TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「ストロベリーナイト」*佐藤祐市監督作品

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原作:誉田哲也「インビジブルレイン」
脚本:龍居由佳里 林誠人
監督:佐藤祐市
音楽:林ゆうき
出演:竹内結子、西島秀俊、渡辺いっけい、高嶋政宏、遠藤憲一、小出恵介、丸山隆平、 生瀬勝久、宇梶剛士、武田鉄矢、津川雅彦 / 大沢たかお、染谷将太、金子賢、鶴見辰吾、石橋蓮司、田中哲司、柴俊夫、今井雅之、伊吹吾郎、金子ノブアキ、三浦友和

☆☆☆★ 2013年/フジTV・東宝/127分

    ◇

 暴力によって地獄を見せつけられ、大きな闇を抱えた男女の物語。
 “姫川玲子シリーズ”待望の映画である。


 東中野にあるマンション一室にて男の惨殺死体が発見された。被害者は指定暴力団の下部組織構成員・小林充。数日前に見つかった別の2件の殺しと手口が似ていた。
 被害者たちが暴力団構成員だったころから組同士の抗争が疑われ、組織対策四課との合同捜査となるが、姫川(竹内結子)には何か違和感があった。
 そんななか、姫川は「小林殺しは柳井健斗」というタレ込み電話を受けた。入院中の今泉係長(高嶋政宏)に報告するものの、翌朝、橋爪管理官(渡辺いっけい)からは「柳井健斗には一切触れるな」と厳命を受けるが、納得のいかない姫川は単独捜査をはじめる。
 柳井健斗とは、9年前に起こった事件の被害女性・柳井千恵の弟。事件の重要参考人だった父親の柳井篤司が、警察署内で警官から拳銃を奪って自殺していた。最終的に検察と警察が選んだのは、被疑者死亡により不起訴という幕引き。今回殺された小林充は柳井千恵の元恋人だった。
 柳井健斗のアパートを張る姫川は、そこでマキタと名乗る男(大沢たかお)に出会う……。

    ◇


 全編に降りしきる雨が、映画ならではの映像美となり、時に甘く、時に狂気となり登場人物たちを包み込んでゆく。

 『インビジブルレイン』が本来映画のタイトルとなるのだろうが、本作はテレビ・ドラマシリーズに倣ったままに『インビジブルレイン』はエピソードタイトルとしている。
 劇場版だからといってダイナミズムを打ち出したりスケールアップすることなく、まずは好感をもてた。(『相棒/劇場版』の1作目で大きな失敗があったことを思えばである)
 良しも悪しきも、ドラマ『ストロベリーナイト』の世界が展開する。

 ドラマ&映画において『ストロベリーナイト』というタイトルで貫いているのは、何をおいても姫川玲子にとってのトラウマ、屈辱の夜と真っ赤な月を象徴していることだ。
 姫川自身、常に“ある殺意”を腹の底に沈め、心に烙印を押し、生きてゆくことの重しにしている。この姫川玲子の感情こそ、男社会の警察組織において自分を駆ることのできるエネルギーであり、闇を孕んだものへの共通観念となり犯罪者の暗部に近づくことができる源だ。

◆以下ネタバレあり

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 青年期に両親を自殺に追い込んだ男たちを殺した牧田(大沢たかお)は、同じように復讐の刃を持つ柳井(染谷将太)に共感し、姫川に対しても自分と同じ“ひと殺し“の匂いを嗅ぎとっている。姫川も、牧田の闇を理解することができる哀しい存在だけに、このあと禁断の関係に陥ることになるのだが、原作では牧田に身を任せながら指で弄られ感じてゆく姫川の様子が克明に記されるが、いざその瞬間に今泉からの電話でおあずけを喰って終わる。
 しかし映画は、車中でのセックスにまで及ぶことになる。これは、今後の警察官としての姫川の精神的感情にも及ぶだろう事柄なのだが、姫川が牧田に惹かれてゆく様が小説よりリアルに描かれるので、これはこれでアリかなと思う。

 このラブシーンにおいて姫川は、牧田に「殺して……」と囁く。
 ふたつの意味を成す最高の台詞と、竹内結子の妖しい表情にはゾクリとくる。
 お互いの心にある空白を埋めるかのような激しい愛は、地獄を知らない者として理解もできないであろう菊田にとっては辛い現実である。
 自分が堕ちていくのを何とか留まらせてくれるだろう菊田の手を払う姫川。
 菊田、切ないよなぁ。
 西島秀俊が原作よりいい感じなので、余計に哀しいショット。
 菊田は、精一杯に心の均整を保ちながらある決心をする。これは、この後の「ブルーマーダー事件」で新たな展開に繋がるのだが………。

 刃のように軀に突き刺さるシャワーを浴び苦悩する姫川玲子……体現する竹内結子の凄みある美しさに感嘆する。


 少し不満だったのは、橋爪管理官や今泉係長、ガンテツまでが一目おく和田課長(三浦友和)の存在が、原作よりかなり希薄になっていたことか。今泉係長が入院する病室のワンシーンだけで説明されても、何のこっちゃと思うのではないかな。
 和田課長と懇意にする新聞記者とのエピソードもなく、ラストシーンの悪しき警察官僚の長岡刑事部長(田中哲司)を道ずれにするカタルシスも大きく得られなかった。
 
 さて姫川班解散後のエピソードは、26日のスペシャル・ドラマ『アフター・ザ・インビジブルレイン』においてオムニバスで描かれ順調。

 凛々しく、美しく、強く、哀しい女性、姫川玲子の魅力はまだまだ続く………

 今後は『ブルーマーダー』を軸に、姫川玲子の捜査一課復帰までの“シーズン2”を期待し、楽しみに待とう。


★Book Review「インビジブルレイン」★
★Book Review「ブルーマーダー」★



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姫川玲子シリーズの最新短編、「インデックス」誉田哲也

 2012年12月に発刊された『宝石 ザ ミステリー2』に、姫川玲子シリーズの短編「インデックス」が掲載されている。

 時系列で進む誉田作品だけに、今回は「ブルーマーダー事件」から1ヶ月半経ったところからはじまる。正真正銘の最新エピソードだ。

 短編なので詳しいストーリーは避けるが、「ブルーマーダー事件」から引き継ぐガンテツの登場から、いきなり姫川の驚きの去就が決まったり、今泉(警視に昇進している)や井岡までが登場する、ファンには嬉しい展開だ。


 さて2013年1月26日に映画『ストロベリーナイト/インビジブルレイン』が公開される。そして、劇場公開にあわせてTVでもスペシャル・ドラマが2本放送されるから注目である。

 ひとつは、1月22日(火)から25日(金)までの深夜に4夜連続で放送されるスピンオフ・ドラマ「ストロベリーミッドナイト」。居酒屋会議が描かれるようだ。
 翌26日の映画公開初日には、午後9時から「ストロベリーナイト/アフター・ザ・インビジブルレイン」が放送される。
 「ストロベリーナイト/アフター・ザ・インビジブルレイン」は5本の短編オムニバスの2時間ドラマ。TVドラマ・シーズン1では『感染遊戯』のエピソードからひとつがドラマ化されたが謎は残ったままなので、原作本『感染遊戯』から「沈黙怨嗟/サイレントマーダー」「推定有罪/プロバブリィギルティ」辺りのストーリーに期待。

 年明け早々、一番の楽しみがてんこ盛りである。

宝石 ザ ミステリー2
【光文社】
定価 952円(税別)

★Book Review「ブルーマーダー」★
★Book Review「女の敵」★
★Book Review「感染遊戯」★
★Book Review「インビジブルレイン」★


特典豊富なストロベリーナイトseason1 DVD-BOX

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 平均視聴率15%だった連続ドラマ「ストロベリーナイト」のDVD-BOXが6月29日に発売されるのだが、BOX タイトルの「season1」ってのが気になるな。
 劇場版としてスクリーンへ飛翔したあと、「season2」として連ドラに着地するのだろうか…………。
 圧倒的な豪華キャストなんだから、今度はオリジナルストーリーってのもいいかも。

 さて、本DVD-BOXは本編6枚にプラスして特典DISCが1枚付く。約130分の特典映像だと云うんだから注目だ。

■第3話オーディオコメンタリー(竹内結子、西島秀俊、編成企画・成河広明、佐藤祐市監督)
■制作発表
■スペシャル・メイキング
 [姫川玲子の戦い PART1]
 [暑い夏 熱い演技]
 [一日がかりの車両基地]
 [姫川班のもう一つの顔]
 [先輩と後輩の良き関係]
 [日下の受難]
 [ガンデツが出来るまで]
 [意外な〜 ]
 [笑いの絶えない居酒屋シーン集]
 [プロフェッショナルな裏方の流儀]
 [姫川玲子の戦い PART2]
 [クランクアップ]
■出演者インタビュー集
■出演者&スタッフ トークセッション
 [15時間プレミアム試写会 前編]
 [15時間プレミアム試写会 後編 ]
■「ソウルケイジ」試写会時、出演者&スタッフ トークセッション
■予告集
■ノンクレジット・エンディング

 連ドラDVD-BOXって結構高い買い物だから、余程気に入ったドラマでないと購入しないのだが、この豊富なメイキング映像は魅力的だな。
 「ストロベリーナイト」ファンは買いでしょ。
 

★「ストロベリーナイト」#11:ソウルケイジ: part3★
★「ストロベリーナイト」#10:ソウルケイジ: part2★
★「ストロベリーナイト」#9:ソウルケイジ: part1★
★「ストロベリーナイト」#8:悪しき実: part2★
★「ストロベリーナイト」#7:悪しき実: part1★
★「ストロベリーナイト」#6:感染遊戯★
★「ストロベリーナイト」#5:過ぎた正義: part2★
★「ストロベリーナイト」#4:過ぎた正義: part1★
★「ストロベリーナイト」#3:右では殴らない: part2★
★「ストロベリーナイト」#2:右では殴らない: part1★
★「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー★
★ストロベリーナイト レジェンド★
★Book Review「女の敵」★
★Book Review「感染遊戯」★
★Book Review「インビジブルレイン」★
★Book Review「ソウルケイジ&シンメトリー」★

「ストロベリーナイト」#11:ソウルケイジ

★ソウルケイジ: part3★

 姫川玲子シリーズの最終回。連ドラが、このまま終わるとは思っていなかったが………。

 「親と子の情愛」というテーマが貫かれ、玲子の母親への意思表示もひとつのケジメとして成りたったわけで、原作のテイストを崩さず巧くまとめた最終回であった。
 原作ファンにとって、どこも不満はない展開だ。


 「人間って、そんなに利口じゃないんだよ」

 最後の最後で、任意聴取の場で見せ場を作り「いい奴じゃん」って思わせた鮫島(笑)……じゃなくて日下 守。遠藤憲一の渋みがキマってる。
 語り始めたとき、玲子の顔もいいアングルに治まり、「父親ほど、不器用生き物はいなくってな。自分勝手で、格好悪くて、うまく抱きしめることもできない」などと、日下は自分自身にハッパをかけ、玲子も父親や母親の情愛へ想像力が働き思いやる気持ちが沸き起こる。高岡の“父性”が、日下と姫川を目覚めさす流れとして巧く描かれていた。

 病室で母親を抱きしめ、クールに立ち去る玲子。
 父親の笑顔と、“あの日”から初めて涙を見せる母親の想いは、しっかり玲子の後ろ姿に届いているだろう。
 原作にない玲子の家族の愛情模様は、連ドラで見事に終結していた。これは、印象的で心に残るシーンとして気持ちいい。

 さて、途中、ガンテツが井岡と葉山に対して「腰巾着1号・2号・3号」と言い放ち登場。葉山には、トラウマである刺された家庭教師の名前が姫川と同じ「レイコ」だと知っていることを明かす………これ、続編への伏線じゃないの、と、大いなる期待を膨らませながら本編は進行していく。

 葉山に近づくガンテツ………第6話「感染遊戯」のところでも書いたが、原作と違う犯人の状況では、本当の闇は未だ解決していない状態だった。
 いつか、ここに触れていかないことには姫川玲子シリーズは終わらないと思っていた。
 オリジナル・ストーリーだったなら、シーズン2、3……と続いていってもいいくらい、濃いキャラクター満載のドラマだったが、あくまで原作重視。エンディングでダメ押しのガンテツ登場シーンを見せて、さあ、特報!
 まさに、当然の帰結としての映画化決定! 注目である。

 さて、そうなると何を原作にするのか………警察上層部を巻き込んだスキャンダラスな「インビジブルレイン」事件をメインに、ガンテツの葉山への思惑がある「感染遊戯」の闇の部分や連載中の「ブルーマーダー」を取り入れるか? 殉職した大塚巡査のエピソードも織り込まれるといいのだが……。

    ◇

原作:誉田哲也
脚本:龍居由佳里
演出:佐藤祐市
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、高嶋政宏、小出恵介、丸山隆平、生瀬勝久、遠藤憲一、渡辺いっけい、武田鉄矢/手塚理美、大和田獏 /石黒賢、濱田岳、蓮佛美沙子、池田鉄洋

2012年3月20日放送


★「ストロベリーナイト」#10:ソウルケイジ: part2★
★「ストロベリーナイト」#9:ソウルケイジ: part1★
★「ストロベリーナイト」#8:悪しき実: part2★
★「ストロベリーナイト」#7:悪しき実: part1★
★「ストロベリーナイト」#6:感染遊戯★
★「ストロベリーナイト」#5:過ぎた正義: part2★
★「ストロベリーナイト」#4:過ぎた正義: part1★
★「ストロベリーナイト」#3:右では殴らない: part2★
★「ストロベリーナイト」#2:右では殴らない: part1★
★「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー★
★「ストロベリーナイト」 レジェンド★
★Book Review「女の敵」★
★Book Review「感染遊戯」★
★Book Review「インビジブルレイン」★
★Book Review「ソウルケイジ&シンメトリー」★

「ストロベリーナイト」#10:ソウルケイジ

★ソウルケイジ: part2★


 保険金詐欺と暴力団組長の隠し子だという戸部の登場、13年前の内藤親子の交通事故と意識が戻らず寝たきりの息子………はてさて複雑な様相を表してきた中編、展開がスピーディなだけに視聴者は推理しながらドラマを楽しむことができたのか………2度見は必須だろう。

 日下とガンテツの確執、そして日下の家庭環境やら彼の懐の深さやらが描かれてしまうと、玲子の勘だよりの行動や見た目で日下を嫌う大人げなさだけが気になってくる終盤だが、玲子の妄想を橋爪管理官がぶった切る快感や、玲子の悔しがる顔や仕草がお気に入りだからいいや。

 高岡が守らなくてはならなかったものは……耕介が守らなくてはならないものは………
 高岡を名乗る男の三島耕介に対する情愛と、耕介の絶対的な慈しみ。幻想的ではあっても、ここには家族が成り立っている。
 対して、玲子と家族の関係も、日下と息子との在り方も、日下が菊田に語るような家族の形になっていないから悲劇なんだな。

 さて、手首と胴体とのDNA鑑定の謎は…………高岡こと内藤は生きているのか………何処にいるのか。

    ☆
 
 GReeeeNの歌は「愛唄」から全部好き。クロージングテーマになった「ミセナイナミダハ、きっといつか」のPVが完成したようだ。和むなぁ……




    ◇

原作:誉田哲也
脚本:龍居由佳里
演出:佐藤祐市
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、高嶋政宏、小出恵介、丸山隆平、生瀬勝久、遠藤憲一、渡辺いっけい、武田鉄矢/手塚理美、大和田獏 /石黒賢、濱田岳、蓮佛美沙子、池田鉄洋

2012年3月13日放送


★「ストロベリーナイト」#9:ソウルケイジ: part1★
★「ストロベリーナイト」#8:悪しき実: part2★
★「ストロベリーナイト」#7:悪しき実: part1★
★「ストロベリーナイト」#6:感染遊戯★
★「ストロベリーナイト」#5:過ぎた正義: part2★
★「ストロベリーナイト」#4:過ぎた正義: part1★
★「ストロベリーナイト」#3:右では殴らない: part2★
★「ストロベリーナイト」#2:右では殴らない: part1★
★「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー★
★ストロベリーナイト レジェンド★
★「姫川玲子シリーズ」誉田哲也★

「ストロベリーナイト」#9:ソウルケイジ

★ソウルケイジ: part1★

 多摩川土手の路上に放置された軽自動車から、ビニール袋に入った血まみれの左手首が発見された。
 臨場班は日下守(遠藤憲一)、姫川玲子(竹内結子)の両班体制で捜査本部が置かれる所轄署に赴く。
 指揮を執る今泉係長(高嶋政宏)の報告から、左手首の持ち主は指紋の照合とDNA鑑定により、高岡工務店を営む高岡賢一(石黒賢)のものと判明。従業員の三島耕介(濱田岳)が工務店のガレージに大量の血液を発見し通報、手首発見までの経緯を説明する。ガレージに残された出血量が致死量を超えていることなどから、高岡が殺害された可能性を考慮して死体損壊遺棄事件と認定された。

 第一発見者の三島耕介の事情聴取に名乗りをあげる玲子だったが、耕介の聴取は日下に取られ、玲子は耕介の交際相手でアリバイを証言した中川美智子(蓮佛美沙子)の聴取担当に回された。
 その夜、玲子の携帯に父の忠幸(大和田獏)から母の瑞江(手塚理美)が倒れたと連絡が入る。病院に駆けつける玲子だが、長く留まることは出来ない。よそよそしい父親の姿にも腹が立ち、埋められない親子の距離をあらためて実感するのだった。

 次の日、玲子は昇進で所轄に転属してきた井岡(生瀬勝久)と美智子のアパートへ向う。 事情聴取の途中、大きな物音に怯える美智子の態度を見て、姫川は13年前の自分と照らし合わせていた。

 13年前、三島耕介の父親は木下興業の建設現場で転落死している。父親の最後に立ち会った高岡賢一は、まだ小学生だった耕介を親代わりになって面倒をみ、中学を卒業すると同時に養護施設から引き取り、自分の下で大工の修行をさせていた。

 姫川班と日下班のそれぞれの聞き込み捜査で、関係者周辺の事実が浮かんできた。
 美智子の父親も、耕介の父親と同じ木下興業において転落事故によって死亡していること。木下興業の親会社中林建設は、広域指定暴力団のフロント企業だということ。高岡賢一の母親は中林建設の激しい地上げによる嫌がらせで自殺していること。
 そして玲子は、左手首の男・高岡賢一が戸籍上の高岡賢一とはまったくの別人であったことを聞き込む………。

 「(高岡賢一)あなたは誰?」

    ◇

 ソウルケイジ……魂の檻………親として、子として、もがき苦しむ姿が閉じ込められている檻。

 「ソウルケイジ」というタイトルは、スティングの3rdアルバム『The Soul Cages』('91)からインスパイアされたという。このアルバムはスティングが亡くなった父親への憧憬を綴った、実に内省的な、魂の呻きが聴こえてくるようなアルバムだった。

 この物語も、主題は“父性”の在り方だということがわかる。
 高岡賢一と名乗る男は、どうして三島耕介を実の子のように育ててきたのか。核心はそこだろう。

 この事件の当事者たちの父と子の関係は、事件を捜査する刑事たちにも波及し、日下は息子との関係に何かしらの思いを抱いていくであろうし、姫川玲子に関しては、母との閉ざされた心の確執は重い。よそよそしい父親の姿も、こんな風にはなりたくないと思うのだろう。それでも、絶対に切り離せない親子の宿命として、親の人生を思い浮かべる想像力と、親の思いを受け止める力と、それらを理解する許容心を備える玲子の姿を、最後には見せて欲しいものだ。

 さてドラマは、原作の約半分までを一気に進行。高岡賢一の過去、息子のように育てた三島耕介の過去。その彼女であろう中川美智子が抱えているトラウマ。彼らに絡む建設会社の黒い背景など、原作を読んでいる身には既に整理されている事案だが、第1章にしては情報量が多過ぎて混乱してる視聴者がいるのではないだろうか。

 今週の姫のチェックポイントは、食事会でクダを巻く玲子に井岡がそっと小皿を滑らせるものの、イライラする玲子が発するひと言「いらないっ」に決まり。
 ウ~、可愛いな。

    ◇

原作:誉田哲也
脚本:龍居由佳里
演出:佐藤祐市
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、高嶋政宏、小出恵介、丸山隆平、生瀬勝久、遠藤憲一、渡辺いっけい/手塚理美、大和田獏 /石黒賢、濱田岳、蓮佛美沙子、池田鉄洋

2012年3月6日放送

★「ストロベリーナイト」#8:悪しき実: part2★
★「ストロベリーナイト」#7:悪しき実: part1★
★「ストロベリーナイト」#6:感染遊戯★
★「ストロベリーナイト」#5:過ぎた正義: part2★
★「ストロベリーナイト」#4:過ぎた正義: part1★
★「ストロベリーナイト」#3:右では殴らない: part2★
★「ストロベリーナイト」#2:右では殴らない: part1★
★「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー★
★ストロベリーナイト レジェンド★
★「姫川玲子シリーズ」誉田哲也★

「ストロベリーナイト」#8:悪しき実

★悪しき実: part2 ~嗚咽~★

 岸谷清次(松田賢二)が私書箱に隠し持っていた写真に写っていた人物が、いずれも暴力団関係者であり既に射殺されていた事実が判明する。
 姫川玲子(竹内結子)は、アパートに残されていた13個の木片と考え合わせ、岸谷が殺し屋であったと直感する。早速、今泉係長(高嶋政宏)の帳場がたっている暴力団組長射殺事件のの捜査本部に加えて欲しいと願い出た。
 しかし日下警部補(遠藤憲一)からは、確信ではなく確証がなければだめだと一蹴されてしまった。

 姫川班は春川美津代(木村多江)の身柄の確保を最重要事項とし写真に写る温泉街に向った………。

    ◇

 美津代の独白で成り立っていた短編だったが、岸谷と美津代ふたりの背景と捜査過程をじっくり見せてくれた前編は感心したわけだが、やはり2週に分けることでの弊害が出てしまった感じだ。
 地道な捜査と、刑事達の努力で辿り着いたという経過が、今回、まったく見ることができない結果であり、2時間ドラマだったら巧くいっただろうに………。

 まぁ、今回の物語は木村多江ありきのドラマ化ってところだろうか。

 どうしても姫川の直感と先走りばかりが強調され、日下の言うところの「いつか取り返しのつかないことに」への危惧がインプットされる展開。
 「確信と確証は大きくちがう」と姫川にクギをさす日下の考えはまともな事なんだが、何せ姫川は日下を生理的に嫌悪してしまうので、そのあたりがヒヤヒャもの。
 日下が井岡に「どこが嫌われているのかわからん」とボヤくのも仕方ないことで、姫川のトラウマとなっている唯一殺したい男に日下が似ていたんだから、諦めるしかない。

 さて、姫川vs日下も面白いのだが、やはりガンテツが出てこないことにはしまらない。ガンテツのキャラの大きさを増々感じてしまったかな。

 いよいよ来週から長編「ソウルケイジ」に入る。たぶん3週くらいに分けるのかな。
 レギュラーキャラのフルメンバー揃い踏みで、日下が唯一敵と称するガンテツとの因縁も明かされることだろうから楽しみである。
 原作の最後には目頭が熱くなる展開が待っているので、最終章に相応しい人間ドラマになることを期待する。


原作:誉田哲也
脚本:林誠人
演出:石川淳一
音楽:林ゆうき
主題歌:「ミセナイナミダハ、きっといつか」GReeeeN
出演:竹内結子、西島秀俊、宇梶剛士、高嶋政宏、小出恵介、丸山隆平、生瀬勝久、遠藤憲一、渡辺いっけい、津川雅彦 /木村多江、松田賢二

2012年2月28日放送

★「ストロベリーナイト」#7:悪しき実: part1★
★「ストロベリーナイト」#6:感染遊戯★
★「ストロベリーナイト」#5:過ぎた正義: part2★
★「ストロベリーナイト」#4:過ぎた正義: part1★
★「ストロベリーナイト」#3:右では殴らない: part2★
★「ストロベリーナイト」#2:右では殴らない: part1★
★「ストロベリーナイト」#1:シンメトリー★
★ストロベリーナイト レジェンド★
★「姫川玲子シリーズ」誉田哲也★