TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

オーティス・ラッシュ/激情ライヴ!1976



 モダン・ブルースのギタリスト&ヴォーカリストとして大好きなアーティスト、オーティス・ラッシュの未発表ライヴの音源がCD化された。

 オーティス・ラッシュを聴くようになったのは、英国の白人ブルース・バンドを聴き出してからのこと。ピーター・グリーンのSo Many RoadsDouble Trouble、エリック・クラプトンのAll Your Love、ミック・テイラーやツェッペリンのI Can't Quit You,Baby、マイケル・ブルームフィールドのIt Takes Timeなど、その楽曲の印象は強い。
 スクイーズなギターが醸し出すエモーショナルな歌心で、聴く者のハートに強烈な個性として突き刺さる、悲哀感あるヴォーカルが魅力的なブルースマンです。

 その彼の最も油の乗っていた'70年代。このCDは、1976年にプロモーションのラジオ放送用にシカゴのクラブで録音されたもので、当時のレギュラーバンドがバックを支えているため、かなりエキサイティングで熱いステージが繰り広げられるし、またスローブルースも多く演奏し、その魅力を十分に堪能できる。

 このムチャクチャかっこいい演奏を聴いていると、名古屋公演でオーティスを間近で見たことを思い出します。ロックテイストのあるブルース・ギタリストという認識だったので、生のステージングの凄さに驚いたたものです。



 1975年7月26日(土)名古屋市公会堂で開催された『第3回ブルース・フェスティバル』のメイン・アーティストとして初来日。
 このCDのライナーで、近藤房之助が当時同じ地でオーティスのステージを見ていたことを知るのだが、そうか、名古屋のみB.BキングのSweet Little Angelを演奏したのか。覚えていなかった。

 ちなみに、『第1回ブルース・フェスティバル』は1974年の11月に、盲目のブルースマン、スリーピー・ジョン・エステスとロバート・ジュニア・ロックウッドがゲスト。『第2回ブルース・フェスティバル』は1975年の3月。ジュニア・ウェルズ & バディ・ガイ・ブルース・バンドがゲストだった。
 スリーピー・ジョン・エステスとロバート・ジュニア・ロックウッドは戦前に活躍したブルースマンで、既に時代から取り残されたブルースマンだったのだが、白人のブルースロックなどの流行から再注目をされ、この日本公演も久々の活動で脚光を浴びたふたりだった。



 オーティス・ラッシュの初来日公演のライヴ演奏は、東京・日比谷野外音楽堂での初日と最終日に録音された『So Many Roads/LIVE IN CONCERT』で全12曲を聴く事ができる。

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杉村春子・悪女の一生

 ドラマ“女の一代記”の最終話は『悪女の一生・芝居と結婚した女優/杉村春子の生涯』。
 米倉涼子の熱演で、全3話のなかで(第1話は『瀬戸内寂聴・出家とは生きながら死ぬこと』宮沢りえ主演)一番見応えがあった。
 第1話の瀬戸内寂聴が惚れっぽい女なら、この杉村春子は情熱の女だったのだろう。その情熱が男に対してよりも芸に対して大きな比重になったことと、3人の男が同じ病気で亡くなったことが“悪女”と云われる所以なのだろうが、実は、一番最初の男性への壮絶な想いが“芸”への強い想いになったことは明白だ。
 その最初の男が残してくれたスクラップを見つけ、慟哭するところの米倉の演技は鬼気迫るものがあった。
 それにしても米倉涼子の着物姿の粋さ。立ち姿といい、目の配り方といい、杉村春子が乗り移ったかのような身のこなし。大女優としての貫禄が備わってきたかのようだ。
 次回連ドラの『けものみち』への期待が大いに膨らんできた。

 ところで、杉村春子さんのドラマは日曜東芝劇場でよく拝見していた。たしか70年代、杉村春子さんと奈良岡朋子さんともうひと方(池内淳子さんだったろうか?記憶が戻らない)の三人の女優による、芸子が主人公だったシリーズがあったのだが、タイトルを思い出せない。
 う~ん、思い出せないと気持ちわるいなぁ…………。

越路吹雪・愛の生涯

 フジテレビで放映された“女の一代記”シリーズ第2夜『越路吹雪・愛の生涯 この命燃えつきるまで私は歌う』を見た。
 コーちゃんと親しまれた越路吹雪の役を宝塚歌劇団の後輩・天海祐希、越路吹雪を支え続けた岩谷時子役を松下由樹、ベストパートナーだった内藤法美役に小澤征悦が演じたドラマだ。

 越路吹雪の歌は、父親がシャンソンやカンツォーネが大好きだったので子供の頃から親しんでいた。
 我が家では、ぼくがツェッペリンやブルース・ロックを聴き始めていた頃、中学生の弟は両親のレコード棚からシャンソンを含む越路吹雪の歌を一生懸命に聴いていた。弟が母親と一緒に越路吹雪のリサイタルを見に行った頃購入したのがこの実況録音盤。



 1968年の日生劇場でのリサイタルを収録したレコードボックスで、ブックレットにはステージ写真が満載で、3部構成のステージでの彼女の艶やかさが想像できる。
 ピアノの内藤法美をはじめバック・ミュージシャンも一流。ジョージ川口とビッグ・フォア・ロイヤル・ポップス・オーケストラが演奏をしている。
 『愛の讃歌』『サン・トワ・マミー』『ラストダンスは私と』『ろくでなし』など、どの歌も独特な歌い方というか歌いっぷり。魅了されて止まない少し掠れた声は、ドラマを見るかぎり煙草の吸い過ぎのようです。

 さてドラマは、舞台人であり大スター越路吹雪の歌への喜びと苦悩を描くなか(恋愛の話はアッサリ)、岩谷時子との友情をメインにしていましたが、越路吹雪物語としてはピーターこと池畑慎之介の舞台がもはや有名であり、ピーターがかなりソックリに似せて演じているので、このドラマでは天海がどう演じるのか興味のあるところだった。
 結果、越路吹雪に似せようとすることなく、あくまで天海祐希の歌唱で大先輩の歌を披露していたことに好感をもてた。天海祐希は好きな女優のひとりで、舞台『オケピ!』以来の彼女の歌声が聴けたのがうれしかったな。
 ドラマを見ていた母親は「内藤法美氏はもっとイイ男だった。」と感想を述べていた。

「大停電の夜に」*源孝志監督作品



監督:源孝志
脚本:カリュアード(脚本家ユニット/源孝志&相沢友子)
撮影監督:永田鉄男
主演:豊川悦司/田口トモロヲ 原田知世/吉川晃司 寺島しのぶ/
   井川遥 阿部力/本郷奏多 香椎由宇/田畑智子/淡島千景 宇津井健

☆☆☆ 2005年/日本/132分

    ◇

 クリスマスイヴ。
 東京の光が消えた時、一夜かぎりのラヴストーリーがはじまる


 繰り広げられる物語は、“大停電”というアクシデントをきっかけに心の中で何かが動いた世代の違う男女12人の恋愛群像劇で、エピソードの中のいくつかがそれぞれ知らないところでリンクし合いながら、一夜限りのファンタジーとして描かれていく。

 日本のクリスマスって、いつ頃からこんなに明るくなったんだろう。ニューヨークに負けないほど街がデコレーションでごった返している。一晩だけのキリスト信者が一週間経てば神社へ初詣でする日本人に、こんなファンタジーは似合わないはずなんだけどな。
 それでもこの手のシチュエーション・ドラマが好きだから、観ているときはとてもゴキゲンだった。

 大停電になっても現代社会では特に都会では真の暗闇になることはない。大きなビルやホテルでは自家発電装置があり、街には車のライトやら非常灯やらが溢れているし、パソコンや携帯電話の明かりもある。だから、映画の中の闇も色とりどり。

 アクティブな真っ赤な闇。妖しく哀しいブルーの闇。不安と心強さを兼ねた緑色の闇。そして、温かく包み込むように優しいオレンジ色の闇。
 この灯りひとつひとつに、登場人物のこころの揺れが映し出される映像は素晴らしい。
 撮影監督はフランス在住の永田鉄男氏で、2002年にフランスのセザール賞最優秀撮影賞を受賞した唯一の日本人だという。
 光と影が織りなす映像が、本当に美しい。

 ターンテーブルのレコードに針が落とされ、アナログの柔らかな音で奏でられるビル・エヴァンス・トリオの“MY FOOLISH HEART”で幕が開く。
 名盤『Waltz for Debby』の1曲目に収録されている甘く切ないこの曲は、映画の終幕、東京の街の片隅がニューヨークのヴィレッジ・ヴァンガードに変身するかのように素敵な選曲となっている。

 惜しいのは、これだけ豪華なキャスティングのわりに各エピソードがありきたりの話になっていることか。同じような男女の話がダブルものもあり、全体的にもう少し短く出来たはず。それぞれを均等に描こうとしたためか、静かなテンポの中で2時間を超えるのは長過ぎる。

 ジャズバーのオーナーで元ジャズマンの木戸晋一(豊川悦司)と、お向かいのキャンドル屋の叶のぞみ(田畑智子)の恋を予感させる話が一番好きだな。
 豊川悦司との掛け合いなど、ほんわかした田畑智子が良いです。
 反対に、佐伯静江(原田知世)のこころの動きがうまく伝わってこなかったのが残念。
 

ザ・スパイダース/ムーヴィー・トラックス



 Hotwax Trax 第3弾として『ザ・スパイダース/ムーヴィー・トラックス』が発売された。

 数あるGSグループの中で、一番エンターテインメントだったのがスパダース。
 タイガースやテンプターズ、オックスらのような美形のフロントマン(オックスの赤松愛はKey Boardだったが)がいたわけではないのだが(井上順はカッコいい兄ちゃんでした)、お客を楽しませることでは群を抜いていた。それは、父親のコメディアン堺俊二の血を受け継いでいる堺正章がフロントマンだったことが大きいし、都会的でスマートな井上順のコメディ・センスも大きかった。
 当時中学生の男子には、かまやつひろしが音楽的に“オシャレ”で、井上順はスタイルが“オシャレ”。このふたりがカッコ良かったのです。

 さて本盤は、当時スパイダースを主演にして作られたGS映画のサントラ集。
 60年代に歌謡映画というジャンルがありました。
 石原裕次郎をはじめ小林旭、赤木圭一郎といったアクションスターが必ず映画の主題歌と挿入歌を歌う日活において、アクション映画とは別にヤング&フレッシュメンとして浜田光夫や山内賢らでその多くが作られた歌謡映画。それについては書籍Hotwax Vol.3や、路傍の石さんのブログ帝都熱烈音盤解放戦線の『日活歌謡映画の魅力』を読んでもらうことにして、その日活においてスパイダースは4本の主演映画を残しています。

 歌謡映画のなかにあってGS映画というのは当然バンドの演奏シーンが多く、なかには口パクで作られたGS映画もあったのでしょうが、このスパイダースの全作品は全曲映画用に別録音されていて、ほぼ初CD化の珍しい音源ばかり。
 これを聴いているとスパイダースというバンドの存在が、ただの歌やダンスや笑いをこなすだけのグループじゃなかったこと、バンドとしてのサウンドクォリティの高さも同時に兼ね備えていたことがよく分かります。
 音響的にはレコード会社のスタジオとは違い、映画会社のスタジオでは芳しい音ではないにしろ、逆にその劣った音響の中で鳴り響くギターサウンドは、オリジナルのレコードを聴くより面白く、カッコいいです。

 '66年と'67年の『フリフリ』などは、たった1年でこうも違ったギターサウンドになるのかと、その聴き比べが面白い。当時、ゴールデンカップスがいち早く取り入れたと云われるファズコントロールなど、めざましいサウンドの移り変わりです。
 『夕陽が泣いている 』のスローヴァージョンはとても珍しいし、「太陽にほえろ!」の原点らしきものも聴く事ができるし、大ヒット曲以外の映画用のオリジナル曲もふんだんにある好アルバムです。
 
収録曲
01. フリフリ[涙くんさよなら('66)]
02. メラ・メラ[ザ・スパイダースの大進撃('68)]
03 .バン・バン・バン[ザ・スパイダースの大進撃('68)]
04. あの時君は若かった[ザ・スパイダースの大騒動('68)]
05. ヒア・カム・スパイダース[ザ・スパイダースの大騒動('68)]
06. 暗闇にバラを捨てよう[ザ・スパイダースの大進撃('68)]
07. 夜明けの太陽[ザ・スパイダースの大進撃('68)]
08. ヘイ・ボーイ[ザ・スパイダースのバリ島珍道中('68)]
09. 真珠の涙[ザ・スパイダースのバリ島珍道中('68)]
10. なればいいザ・スパイダースのゴーゴー向う見ず作戦('67)]
11.ノー・ノー・ボーイ[青春ア・ゴーゴー('66)]
12.フリフリ[ザ・スパイダースのゴーゴー向う見ず作戦('67)]
13.青春ア・ゴーゴー[青春ア・ゴーゴー('66)]
14.涙のイエイエ[夕陽が泣いている('67)]
15.サマー・ガール[ザ・スパイダースのゴーゴー向う見ず作戦('67)]
16.なんとなくなんとなく[ザ・スパイダースのゴーゴー向う見ず作戦('67)]
17.あの虹をつかもう[ザ・スパイダースのゴーゴー向う見ず作戦('67)]
18.アヒルの行進[君は恋人('67)]
19.太陽の翼[ザ・スパイダースのゴーゴー向う見ず作戦('67)]
20.夕陽が泣いている slow version[ザ・スパイダースの大騒動('68)]
21.夕陽が泣いている[涙くんさよなら('66)]

白夜行vsけものみち

 来春1月から、新旧ミステリーの2作品が連続ドラマで放送される。

    ☆    ☆    ☆

 ひとつは、松本清張の『けものみち』。

 テレビ朝日木曜ドラマで、高視聴率だつた『黒革の手帖』につづいて米倉涼子の主演だ。
 彼女の路線が決まってしまう感があるが、それも悪くはない。この路線で突っ走れ。

 今度の女は凄い。身体の不自由な夫を焼き殺し、政財界の黒幕の愛人になり、男社会のなかで生きていく悪女。
 1982年にNHKでドラマ化されたものが印象的だった。NHKドラマとしては和田勉演出のベッドシーンと、名取裕子の官能的な演技が話題になったのだが、米倉涼子がこれに迫れるか。期待のドラマだ。

    ☆    ☆    ☆

 もうひとつは、東野圭吾のベストセラー『白夜行』。
 叙情詩豊かな極上のミステリーで、全く別の登場人物ではあるが続編的作品の『幻夜』と共に東野作品の中でも人気が高く、大好きな作品だ。
 ドラマ化に伴い、ただいま再読中。

 1973年に起こったひとつの迷宮入り事件。被害者の息子・亮司と容疑者の娘・雪穂は別々の人生を送るのだが、ふたりの周囲にいくつもの犯罪が見え隠れしながら19年を迎える。そして………。

 ◆以下の文章に原作本のネタバレあり

小春日和の昼下がり

 歌伝説以来、毎日必ずちあきなおみを聴く一週間が過ぎたこの日曜日も、朝からカスバの女東京無情を聴いている。

 日曜だというのに、仕事場のとなりでは某インテリア館の工事が始まり地ならし中。
 街の植栽には2~3日前からライトアップが出来あがり、12月前だというのにクリスマスモードが始まる。
 時がはやくに過ぎていく。
 
 ここでちあきなおみの片情が終わったので、ストーンズのハート・オブ・ストーンでも聴こうか。

 今月は三谷幸喜作・東京ヴォードビル・ショーの『竜馬の妻とその夫と愛人』の再演を見て、来月は戸田恵子の芝居『歌わせたい男たち』を観に行く。
 三谷幸喜作・演出の『12人の優しい日本人』の大阪公演は、バースディ・イヴを獲ることが出来たので、あとは、ストーンズの日本公演の発表を待つばかり………。
 いつ発表なのでしょう。3月あたりに、また武道館があるといいなぁ。

 そうそう今週の16日には中島みゆきのニューアルバム『転生』が発売される。そして2月には『夜会』か………。このチケットも獲りたい。

 ジョー・コッカーwithマッド・ドッグス&イングリッシュメンのデラックス・エディション、いいですよぉ。 
 G.ハリスンの『サムシング』を聴くことができるし『ウェイト』も『アンダー・マイ・サム』も聴けまする。

   ☆    ☆

 いつのまにか、石川さゆりが歌う『珍島物語』が流れる日曜の昼下がりでした。

歌伝説 ちあきなおみの世界

 期待以上の素晴らしい番組だった。
 制作者のちあきなおみへの想いが、情熱が、ダイレクトに伝わる番組に仕上がっており、ここまでの番組になるとは想像すらできなかった。

 人にスポットを当てる番組の場合、得てして関係者やひととなりを知る人のインタビューをメインに構成されることが多いのだが、今回のこの番組はタイトルの『歌伝説』のとおり、“歌手”であり“表現者”であるアーティストちあきなおみに対しての礼儀、そして愛情であるかのように、“歌”が主役だ。
 他局から借り受けた映像を含め、“歌”を大事にした番組作りにはファンとして頭が下がる思いです。
 これはNHKだからこそ出来た番組。他局じゃあ、こうはいかない。民放での作り方が想像つくだけに、今回この企画にゴーサインを出したNHKには、感謝。

 “歌”を表現するちあきなおみのパフォーマンスは、心に突き刺さる“ドラマ”です。
 今回この番組でのひとつひとつの“ドラマ”は、はじめの一音からおわりの余韻まで、できる限りの範囲で丁寧に編集と構成がなされていた。すべての“ドラマ”への想いは、一曲一音を大事に、歌は完全な状態で、そしてシンプルに、余分なものを排除した制作者たちの姿勢に表れていた。その愛情に、拍手を。


歌伝説 ちあきなおみの世界/BS エンターテインメント
NHK-BS2 11月6日(日)19:30~21:00
NHK-hi  11月24日(木)23:25~24:55


◆放送された曲目

「悪党たちは千里を走る」貫井徳郎



 「慟哭」や「症候群シリーズ」など、ダークな世界観で知られる貫井徳郎の新作。氏としてはスクラプスティックなユーモア・サスペンスは初めての分野だが、面白く読み終えた。
 書籍の腰巻き惹句はこうだ。

真面目に生きることが嫌になった3人が企てる、「人道的かつ絶対安全な」誘拐?
誘拐ミステリーの新境地!


 数々ある誘拐ものミステリーにも、まだまだあるこの手あの手。

 詐欺師の高杉と彼を慕う園部のふたりが、田舎の成り金に詐欺話を持ちかけるところから物語は始まる。しかし、彼らの前に高飛車で美人の詐欺師が登場してふたりの計画は失敗。後日、園部がある誘拐計画を思い付くのだが、ひょんなことからこの美女までが仲間に加わることになるわけで、前半(全体の三分の一)に二転三転する展開はかなりユーモアたっぷりに語られる。
 話の中心にいる10歳の巧という子供がなかなかいい感じで、この子供が考えたある計画に乗る大人たちという図式も面白い。

 後半に奔走する詐欺師三人組のキャラクターは、口が悪く悪党ぶっているが根が真面目な高杉と、女王さま気取りの美女・菜摘子とのやり取りが楽しく、随所でおマヌケぶりを見せる園部の存在も魅力的ではあるが、ただ、これはどう見ても「傷だらけの天使」だ。
 「アニキ~」と子犬のようにまとわり付いている園部はどうしても水谷豊の亨で、カッコつけ屋の高杉はショーケンの修である。だから余計にこの詐欺師たちに親しみが湧いたのだろう。
 
 ハラハラドキドキとスピーディに疾走しながら辿り着く結末は、伏線の具合も気持ちいい快感に浸れる。そしてシリーズ化の可能性を残しながら、こんなに軽くていいのかって感じで終わる。
 

悪党たちは千里を走る/貫井徳郎
【光文社】
定価 1,785円(税込)

POPな松子の一生

映画『嫌われ松子の一生』の公式サイトが開設された。
驚き、桃の木、ポップな気!

中島哲也監督といえば『下妻物語』よりも、『私立探偵 濱マイク/ミスターニッポン~21世紀の男』と『Smap Short Films/Rolling Bomber Special』の印象が強烈だった。

キャスティングにしても既報以外のヴァラエティな面々…………さすが中島監督、一筋縄ではいかない。
これ、原作ファンでなくても、大いに気になる映像だぞ。
いっそのこと、鈴木清順監督の『オペレッタ狸御殿』を超えてくれ。
期待大!!!!

☆オフィシャルサイトはこちら☆嫌われ松子の一生