TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「チャンス」*ハル・アシュビー

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1981_チャンス
BEING THERE
監督:ハル・アシュビー
脚本:ジャージ・コジンスキー
撮影:キャレブ.デシャネル
音楽:ジョニー・マンデル
出演:ピーター・セラーズ、シャーリー・マクレーン、メルヴィン・ダグラス、ジャック・ウォーデン

☆☆☆☆★ 1979年/アメリカ/130分


 初見1981年3月。
 1980年に54歳で亡くなったピーター・セラーズの遺作で、ゴールデングローブ賞主演男優賞(ミュージカル/コメディ部門)を受賞した作品。

 格式のある古びた屋敷の庭師チャンス(ピーター・セラーズ)の趣味はテレビと植物。読み書きのできない彼は、主人のいいつけはきちんとしたみなりで応え、欲もなく、作為もなく、ただ純真無垢に生きてきた中年男。
 そんな彼が、主人が急逝したことで“外の世界”へ出ざるおえなくなり、そこで富豪夫人(シャーリー・マクレーン)の車と接触したことから彼女の屋敷に招かれ、チャンスの人生が大きく転がり出す……。
 ただ無知なだけのチャンスの素朴な人柄に、インテリ層の人々は含蓄ある人物と勘違いし、チャンスを勝手に祭り上げてゆく様を、風刺を交えた上品なコメディとして描いている。
 チャンスに発情するシャーリー・マクレーンがとても淫らだ。

 監督のハル・アシュビーは、1988年に59歳で亡くなっている。
 ジャック・ニコルソンのヒューマン・ドラマ『さらば冬のかもめ』('71)や、ウォーレン・ビーティの内幕風刺ドラマ『シャンプー』('75)、ジェーン・フォンダ主演でベトナム戦争後遺症をメロドラマ的に描いた『帰郷』('78)、そして、ローリング・ストーンズの優れたミュージック・ドキュメンタリー『レッツ・スペンド・ザ・ナイト・トゥゲザー』('83)など、秀作・傑作を生み出してきた大好きな監督だった。

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「カサノバ」*フェデリコ・フェリーニ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1981_カサノバ
CASANOVA
監督:フェデリコ・フェリーニ
脚本:フェデリコ・フェリーニ
美術:フェデリコ・フェリーニ
撮影:ジョゼッペ・ロトゥンノ
音楽:ニーノ・ロータ
出演:ドナルド・サザーランド、ティナ・オーモン、マルガレート・クレマンティ、シセリー・ブラウン、サンディー・アレン

☆☆☆★ 1976年/イタリア/148分

 初見1981年2月。
 世紀の色事師として名を知られるカサノヴァの人生を通して、エロスとデカダンスな世界を絢爛豪華に描いたフェリーニの映像美作品。

 フェリーニお得意の豪華で巨大なセット美術と、カザノヴァ役の怪優ドナルド・サザーランドの異様なメイクなど、フェリーニ的と言われるグロテスクで猥雑な世界が繰り広げられる。

 カーニヴァル……カーニヴァル……カーニヴァル……
 フェリーニ映画は、とにかくエネルギーに満ちている…
 そして、そこから生まれる人間の営みと悲哀が、滑稽なのである…

「クレイマー、クレイマー」*ロバート・ベントン

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1980_クレイマー、クレイマー
KRAMER vs KRAMER
監督:ロバート・ベントン
原作:アヴェリー・コーマン
脚本:ロバート・ベントン
撮影:ネストール・アルメンドロス
音楽:アントニオ・ヴィヴァルディ
出演:ダスティン・ホフマン、メリル・ストリープ、ジャスティン・ヘンリー、ジェーン・アレクサンダー、ハワード・ダフ、ジョベス・ウィリアムズ

☆☆☆☆ 1979年/アメリカ/105分

 初見1980年6月。
 70年代の終りころから欧米や日本で問題になりはじめた離婚をテーマに、紋切り型で固定概念に縛られていた女性観や親子観、仕事観や育児観などから起る様々な問題を突きつけ、女性の自立や父子家庭といった家族のあり方を真正面から描いた名作。

 登場人物それぞれの視点から考えさせられる構成は、ダスティン・ホフマンとメリル・ストリープの演技合戦の様相でもあり、ダスティン・ホフマンは本作で初めてアカデミー賞主演男優賞を、メリル・ストリープもアカデミー賞助演女優賞を獲得。
 
 父と子の絆を表現した2ヶ所の“フレンチトースト”シーンは、ダスティン・ホフマンと子役のジャスティン・ヘンリーくん(アカデミー賞助演男優賞ノミネート)との見事な芝居で涙腺を刺激する。

「ルードウィヒ/神々の黄昏」*ルキノ・ヴィスコンティ

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1981_ルードウィヒ
LUDWIG
監督:ルキノ・ヴィスコンティ
脚本:ルキノ・ヴィスコンティ、エンリコ・メディオーリ、スーゾ・C・ダミーコ
撮影:アルマンド・ナンヌッツィ
出演:ヘルムート・バーガー、ロミー・シュナイダー、シルヴァーナ・マンガーノ、トレヴァー・ハワード、ソニア・ペトロヴァ

☆☆☆★ 1972年/イタリア・西ドイツ・フランス/237分(オリジナル版)

 日本公開はヴィスコンティ編集の短尺版(180分)が死後から4年後の1980年に陽の目を見た。 初見1981年2月。

 18歳でバイエルン王国(19世紀から20世紀にかけて存在したドイツの王国)の国王に即位し、40歳で謎の死を遂げたルードウィヒⅡ世の波乱に満ちた生涯を綴った歴史絵巻。
 ヴィスコンティお得意の貴族趣味は、デカダンスな耽美の世界……狂気を含んだ王を演じるヘルムート・バーガーの妖しさ……そして、絶世の美女と謳われたシシーことエリザベート皇后を演じるロミー・シュナイダーは、知性と気品に溢れた高貴な美しさと風格を放っている。

「マリア・ブラウンの結婚」*ライナー・W・ファスビンダー

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1980_マリア・ブラウン
DIE EHE DER MARIA BRAUN
監督:ライナー・W・ファスビンダー
原案:ライナー・W・ファスビンダー
脚本:ペーター・メルテスハイマー、ピア・フレーリッヒ
撮影:ミハエル・バルハウス
音楽:ペーア・ラーベン
出演:ハンナ・シグラ、クラウス・レーヴィッチェ、イヴァン・デニー

☆☆☆☆ 1979年/西ドイツ/120分

 初見1980年2月。
 1960年代後半から80年代にかけて花盛りだったニュー・ジャーマン・シネマの1本で、当時、そこから輩出された新しい映画作家ヴェルナー・ヘルツォーク、『アメリカの友人』『ハメット』『パリ、テキサス』などのヴィム・ヴェンダース、『ブリキの太鼓』のフォルカー・シュレンドルフ、そして本作のライナー・W・ファスビンダーの4人が〈ノイエ・ヴェレ(新しい波)〉の四銃士とも呼ばれ注目されていた。

 本作は、ドイツ戦後史のなかで懸命に生き抜いた女性の半生を描いたメロドラマであり、普遍的な愛の物語である。
 原題は正確には「マリア・ブラウンの結婚の日々」。
 ヒトラーの写真が爆風で飛ぶシーンにはじまり、ラストは1954年のワールドカップでドイツが初めて優勝する日に終わる約10年間の日常は、ドイツ敗戦前夜に結婚式をあげ、わずか一夜で夫を戦地に送り出し、戦後の混乱期にはGIバーに勤め、軍人の情婦になり、帰還した夫を支えるためには実業家の愛人にもなる。
 そして最後は、事故とも自殺ともつかぬ死を遂げるマリア・ブラウン。

 米軍占領期に逞しく、力強く生き抜いた女性の半生はそのまま、同じ敗戦国である日本にもあてはまることで共感を覚えるところがある。


「第2章」*ロバート・ムーア

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1980_第2章
CHAPTER TWO
監督:ロバート・ムーア
脚本:ニール・サイモン
撮影:デヴィッド・M・ウォルシュ
音楽:マービン・ハムリッシュ
出演:ジェームズ・カーン、マーシャ・メイスン

☆☆☆★ 1979年/アメリカ/126分

 初見1980年。

 妻と死別した作家と、5年間の結婚生活に破れた女優志望が出会い結婚。ハネムーンでのいさかいなど紆余曲折を経て、第2の結婚を確かめ合う……。

 妻であり本作の主演女優マーシャ・メイスンとの結婚までの経緯を描いた、と言われる劇作家ニール・サイモンの自伝的脚本は、ニューヨークを舞台に、粋な会話がもたらすユーモアと感動で満たされる傑作ラヴ・コメディ。

 

「ミッドナイト・エクスプレス」*アラン・パーカー

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

197811_ミッドナイト・エクスプレス
MIDNAIGHT EXPRESS
監督:アラン・パーカー
脚本:オリバー・ストーン
原作:ビリー・ヘイズ、ウィリアム・ホッファー
撮影:マイケル・セレシン
音楽:ジョルジオ・モロダー
出演:ブラッド・デイヴィス、ランディ・クエイド、ボー・ホプキンス、ポール・L・スミス、ジョン・ハート

☆☆☆☆ 1978年/アメリカ/121分

 初見1978年12月。
 〝ミッドナイト・エクスプレス〟とは、刑務所用語で〝脱獄〟を意味する隠語。

 大麻の密輸でトルコの刑務所に投獄され、祖国からも見放され絶望の日々を送る青年が脱獄するまでを描いた実話で、非人間的扱いを受けながらも生き延びた人間の驚異を感じる問題作。
 オリヴァー・ストーンの脚色は、若者の愚かな行為が政治的背景(ニクソン時代のアメリカと中東諸国の緊迫関係)を巻き込み、そのため国家的犠牲になりながら精神を病んでいく様を執拗に描いていく。
 異常な刑務所内を美しい映像で見せられると、哀しさが倍増する。

 主演のブラッド・デイヴィスは1985年にエイズと診断され、1991年他界。享年41だった。