TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

百恵回帰



 コンプリート百恵回帰と題されたこのアルバムは、山口百恵の名曲の数々を百恵自身の新たなヴォーカルトラック(別テイク)とNEWアレンジでリマスタリングした企画盤で、1992年から94年にかけて発売された3枚のCDを完全収録したもの。
 
 シングルのみの発売でオリジナルアルバムには未収録の謝肉祭が、なかなかエキゾチックなアレンジで、悪くない。

 謝肉祭は、2003年にデビュー30周年記念として出されたCD-BOX 「MOMOE PREMIUM」にも、全アルバムのリマスター紙ジャケシリーズにも収録されていない。
 BOX SETの目玉は、幻だった東京の空の下あなたはという曲のスタジオ録音盤が発掘され初CD化されたことだったが、同時に別ディスクでアルバム未収録曲をまとめて欲しかった。紙ジャケシリーズでも、おマケがシングル・ジャケのレプリカにKARAOKEの収録では、全然不満。
 
 百恵回帰は、このNEW謝肉祭が聴けるというだけで、持っていて損のないアルバムだ。 
 
 ほかにも、ロックンロール・ウィドウではライヴ感覚っぽい百恵のシャウトを聴くことができる。
 曼珠沙華はいかにもコンサート向きのアレンジ。

 しかし、実際のステージで唄われる曼珠沙華は、別のアレンジなど必要としない圧倒的な存在感だけで唄われる。
 思い出されるのは79年10月のリサイタル“愛が詩にかわる時”の最終公演での曼珠沙華。心揺さぶられる最高の歌唱だった。一週間前の大阪公演で恋人宣言をし、全ての呪縛から解き放たれ、ひとりの女として、生身の女性の妖艶さをあますことなく表現したステージだった。
 
 その歌を、今回「山口百恵トリビュート Thank You for……part2」で工藤静香がカバーしている。考えるだけでも恐ろしい(笑)。生半可にカバーなど出来ないぞ。
 この歌のカバー、唯一認められるのは坂本冬美の歌唱か。
 もちろんこれは、もの凄く個人的な好き嫌いが入っているので、念のため………。

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ブルース・スプリングスティーンの紙ジャケ



 待望の、ボスの名盤17タイトルが紙ジャケで発売される。

 音盤の世界では、アナログ時代からレコード盤をアートワークとしてだけでもコレクトする対象になっていた。CDになってからはその魅力が薄れた感じがあったのだが、それもここ何年かでオリジナルのレコードの縮小版としてのレプリカが流行り出した。
 その辺りのことは帝都熱烈音盤解放戦線 紙ジャケ探検隊などを見てもらうと良く判ると思う。

 で、ボスの紙ジャケは99年に初回生産として一度だけ発売予定になったのだが、第一期の7作品が発売されたところでブルース側からクレームがつき、即中止で回収になった曰くがある。
 ぼくはなんとか揃えましたが、いまではコレクターの間では高値になっているようだ。

 しかし、今回の紙ジャケ化はそんなもんを一蹴しま~す。基本的に全17タイトルはオリジナルUS初盤のアートワークを再現。帯も日本初盤のものを復刻。
 何がスゴいって、これ。

 ◆アズベリー・パークからの挨拶
  ポストカード付きの特殊仕様

 ◆明日なき暴走 
  初版を再現するため、モノクロ印刷ではなく特色仕様

 ◆The LIVE 1975-85
  LPに合わせた5枚組のハードBOX入

 マニアが狂喜するぐらいの完璧再現、レア物再現ですね、そして極め付けは特典!

 全17タイトルが収まるBORN TO RUN BOXと、リリース時にプロモ盤として出されたSCRIPT COVERのレプリカです。

・第一期/6月22 日 6タイトル
・第二期/7月20日 6タイトル
・第三期/8月24日 5タイトル
 
 全17タイトル揃えて、SCRIPT COVER目当てに、これから貯金の日々だなぁ。

ライトニング・イン・ア・ボトル ~ラジオシティ・ミュージックホール 奇跡の夜~



Lightning in a Bottle
製作総指揮:マーティン・スコセッシ
監督:アントワン・フークア
音楽監督:スティーヴ・ジョーダン
撮影:リサ・リンズラー

☆☆☆☆ 2004年/アメリカ/109分

    ◇

 やっと名古屋で公開された。待ちかねた。

 バディ・ガイのエレクトリック・ギターから奏でられるジミ・ヘンドリックスのRed House。
 それをバックに映し出されるアーカイヴ映像には、若きバディのステージを食い入るように見ているジミの姿が………涙が出そうなほどに感動した瞬間。
素晴らしい。

 ポップ・ミュージック100年の歴史はブルースの誕生から始まったとして、2003年にそれを祝う記念事業“イヤー・オブ・ザ・ブルース”の名のもとに、マーティン・スコセッシの製作総指揮で7本の長篇ドキュメンタリー映画「THE BLUES Movie Project」が製作された。
 この「ライトニング・イン・ア・ボトル」は、“イヤー・オブ・ザ・ブルース”のプロローグとして、2003年2月にニューヨークのラジオシティ・ミュージックホールにおいて、総勢50人の一流ミュージシャンたちで開催された「A Salute To The Blues」の長編ライヴ・ドキュメント映画だ。

 とにかく、一曲終わるたびに拍手をしたくなるほど興奮し、そして、音楽に感動する。それは、歌ばかりではなくブルースマン(ブルースウーマン)たちの生き方に刺激を受けるから。

 「ブルースの歌詞や音を真似たって、詩の行間はコピーできない。それは実体験なのだから。」

 ブルースの歴史や音楽性などを書くつもりはない。ステージを見れば判る。
 75才のR&Bの女王ルース・ブラウンがシャウトする。78才のB.B.キングが拳を振り上げて歌いあげる。ラジオシティ・ミュージックホールの清掃員の面接に落ちたと、笑いながら語るブルースマンがステージの上に立っている。
 人種差別という過酷な人生を送ってきた彼らは不公平な人生を嘆くのではなく、ずっと唄を歌いつづけてきた。彼らの叫びこそが、全てのポピュラー・ミュージックの源のブルースだってこと、音楽の歴史なのだと教えられる。

 そのブルースに影響された白人ロッカーたちも負けてはいない。スティーヴン・タイラーとジョー・ペリーが唄うI'm a King Beeは、ストーンズのファーストアルバムのB面トップの曲。スライドギターの姉御ボニー・レイットは相変わらず勇ましい。グレッグ・オールマンとウォーレン・ヘインズは、映画のタイトルバックに映るだけだがThe Sky is Cryingを泣きのギターでかっ飛ばす。このグレッグ&ウォーレンの見事な演奏が、サントラ盤には収録されているのに映像カットとは、すごく残念だ! 
 
 エンドロールが終わったあと、ソロモン・バークの映像が流れる。見逃さないで。

http://www.nikkatsu.com/movie/lightning/

Hotwax vol.2



 
 梶芽衣子さんのクロニカル本の登場です。
 「Hotwax vol.2」の巻頭90ページを飾る一大特集。
 梶芽衣子ファンとして待望の発売です。

 なんと云っても18ページにわたる梶さんのインタビューが凄い。読みごたえ充分で、梶さんの人物像なりが垣間見られ、一層の魅力を感じてしまいます。
 少し高い本ですがフィルモグラフィやディスコグラフィも充実していて、梶さんのファンなら必読本。

 梶さんの特集以外に、日本のロック・バンドを語るときに欠かせないバンドモップスの完全ガイドや、「all time my ベスト10」など面白企画が充実。
 70年代を知らない方にも面白い本……かも。

◆Hotwax vol.2 発行元:ウルトラ・ヴァイヴ 
        発売元:(株)シンコーミュージック
        定価:1600円+税

拙いレヴューを採用してくださった編集部の方々に感謝!

「ザ・インタープリター」



THE INTERPRETER
監督:シドニー・ポラック
脚本:チャールズ・ランドルフ、スコット・フランク、スティーヴン・ザイリアン
出演:ニコール・キッドマン、ショーン・ペン、
   キャサリン・キーナー、アール・キャメロン

☆☆☆☆  2005年/アメリカ/129分

 ◇

 ニコール・キッドマンを美人女優とは思っていない。小さな顔の真ん中にすべてのパーツがすっと集まっていて、なんておデコの広い女優かと思っていた。しかしその顔だちは、知的でクールなイメージが強い。そして作品ごとに違った顔を見せてくれる圧倒的な演技力は、メリル・ストリープばりと思っている。

 ショーン・ペンは、苦悩を背負う男がとても似合う。彼が出てくるとどうしてもメッセージ色を強く感じてしまい、深刻ぶる顔だちがワンパターンな感じがしないでもないが、それはペンのバックボーンからくるもので致し方ないのだが、決して嫌いではない。

 そのふたりの初共演作だ。これはもう、ふたりの演技合戦をじっくりと見るしかないだろう。

 監督のシドニー・ポラックは、社会派ラブストーリーとして名高い「追憶」やコメディNo.1の「トッツィー」、「コンドル」「ザ・ファーム」「スクープ」と社会性豊かな作品まで手掛け、センチメンタルな大作「愛と哀しみの果て」ではアカデミー賞を獲得した大御所だ。
 この3人ががっぷり四つに組んだのが、ポリティカル・スリラー。

 アフリカのマトバ共和国で生まれ、少数民族のクー語を話せることで国連で通訳の仕事をしているシルヴィア(ニコール・キッドマン)が、偶然マトバのズワーニ大統領の暗殺計画を耳にする。命を狙われるシルヴィアを護衛するシークレットサービスのケラー捜査官(ショーン・ペン)は、彼女の過去を調べるうちにある疑いを持ちはじめる。そして、シルヴィアの周りで起こる不穏な事件は、刻々と迫る大統領暗殺の危機への導火線なのか………?

 映画史上初の国連本部の完全ロケは、メイン会議場はおろかセキュリティルームから各個室、廊下にいたるまで本物で見事な撮影。唯一、通訳ブースのみセット撮影だったようだ。
 国連本部の撮影に関しての一文に「ヒチコックも成し得なかった」とあるが、これは『北北西に進路をとれ!』のことで、ケイリー・グランドが国連の建物の中に入って行くシーンは隠しカメラで撮影されていた。国連の中が事件の発端ということでこの作品も、まさに“スリラーの巨匠”ヒチコックお得意の巻き込まれ型サスペンスにはじまり、随所にヒチコックを思わせるシーンを感じる。当然の如しブロンド美女が主人公といったところから、“裏窓”的シーンもある。
 光輝く摩天楼が直下俯瞰のカメラで映し出されていくと、これは“めまい”を起こすほど美しい。

 主役ふたり以外にも、ケラーの同僚としてキャサリン・キーナーがタフな女性捜査官を演じ、なかなか印象深い。

 ブルックリンの爆破シーンに至るまでのサスペンス度は最高だが、ひとつ気になることもある。新作映画なのでネタバレ注意として詳しくは書けないが、クライマックスに使われるある物がフルートに見える謎だ。あれはワゴンの足だったのか? 見間違いかどうか、DVDが発売されたら確認することにしよう。

ティム・リース/the ROLLING STONES project



 ティム・リースというジャズ・サックス奏者の、ストーンズ作品集のアルバムが18日に発売された。

 彼は、ローリング・ストーンズの99年のNo Security Tourからサポートメンバーに加わったミュージシャンで、この録音には、ミックを除いたストーンズのメンバーとバックヴォーカリストたちが参加しているという、なんとも豪華な面子。
 トリビュート・アルバムとかカバー・アルバムっていうものが数々あるけれど、このアルバムはちょっと違う。単にジャズにアレンジして演奏しているなんて思ったらブッ飛びます。ただのBGM的サウンドなんかじゃないぞ。

 ストーンズの楽曲が、ゴキゲンなジャズアルバムに仕上っている。

 Street Fighting Man のブラジリアンテイストなアレンジとスキャット。トリオで演奏されるHonky Tonk Women でのソウルフルなオルガン。Wild Horses でのノラ・ジョーンズの甘美な歌声。Ruby Tuesday はオリジナルを崩さない美しい旋律。うって代わってGimme Shelter ではリサ・フィッシャーの妖しいヴォーカルと大胆なアレンジにひき込まれる。Paint it Black は見事にモダンジャズだ。
 そして、もうひとつのHonky Tonk Women。ストーンズのリハーサル風景に聴こえるのがファンには嬉しい。
 
 昨日からこのアルバムは、エンドレスで聴いている……。

 ジャケットはロン・ウッドの作品。

「OUT」*平山秀幸監督作品

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原作:桐野夏生
監督:平山秀幸
脚本:鄭義信
出演:原田美枝子、倍賞美津子、室井滋、西田尚美
   香川照之、間寛平

☆☆☆☆ 2002年/日本/119分

    ◇

 女たちにパワーを!
 サスペンスと犯罪だけのアウトローな映画ではなく、女性たちが自身の力に目覚め人生の主導権を取り戻す、女たちの群像劇だ。

 核にある犯罪は自由と友情と連帯の象徴に使われるだけで、女たちが“心の鎧”を一枚一枚脱ぎ捨てていく疾走感には心躍る。現代社会、女性たちは社会的地位を得ながら、自由に他人からの束縛も切り捨てながらひとりで生きていける。でもそれが、建前だけの社会ということも知っている。だから、心の中は孤独感と無力感に満ちている。

 リドリー・スコット監督の「テルマ&ルイーズ」に似たスピリッツを感じる。しかし、テルマとルイーズは厳然たる男社会の中からの脱出だったが、この映画、登場する男たちは誰ひとり出口(OUT)なしの光の見えない闇の中を彷徨っいている。
 男たちも自分自身の主導権を握れない。対する女たちは、自分たちの手で閉塞した社会や家庭から自由に解放されていく。

 キャスティングは原作ファンも納得の4人だろう。きっちりハマッている。
 特に邦子役の室井滋は、ブランド物に身をかため借金地獄に落ちている女なのだが、自分を装い飾りつけないと不安で人とも接しられない孤独な女を見事に演じている。その邦子も最後にはちゃんと自立するところを見せてくれる。

 さらば友よ!
 雅子とヨシエの別れのシーンは、アラン・ドロンとチャールズ・ブロンソンへのオマージュとして、喝采!

 タフな女たちよ!
 香川照之扮する十文字が雅子(原田美枝子)に初めて会った時に「あんたイケてるよ」と言葉をかけるが、まさにイケてる女たちの映画。
 そして、原作の結末を大幅に脚色したラスト。
 そのワンシーンに、特別出演する吉田日出子までもがカッコいいのだ。

「シカゴ」



CHICAGO
原案:ボブ・フォッシー
監督・振付:ロブ・マーシャル
脚本:ビル・コンドン
出演:レニー・ゼルウィガー、キャサリン・ゼダ=ジョーンズ
   リチャード・ギア

☆☆☆☆ 2002/アメリカ/113分
    ◇

 ミュージカルの舞台と比べるのはヤボだけど、映画版はとにかく絢爛豪華な仕上り。
 楽屋口からステージへと流れ込んでいくカメラワークと、それから始まるダンスシーンへの流れは、舞台では出来ない映画の魅力であり、もともと演出家で振付家でもあるロブ・マーシャルの監督としての腕の見せどころか。ダンスシーンでの、スピーディーなカメラの切り替えなどはダンスを知りつくしているからこそのカメラワークだ。

 ストーリーも舞台版と同じように流れていき、ミュージカルのシーンをロキシーの夢のシーンとして描く方法が不自然さをなくし、話にも集中できる。
 映画でのダンスの振付けはいわゆる“フォッシーダンス”ではなく、マーシャル監督のオリジナルということなのだが、敬意を払って“フォッシーらしさ”がキチンと表現されている。
 特に、6人の女囚が自分の犯歴を語る「セル・ブロック・タンゴ」のダンスシーンは、フォッシーダンスのエロティックさを下敷きに、映画ならではの表現になっているので舞台以上に目を見張ることになる。
 ただ後半は少しもたつく。これは単純なストーリーなだけに、映画としてのまとめになっているから仕方のないことだろう。

 公開当時、映画を観る前にアカデミー賞授賞式でのレニー・ゼルウィガーを見て、なんと“華”のない女優かとガッカリしていたのだが、銀幕の中でこんなにも輝くとは思わなかったなぁ。ジーン・ハーローやマリリン・モンローを思わせる可愛いオンナ、そして、したたかなオンナへと、見事に化けている。
 キャサリン・ゼダ=ジョーンズのゴージャスさと、歌とダンスにも見惚れてしまう。

 ◆ブロードウェイ版「CHICAGO

CHICAGO the musical



 舞台にひとりの女性が現れ、口上を告げてからショーは始まる。

  MURDER,GREED,CORRUPTION,VIOLENCE,EXPLOITATION,ADULTERY,TREACHERY.....
All Those Things We Hold Near and Dear To Our Hearts.
 「殺人、貪欲、汚職、暴力、横取り、不貞、裏切りの物語……そして、これは、誰もの心の奥深くにあるもの」

 オープニングとエンディングに銀幕が垂れるだけの簡素なセット。真っ黒な舞台の中心には、正面を向いて置かれたスタンドに座る15人程のジャズバンド。
 シーン転換は小道具だけ。例えば、ダンサーがカメラやメモを握れば新聞記者。いくつもの椅子が並べられて裁判所内。舞台端のハシゴが絞首刑台。20人足らずの出演者は入れ替わり立ち代わり、必ず舞台のどこかに立つなり椅子に座るなりしていて、まるで稽古場のリハーサル風景のよう。映画「オール・ザット・ジャズ」をご存知ならあんな雰囲気。衣装はひとりを除いて全員がセクシーな黒装束。そのひとり、マリー・サンシャインにアッと驚く。

 「真実は、必ずしも目に見えているとは限らない。」

 ムダのない演出と、キレのあるダンスこそボブ・フォッシーの見どころで、フォッシーダンスとは「分離の踊り」。右手と左手が顔や肩の動きとバラバラな、それでいてスムーズで繊細な動きをする独特なもので、それがとてもセクシー。

   ◆    ◆

 さて、帰国前日に観た1年ぶりのブロードウェイ「CHICAGO」。
 この舞台の要はロキシーとヴェルマのバランスで、今までに数々の有名人がロキシーやヴェルマを演じ、2003年の夏はロキシーを映画女優のMelanie Griffithが演じたのが有名だが評判はいまひとつ……。今年の2月には看守長“ママ”モートンにR&BのベテランPatti La Belleがスペシャル・ゲストとして扮している。これはスゴイ! 観たかったぁ。

 で今回は、ロキシーは去年と同じCharlotte d'Amboise。見栄っ張りでキュートな悪女ぶりはなかなかのもので、コメディエンヌぶりもよく、しっかり笑わせてもらった。反対に、ヴェルマに扮した黒人のBrenda Braxtonがイマイチ。たしかに歌唱力は凄い。しかし、肝心のダンスに魅力を感じなかった。ダイナミックさに欠け、ロキシーと並んだときの貫禄が全然ないのには困った。

 ヴェルマは、UTE LEMPER(上記写真の上段真ん中)のような女性の方がいいと思う。Marlene Dietrichのような容姿容貌で、パワフルで大スター性のある悪女でなくては、小ずるいロキシーとは張り合えない。

 また、“ママ”モートンがアンダースタディ(代役)のBelle Calawayが演じていたのだが、これも迫力不足。ベテランの彼女は日本公演でロキシーを演じていたと思うのだが、“ママ”モートンのイメージではなかった。
 エイモスやビリーといったロキシー以外の主要人物も、去年とは違う役者が演じていたのだがそんなに悪くはなかった。特に、サンシャインのR.Loweのカウンターテナーばりの声には拍手喝采だ。

 映画版が公開され日本でも大ヒットしたことで日本人の観客が多くなったのだが、映画の絢爛豪華さと比べてしまう観客もいるようだ。
 フォッシーの世界は、ミュージカルに付きものの明るく楽しいハッピーエンドな世界とは無縁だ。退廃的で、不健康で、寂しい人間たちをデフォルメした虚構の戯言が多いのだから、そのつもりで…………。

ストーンズ 、始動。



 5月10日午後1時、ニューヨークのリンカーンセンター内のジュリアード音楽院構内において、ローリング・ストーンズのワールドツアーと新曲の発表記者会見が行なわれた。学生たちは幸せだぁ。1週間前だったらと悔しい想い。

 会見場でパフォーマンスした3曲は、“Start Me Up”“Oh No Not You Again”(新曲)“Brown Sugar”の3曲。なんと、驚くのが記者会見場で新曲を演奏。それも、キーボードもサクソフォンもない、本来のバンド形態での演奏なのだ。
 アルバムも85%出来上がっているということで、ボストンから始まるツアー開始と同時に発売になるのだろう。待ち遠しいぞぉ。

◆発表になったツアー日程(予定)は
 ・8月21日ボストン初日~ 
  約40都市でのツアーで、今回もクラブやアリーナを含むらしい
 ・2006年1月 北アメリカ
 ・2月~3月 南米、日本、中国ツアー
 ・6月~8月 ヨーロッパツアー

 さてさて、ツアーが開始されればストーンズ・オンリーの狂乱の日々。
 3月の日本公演まで楽しみはつづく…………。

★会見写真はベロクリックで!

「クライシス・オブ・アメリカ」*ジョナサン・デミ

TheManchurianCandidate.jpg

The MANCHURIAN CANDIDATE
監督:ジョナサン・デミ
脚本:ダニエル・パイン、ディーンジョーガリス
原作:リチャード・コンドン
出演:デンゼル・ワシントン、メリル・ストリープ、リーヴ・シュライバー
   ジョン・ヴォイド

☆☆☆ 2004年/アメリカ/130分

    ◇

 政治を意のままに操ろうとする人間たちの暗躍を描いたポリティカル・スリラー。 

 湾岸戦争からの帰還兵で陸軍広報部に勤めるマルコ少佐(デンゼル・ワシントン)は、砂漠の嵐作戦において敵の激しい攻撃の中、自分と仲間を救出したとして名誉勲章を得たレイモンド・ショー軍曹(リーヴ・シュライバー)の英雄的行為のスピーチをする毎日を過ごしている。ある日、毎晩見る夢の記憶が、実はコントロールされているのではないかという疑問に変わってくる。
 一方ショーは、財界の名門の出身で自ら上院議員の母親エレノア(メリル・ストリープ)の後押しで下院議員を勤め政界の中枢におり、今回の大統領選挙において副大統領候補という表舞台に出てきた。
 ショーが洗脳されているのではないかと疑うマルコは、軍当局から目をつけられながらも、ショーを助けようと動き出すのだが………。裏に隠された巨大な陰謀の渦がマルコの前に立ちふさがる。そして………。

 原作は、朝鮮戦争での共産主義者によるマインド・コントロールをテーマにしたリチャード・コンドンの「The MANCHURIAN CANDIDATE」(満州人の候補者)。ジョン・フランケンハイマー監督が、1962年にフランク・シナトラ主演で撮った「影なき狙撃者」のリメイク版でもある。
 「影なき狙撃者」は当時、赤狩りを描いた最初の映画としてかなり評価が高く、公開年にはケネディ大統領暗殺のため自粛され、再公開が87年になってからと云う逸話もある。

 今回は、背景を朝鮮戦争から91年の湾岸戦争に変更している。当然と云えば当然なのだが、原作タイトルManchurian=満州人をどうしているのかと思ったら、敵役となる大企業の名前を“マンチュリアン・グローバル”としている。そのため、これはイラク戦争でのブッシュ大統領と某企業との黒い繋がりを連想させ、去年のアメリカ大統領選の年に公開した意図は考えるまでもないだろう。
 政治陰謀ものは結構好きなのでそんな事を考えながら見るのも面白い。

 情報操作とマインドコントロール……映画の中での一見荒唐無稽に見える方法も、科学の世界では実験段階で成功をしているというだけに、小説の中だけではなく現実の世界でも起こり得る恐怖は戦慄をおぼえる。
 アクションシーンはほとんどなく、「羊たちの沈黙」のデミ監督はじわじわと迫る恐怖をじっくりと描いている。湖水でのジョーダン上院議員(ジョン・ヴォイド)のシーンは背筋が寒くなる。
 エレノアの無気味なサイコティックさも、メリル・ストリープの大芝居でなければ出来ないだろう見事なキャスティング。Dr. ハンニバルに匹敵するほどのキャラクターを創りあげている。

 オリジナルの「影なき狙撃者」も、ぜひ観てみたい。
 

ビバ!アメリカ



 さて写真は、アメリカン航空のオーディオ&シネマのプログラム「AAttractions」の5月号。
 表紙のローリング・ストーンズの写真がいいね!!
 abkcoのリマスター・シングル・ボックス・シリーズの完結を記念して、チャンネル3で37曲ぶっ続けで流れていた。もちろん、睡眠時と映画以外のときは聴きっぱなしでした(笑)。行き便の4月は、ロバート・プラントのニューアルバムを記念してレッド・ツェッペリンの特集が明記されていたのだが、どういうわけか違う番組に差し変わっていた。これは、残念!

 アメリカン航空は今回はじめてだったのだが、飛行機が新しくなったようで機内の座席もゆとりができ(座ったまま余裕で足が組めた……)、かなり好印象だった。

 ニューヨークへは、デトロイトかシカゴで乗り換え国内線でラガーディア空港に入るのが一番いい。
 乗り継ぎの煩わしさを感じるかもしれないが、実はそんなことを忘れさせてくれるような楽しみがある。それは、ラガーディアへ向かうために摩天楼の上空を旋回する機内からマンハッタンの景観を見ることができるのだ。まさにゴージャスの一語に尽きる眺めだ。ツインタワーがまだそびえている頃は、あの勇姿を眺めてこそニュヨーク入りを実感する飛行だった。
 今回はアメリカン航空の出発が夕刻だったために、シカゴからマンハッタン上空に来た時には絢爛豪華な夜景を見ることができた。ヤンキーズ・スタジアムのライトアップは、何日か前に見た「グロリア」のオープニングさながらの眺めで、まさに至福の数分だった。一度この情景を目の当たりにすれば、次も必ずこのラインで行きたくなること間違いなし。
 もちろん摩天楼を見るためには窓際の席を確保しなくてはならない。それも右側の席を。できれば20番より前がベターだ。それより後ろだと尾翼が邪魔になる。搭乗手続きを極力早くすればリクエストは可能だ。
 また国内線利用の便利さとして、ケネディ国際空港よりも地理的にマンハッタンまでが断然に近いから、わずか30分足らずでクィーンズボロ橋を渡ることができる。ニューヨークへ行かれる方にはこの方法をお勧めしたい。

 ただ気をつけたいのは乗り継ぎ時間。最低でも2時間くらいはないと次の便への不安がある。実は今回、予定では乗り継ぎまでの時間が2時間20分あったのだが、シカゴに1時間近く遅れて着いたため、18:00発のニューヨーク行に乗り込んだのはじつにジャスト18:00。アメリカ最大のハブステーションと云われるオヘア空港だけあって、入国審査と国内線でのセキュリティが厳しくかなりの混雑ぶりだった。いやぁ~、ゲートまでが遠いから、走った、走った(笑)。
 まぁ、よっぽどのことがない限り待っててはくれます。実際、30分ほど遅れて離陸したし……。

 自分の席の隣に日本人の男性がいました。ご夫婦での旅行で、奥さんはビジネスクラスに座っているという。聞くと、名古屋から同じ飛行機で来た人なのだが、なんと彼らの乗る便は1時間前の飛行機だったそうだ。で、ひつだけ空いていたビジネスクラスの席に奥さんが座わらせてもらっているのだ。こういったことよくあります。ぼくも一度だけだが、ダブルブッキングされたためにビジネスクラスに移ったことがある。彼らも乗り継ぎなどに呆れていましたが、摩天楼の夜景を見たら気分良くしていましたね。
 そのご夫婦とは翌日に偶然タイムズ・スクェアで出会ったりと、何とも奇妙な縁だった。