福田麻由子の表情の変化が印象的で好きなのだ。

 雪穂「こうなったらどこまでも生きてやろうと思っています。親を殺してでも手に入れた人生だから。」

 今後、最高のピカレスク・ミステリーをただの恋愛主体のミステリーにしないために、この雪穂の決意の言葉が全編を貫く精神になってくれることを願う。生きるための共犯関係がふたりの根っこであり、あくまでクールな“悪の華”でありつづけて欲しい。
 なにしろ、第二話の予告で見る山田孝之の涙と綾瀬はるかの姿からは、原作の悪の香りが一切しないのだから心配だ。

白夜行  第1回(1月12日放送)
原作:東野圭吾
脚本:森下佳子
演出:平川雄一朗ほか 
主題歌:「影」柴咲コウ
出演:山田孝之、綾瀬はるか、福田麻由子、泉澤祐希、武田鉄矢、余貴美子、麻生祐未、八千草 薫(特別出演)、渡部篤郎(特別出演)、平田満、田中幸太朗

☆☆☆★ TBSテレビ系木曜日21:00~21:54(初回~22:48)


※ちょっとオマケ

ストーンズ来日正式決定!

 去年の東京2公演の新聞発表後ほかの公演地の情報が途絶えていたローリング・ストーンズの日本公演だが、13日のサンケイ・スポーツに5度目の来日公演が正式発表された。

 前述どうりの日程で
 3月22日(水) 東京ドーム
 3月24日(金) 東京ドーム
 3月28日(火) 札幌ドーム
 4月05日(水) ナゴヤドーム
 3カ所4公演で16万人を動員する予定だという。

 2週間の滞在で4公演ではあまりに少ないので、当初予定の30日仙台公演と4月2日埼玉公演も後日発表になると思うのだが………。
 今回は平日ばかりの公演で東京へも行けるかどうかと思っていただけに、来日初の名古屋公演が正式決定なのは何とも嬉しいかぎり。地元ならチケットもなんとかなりそうだし………。

 また、日本公演がWOWOWで放送される。と云うことは主催・協賛・後援のいずれかがWOWOWなのだろう。
 WOWOWにはノーカット生放送が期待できるだけに(過去のテレビ放送は地上派放送のため音質・画質に加えてCMタイムやらで満足のいくものではなかった。)、スポンサーに名乗りを上げてくれたのは朗報だ。

 ◆チケット一般発売日:1月28日(土)
 ◆チケット料金:S席 17,500円、A席 14,500円
         B席 12,500円、C席 9,000円
 ◆問合せ先:[JEC インターナショナル]03-5474-5944

西遊記

 月曜9時の新ドラマ『西遊記』が29.2%の高視聴率を取ったと、フジテレビが大騒ぎしている。
 当日の9時半頃にチャンネルを合わせたときには、一瞬『スマスマ』と見間違うくらいのコントシーン。唖然としたが、昨晩全編通してしっかり見直した。
 木村拓也をプロローグに登場させるとは…………。
 だから、フジの騒ぎぶりには閉口なのだ。

 香取慎吾は好きなタレントだ。演技の才能もあると思う。
 三谷幸喜のドラマ(『合い言葉は勇気』『HR』『新選組!』)ぐらいしか見てはいないが、彼の思いっきりの良さが役づくりに十分伝わるのが手に取るように分かる。いつも一生懸命なのだ。
 ただ今回、その一生懸命さが怒鳴り声ばかりに見えるのは残念だ。元気なのはいい。だけど見る者が息苦しくなるような演技はどうなんだろう。この調子で3ヶ月続くのか。
 
 ドラマを評するのは止めておくが、ひとり、凛凛役の水川あさみのおきゃんさが目を惹いた。
 それと猪八戒の「10倍頑張ればいいんだ」の台詞が印象的だったかな…………。

脚本:坂元裕二 
演出:澤田鎌作ほか 
主題歌:「Around The World」MONKEY MAJIK
出演:香取慎吾、深津絵里、内村光良、伊藤淳史、水川あさみ、大倉孝二

☆★ フジテレビ系月曜日21:00~21:54(初回~22:09)

島時間、悠々と。

正月三が日が過ぎてから、寒波の地を離れ沖縄へ出向いた。
今回は北部を中心にドライブするため、宿泊はブセナテラスを拠点。


沖縄も例年よりは寒い年初めだったようだが、それでもやはり南の地。
暖かな陽射しと風に吹かれ、ゆっくりとした時間のなかでリゾート気分を満喫。

やんばるの東海岸ロードめぐりはあいにくの雨模様。
それでも、2005年の2月に完成したばかりの沖縄一長い古宇利(こうり)大橋を渡るころには、雲の間に青空がのぞく。


車が全然走っていない。
オキナワは、いつものんびりドライブができるのがいいっサ~。


風が強いから、まさにザワワザワワ………




浜比嘉島(はまひがじま)までの海中道路を駆け抜ける前に寄った勝連城跡(かつれんじょうあと)。
沖縄の城の中では最も古いこの城跡から望む360°のパノラマ景観は壮快。


「濡れた週末」*根岸吉太郎監督作品




監督:根岸吉太郎
脚本:神波史男
出演:宮下順子、山下旬一郎、中島葵、亜湖、安達信康

☆☆☆☆ 1979年/にっかつ/70分

    ◇

 この作品は、にっかつだけで60本近い作品に出演し、72年から8年間主役を張り続けたスター女優宮下順子の最後の主演作で、監督は20代の根岸吉太郎の第3作目にあたる。
 根岸吉太郎監督の落ち着いた演出は師である藤田敏八を思わせ、しっかりと存在感ある演技の宮下順子が断然光る秀作だ。

 1979年のにっかつ(前の年から日活は“にっかつ”と名称を変更した)には、『天使のはらわた/赤い教室』と『赫い髪の女』というふたつの傑作が生まれている。男女の性愛を濃密に描いた『赫い髪の女』で流浪の女を演じた宮下順子は、今度は、婚期を逃した30代の女性の心の渇きとジェラシーを淡々と演じ、平凡な独身女性の焦りをリアルに感じさせてくれる。

 小さな町工場で働く志麻子(宮下順子)は、不倫関係にある経営者の後藤(山下旬一郎)の煮え切らない態度に寂しさを感じる日々を送っている。後藤の妻(中島葵)からは頻繁に見合いの話を持ちかけられ、小学生の娘の明美とは遊び相手となりながら、素知らぬ顔のまま逢い引きの場所に向かう志麻子。『黒の舟歌』を訥々と口ずさむその唄が、その後、徐々に変化する彼女のこころの機微に符号してくる。まるで神代辰巳作品を思い起こさせる手法。

 ある夜、工場に泥棒に入った矢野という若者と知り合うが、矢野はその場に来た後藤に叩き出される。
 数日後、後藤の家で明美と遊んでいた志麻子は、夫妻に2人目の子供ができたことを知る。それまで、ベッドの上で志麻子が必ず問う「奥さんと浮気していない?」の言葉が、とんでもなく意味もない空虚な言葉だったと思い知ることになる。
 後藤夫婦に嫉妬した志麻子は矢野を探し出し彼の部屋に住みつくのだが、そこに矢野の彼女も加わり奇妙な同棲生活が始まる。矢野は毎日を気怠く生きているだけの男だが、その気ままさに何となく安らぎを憶える彼女は、気を紛らわせるためにふたりに明美の誘拐を持ちかける。

 だが、それも幼稚な計画としてしらけた結末で終わってしまう。
 最後の精一杯の復讐も、彼女には虚脱感だけが残る始末。
 空き地の片隅に、赤いワンピース姿で身体を丸めて佇む志麻子。口ずさむ『黒の舟歌』が印象的で、宮下順子の虚ろな顔がとても美しく撮られているシーンになっている。
 
 ラスト、赤いワンピースに白のスーツケースを引きながら歩く宮下順子のカットが印象的だ。

 根岸吉太郎はこの後、81年にこの作品と同じ脚本家神波史男、助監督に池田敏春を配し、蜷川有紀主演で撮った意欲作『奇妙な果実』を発表、そしてATG作品『遠雷』とともにブルーリボン賞監督賞を受賞した。