TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「キッチン」*森田芳光監督作品

 以下作品は、映画前売券のコレクションとしての記録です。

1989_キッチン
監督:森田芳光
脚本:森田芳光
原作:吉本ばなな
撮影:仙元誠三
音楽:野力奏一
主題歌:「ステイションワゴン」鈴木祥子
出演:川原亜矢子、松田ケイジ、橋爪功、四谷シモン、浜美枝

☆☆☆☆ 1989年/松竹/106分

 初見1989年11月。
 バブル期にちょっとしたブームになった吉本ばなな。彼女が海燕新人文学賞を受賞した代表作の映像化で、のんびりと、まったりと、透明感が心地よい映画となっている。
 『そろばんずく』や『愛と平成の色男』と軽薄さでスクリーンを賑やかせたあとに、このファンタジーな感覚の作品を撮り上げるのが森田芳光。
 モデルの川原亜矢子の女優デビュー作であり、スクリーンに映った彼女のミステリアスな不思議さがとにかくインパクトあった。インパクトと言えば、ゲイバーのママとしての橋爪功の女装キャラが強烈。
 暗くした部屋で幻想的に灯るミキサーの明かりや、天井窓から見える月、路面電車や冷蔵庫の存在など、そこにポツンとあるだけで温かみを感じさせる絵づくりが印象的で、伴い、野力奏一の音楽も素晴らしい。
 因みに原作は読んでいないので、どこまでばなな感覚を解体し森田色になっているのかは判らない。

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「愛と平成の色男」*森田芳光監督作品

 以下作品は、映画前売券のコレクションとしての記録です。

1989_愛と平成の色男
監督:森田芳光
脚本:森田芳光
撮影:仙元誠三
音楽:野力奏一
出演:石田純一、鈴木保奈美、武田久美子、財前直見、鈴木京香

☆☆☆ 1989年/松竹/96分

 初見1989年7月。
 これもバブル絶頂期の落とし子的映画。バブル期の各作品は『の・ようなもの』のような鮮烈さを徐々に消してゆくのだが、ただただ軽薄さを映しとる森田映画……他愛ない作品だから真面目に目くじら立てることもなく、石田純一が主役だが彼など見ずに周りの女優を見ていればいい。

    ◇

「バカヤロー!2 ~幸せになりたい。~」
    ◇
脚本:森田芳光
主題歌:「サン・トワ・マ・ミー」RCサクセション

第1話「パパの立場もわかれ」
監督:本田昌広
出演:小林稔侍、風吹ジュン

第2話「こわいお客様はイヤだ」
監督:鈴木元
出演:堤真一、金子美香、イッセー尾形、太田光、田中裕二

第3話「新しさについていけない」
監督:岩松了
出演:藤井郁弥、荻野目慶子、尾美としのり

第4話「女だけトシとるなんて」
監督:成田裕介
出演:山田邦子、香坂みゆき

☆☆☆ 1989年/松竹/98分

 前売券の扱いを見れば、「愛と平成の色男」の併映作というよりもコチラの方が観客受けすると読んだのでしょ。

「バカヤロー ~私、怒ってます~」*森田芳光総指揮

 以下作品は、映画前売券のコレクションとしての記録です。

1988_バカヤロー
脚本:森田芳光
主題歌:「サン・トワ・マ・ミー」RCサクセション

第1話「食べてどこがいけないの?」
監督:渡辺えり子
出演:相楽晴子、伊原剛志、石橋蓮司、森下愛子

第2話「遠くてフラれるなんて」
監督:中島哲也
出演:安田成美、磯辺弘

第3話「運転する身になれ!」
監督:原隆二
出演:大地康雄、斉藤慶子、イッセー尾形、成田三樹夫、阿藤海

第4話「英語がなんだ!」
監督:堤幸彦
出演:小林薫、室井滋、小林稔侍

☆☆☆ 1988年/松竹/94分

 初見1988年10月。
 主人公が怒りを溜め爆発するまでを描いたシチュエーション・オムニバス・コメディで、全4話の脚本を森田芳光が担当。
 それぞれの主人公たちが「バカヤロー」と叫ぶクライマックスが痛快だが、4話ともパターンが同じなので少し食傷気味になるのは仕方がないかな。
 この後いろいろシリーズ化されたが、1991年の「4」までが森田芳光総指揮(脚本)によるものだ。「3」以降は見ていない。

「そろばんずく」*森田芳光監督作品

 以下作品は、映画前売券のコレクションとしての記録です。

1986_そろばんずく
監督:森田芳光
脚本:森田芳光
撮影:前田米造
音楽:梅林茂
主題歌:「寝た子も起きる子守唄」とんねるず
出演:石橋貴明、木梨憲武、安田成美、小林薫、渡辺徹、名取裕子、小林桂樹、三木のり平

☆☆☆★ 1986年/東宝/109分

 初見1986年8月。
 この映画は、バブル期における〈東宝サラリーマン喜劇〉として、当時も今も賛否両論であろう作品である。
 各賞を総なめにしたクラシック映画『それから』で脚光を浴びたあと、世間の期待を大きく裏切るシュールでアヴァンギャルドな大胆さ。不真面目を真面目に撮りあげブレなく堂々とやってのける森田監督の振り幅の広さ。
 そんな森田芳光だから惹かれるのであり、カメラワークとか編集とか映画のリズム感はクセになるんだなぁ。

 併映作『おニャン子・ザ・ムービー』など見る気も起こされず映画館を後にした。
 (星3つ半はあくまで個人的感想なのでDVDを借りてしまってからのクレームは受け付けません…笑)


「それから」*森田芳光監督作品

 以下作品は、映画前売券のコレクションとしての記録です。

1985_それから
監督:森田芳光
脚本:筒井ともみ
原作:夏目漱石
撮影:前田米造
音楽:梅林茂
出演:松田優作、藤谷美和子、小林薫、笠智衆、草笛光子、中村嘉葎雄

☆☆☆☆★ 1985年/東映/130分

 初見1985年11月。
 マイナーだが大傑作な『の・ようなもの』でデビューし、にっかつロマンポルノを撮りながら『家族ゲーム』でその鬼才ぶりを世間に知らしめ、沢田研二『ときめきに死す』薬師丸ひろ子『メイン・テーマ』とアイドルを料理した森田監督が、ここらで腰の据わった映画でも創ってみるかと、クラシックな作品で賞を獲りにいったかのような映画だ。
 そんな狙いが本当にあったかどうかは別にして、この年作品は主演男優賞をはじめ数々の賞を総なめし、あらためて森田監督の実力が評価されるに至っている。
 前田米造キャメラマンの映像がとにかく綺麗。

「間宮兄弟」



監督:森田芳光
原作:江國香織
脚本:森田芳光
出演:佐々木蔵之介、塚地武雅(ドランクドラゴン)、常磐貴子、沢尻エリカ、中島みゆき、戸田菜穂、岩崎ひろみ、高島政宏、加藤治子

☆☆☆☆ 2006年/アスミック・エース/119分

    ◇

 デビュー当初からの森田芳光ファンとしては、ここ十年の活動はいまいち手放しで喜んではいなかった。たしかに、『39 刑法第三十九条』や『黒い家』『模倣犯』『失楽園』『海猫』など、問題作やベストセラ-の映画化などで森田ワールドが見られなかったわけではない。
 でもそんな大作よりも、80年代の『の・ようなもの』や『家族ゲーム』『キッチン』みたいな、日常をスケッチするような作風の方が好きだ。

 この映画はまさにその初期の作品を思わせるような、平凡な人間の何てことない日常から日々の喜びと人間関係の楽しさを素朴にスケッチしている。
 その軽さがたまらない。
 惹句の《小さな幸せいっぱい》のとおり、幸せな気分になれる。

      ☆    ☆

 一緒に楽しみを共有したり、同じものを大事にしているひとがいますか?
 そして、毎日を楽しんでいますか?

      ☆    ☆

 30才を過ぎても仲良く同居生活をする間宮兄弟。兄・明信(佐々木蔵之介)と弟・徹信(塚地武雅)は、子供のまま大人になったようなふたり。常に一緒に遊び、一緒に様々な喜びを見つけながら楽しく過ごしている。
 テレビでスコアボードをつけながら野球観戦したり、毎回趣向を凝らしながらDVDを夜遅くまで観たり、ふたりで買い物をするときはジャンケン遊びをしたり、紙ヒコーキを飛ばしたり、お昼寝をしたり……。一日の終わりには必ずフトンの中で“反省会”をする。兄も弟もお互いを気づかい合う優しい兄弟。
 彼らに欠けているのは恋人だけ。
 ある日徹信は兄のために、自分が用務員として働く小学校の葛原依子先生(常磐貴子)とレンタルビデオ屋のアルバイト直美ちゃん(沢尻エリカ)をカレーパーティに誘う…………。

 はじめは、どこをどう見てもおタクなふたりなんだが、次第に彼らの生き方に共鳴しだし、子供のころのような懐かしさを憶えてくる。いつまでも、お互い同士が“好きなもの”と“楽しみ方”を持ち続けていることへの羨望が生まれてくるのだ。

 ひとのことには物凄く親身になって頼りにされるけど、恋にはならないタイプ。
 なんだか可哀想だけど、でも、愛すべきふたり。

 間宮兄弟を見ていると、ヘコんだり、悩んだりしたときのバネになりそう。
 「大丈夫だよ」って、そっと声をかけられるような気になる。
 周りのひとに感謝をし、些細なことで怒ってはダメだと気付くだろう。

 人と人とがつき合う関係が、兄弟であれ、男と女であれ、友人同士であれ、こんな風でありたいなぁと思わせる、素敵な映画だ。

 佐々木蔵之介とドランクドラゴンの塚地武雅のふたりのキャスティングは絶妙。
 小市民ぶりを発揮する佐々木とシリアスに演技する塚地の、女性にもてない空気の出し方が愛らしく、全然似ていないふたりなのに、これ以上兄弟っぽく見えるふたりはいない。
 ヘコんで帰宅した塚地に、佐々木蔵之介がおむすびを作ってあげるシーンは最高!

 間宮兄弟の母親役の中島みゆきの存在感は凄い。
 その中島みゆきのほのぼの感を含め、いつも「葛原依子先生」とフルネームで呼ばれる常磐貴子のお茶目ぶりなど、間宮兄弟の周りの登場人物もとてもチャーミングだ。