TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

20世紀『洋楽の時代』発刊



 〝若者が熱狂した時代を再検証する、ユース・カルチャー・クリップ・マガジン〟として新創刊された「タンデムスタイル増刊[20世紀]」2015年4月号『洋楽の時代』が面白い。

 100年間にわたる洋楽歴史やポップカルチャー史を、ピーター・バラカン、朝妻一郎、小林克也のインタビューとサエキけんぞうのコラムを交え、音楽雑誌とは一線を画した切り口で、若者が憧れと熱狂の虜になった時代にタイムスリップできる素晴らしいムック本だ…

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鮮烈!アナーキー日本映画史1959~1979



ゴールデン・ウィーク前にこんな本が出ていた。

岡本喜八監督の豪快な戦争映画「独立愚連隊」からはじまり、マイフェイヴァリットBest Oneの長谷川和彦監督「太陽を盗んだ男」で締める、SEX、VIOLENCE、ROCK'N ROLLなニッポン映画が101本である。

名作を大きく外れたアウトサイダーな映画たち……
好きな映画ばかり網羅されている。
サブカルチャーな作品ってのはいつまでも記憶に残っているから、やっぱり「面白くなければ映画じゃない」か……

    ◇

独立愚連隊[岡本喜八]
黒い十人の女[市川崑]
座頭市物語[三隅研次]
マタンゴ[本田猪四郎/円谷英二]
月曜日のユカ[中平康]
赤い天使[増村保造]
殺人狂時代[岡本喜八]
殺しの烙印[鈴木清順]
ある殺し屋[森一生]
荒野のダッチワイフ[大和屋竺]
江戸川乱歩全集 恐怖奇形人間[石井輝男]
女番長 野良猫ロック[長谷部安春]
ゴジラ対ヘドラ[坂野義光]
白昼の襲撃[西村潔]
子連れ狼 三途の川の乳母車[三隅研次]
バージンブルース[[藤田敏八]
番格ロック[内藤誠]
修羅雪姫[藤田敏八]
0課の女・赤い手錠[野田幸男]
仁義なき戦い[深作欣二]
竜馬暗殺[黒木和雄]
仁義の墓場[深作欣二]
トラック野郎 御意見無用[鈴木則文]
狂った野獣[中島貞夫]
犬神家の一族[市川崑]
高校大パニック[澤田幸弘/石井聰亙]
復讐するは我にあり[今村昌平]
太陽を盗んだ男[長谷川和彦]
……and more!

    ◇

と、まぁ、これから日本映画を見直そうと思っている人たちへのガイド本として、おすすめ!



映画秘宝EX「鮮烈!アナーキー日本映画史1959~1979」
【洋泉社MOOK】
定価 1,575円


原田芳雄、追想 そして、曽根中生、語る



 『映画芸樹 2011年秋号』は芳雄さんの特集。
 追悼じゃない、追想……。

《座談会》 石橋連司・佐藤浩市・阪本順治
~その広々とした人格の間に

《インタビュー》 桃井かおり
~どんなに不様なときでも生きるほうを選択させてくれた
 芳雄は、そういう人魂だった

《座談会》 宇崎竜童・山崎ハコ・早坂紗知・大木雄高
~芳雄さんにありがとうって言おう

《対談》 森崎 東・近藤昭二
~本気で死んだと言ってくれ

《追悼文》
内田裕也  献杯!
小野武彦  兄貴、偉いよ
柄本 明  ヨシオさんのこと
田辺泰志  永遠のアンチヒーロー
黒崎 博  他者への敬意に満ちている人
森本佑司  「熊野」と感応した役者

《論考》
原田芳雄、その軌跡を辿る  上野昂志

《原田芳雄全映画 1968~2011》



 「仕事を遊ぶ」ことで仲間を増やしていった芳雄さんの「遊び仲間」が語る“原田芳雄像”からは、やっぱり、唯一無二の俳優であり、シンガーであり、人間芳雄の凄さ、素晴らしさ、カッコよさしか見えてこない。あらためて、失ったものの大きさを実感してしまう文章の数々。
 原田芳雄を愛するすべての映画ファンと、すべての音楽ファンが読むべき本だと思う。

 荒井晴彦氏のインタビューで、朋友・桃井かおりは今まで語ったことのない真情を吐露している。
 「デビューで蓮司さんと一緒で、次に『赤い鳥逃げた?』で芳雄さんと一緒で、その後、クマちゃん(神代辰巳)に移行しているから、普通には育たない(笑)」などと、自らを野生の女優と云う桃井かおり。彼女の中心にあったものが原田芳雄という大きく太い柱だったことは自明の理であり、彼女の言葉ひとつひとつに原田芳雄に捧げる愛情の深さが表出していて、読み終えたときは心の揺さぶりが大きくて涙が滲んでくる。

 いま桃井かおりは仕事の拠点をアメリカ西海岸に移して、外国人映画作家と映画に携わっている。文中で語っているように、芳雄さんも桃井かおりも台本どおりにやらない俳優。ショーケンもそうだけど、台詞を巧く覚えるだけの役者じゃなくて身体で台詞を生む役者は、いまの日本映画では使いづらいんだろうな。
 パキさん(藤田敏八)も、クマさんも、黒木(和雄)氏も、優作も、芳雄さんもいない。なんだかひとり、ポツンと残されてしまった感覚が、ぼくらファンにも大きく伝わってくるインタビューだった。

 内田裕也御大のあふれる愛情、俳優座一期後輩の小野武彦さんのやさしさ、柄本明さんの羨望と嫉妬に再び涙が浮かぶ次第………。
 松田優作と夏目雅子と芳雄さんのアクション喜劇や、蓮司さんとコンビの喜劇など芳雄さんに向けてホンを書いていたという田辺泰志氏(清水邦夫氏とともに『竜馬暗殺』の脚本を執筆)も、大きな夢で遊んでいたのだなぁと感慨。
 
 ブルーズ・シンガーでもあった芳雄さんに共鳴した宇崎竜童さんと山崎ハコ嬢の想いも素敵だな。芳雄バンドでサックスを吹いていた早坂紗知さん、プロデューサーの大木雄高氏、ホント、有り難うですね。

 告知として、待ち遠しかった森崎東監督の映画『生きてるうちが花なのよ死んだらそれまでよ党宣言』が来年の1月21日にDVD発売される模様。
 そうだよ いつでも、また会えるんだ。



 そして、再来した曽根中生を気心知れた荒井晴彦氏がインタビュー。これも必読。
 相米慎二や池田敏春を育てたと言っても過言ではない天才・曽根中生氏。言っちゃ悪いが『映画秘宝』や『キネマ旬報』のインタビューより、断然読み甲斐のある座談会である。
 映画しかなかった中生氏が映画に叩きのめされ、突然映画と決別しなければならなかった事情を淡々と語る、浦島太郎が海辺に戻って来たような曽根中生氏。
 新しく情熱を傾けるものに出会い、映画に冷めていることには少し残念で寂しいな。
 
    ◇

映画芸樹 2011年秋号
【編集プロダクション映芸】
定価 1,500円

ならず者を読もう、レココレ6月号



 いつの間にか15日発売になっていた『レコード・コレクターズ』誌が、バナナでは昔通りに12日に並んでいた。(書店は相変わらず15日発売らしいが)
 『ならず者』の大特集である。読み応えは十分。
 幻の日本公演のチケット争奪に加わったあの頃を思い出した鳥井賀句氏の文章には、宮谷一彦の劇画『ジャンピン・ジャック・フラッシュ』まで出てくるなんてさ、久々に書棚から取り出して読み返してるよ。

 『ならず者』のアルバムは、当時は4面全部を通して聴くなんてあんまりしてなかったなぁ。アナログ盤D面の「オール・ダウン・ザ・ライン」と、つづく「ストップ・ブレイキング・ダウン」のミック・テイラーのスライドが一番好きな箇所だった。 
 40年近くの月日を経て、いま新たな装いで吹き込まれたテイクがファンの前に差し出されたことは、何にも代えて嬉しいよ。

萩原健一、神代辰巳を語る



 「1万2000字、心して読め!」とある。

 『映画秘宝 5月号』掲載のショーケンのロング・インタビューは確かに、大いに語っている。
 この雑誌だからこそなのか、この雑誌ではもったいくらい、もっともっと、カットなしで読ませて欲しい。

 「ショーケンは映画を制作者側の目線で見ている」と、インタビュアの轟夕起夫氏が言っているが、ショーケンは本当によく映画を見ているよな。
 でも、この制作者側ってところがクセモノで、これがショーケンへの誤解のもとにもなっている感がある。
 俳優の立場だけでなく、制作する者のひとりとしてスタッフと直に云い合えるからこそ、映画への情熱では他に負けないのだが、いかんせん理解と度量のあるスタッフが少なくなっているのが現実か。
 軽い映画ばかりと嘆くのも、映画を愛するからこそよ。

 『いつかギラギラする日」の原田芳雄の交代劇や、『誘拐報道』のリハのことまで話が及ぶ。
 クマ(神代)さんが撮った『傷だらけの天使』の尺が足らない話は、「映画のマナー」の話と共に“クマさんらしく”てイイねぇ。

シネマの手帖、そして映画館の記憶



 この雑誌は、『暮しの手帖』の別冊で「DVDで楽しめる250本の名作ガイド[昭和篇]」と副題がついている。
 先に紹介した『オールタイム・ベスト 映画遺産200[日本映画篇]』とは趣がちがい、邦・洋画取り混ぜてのピックアップは懐かしい映画館の想い出までもを募らせるガイド本。
 「映画は映画館で見るべし」そんなこと基本なんだけど、最近はDVDで鑑賞することの方が多くなった。これは、DVD化されている作品のみの紹介だ。いつでも観られる、何度でも観られるいい作品が満遍なく掲載されている。
 ただし、DVD化されていない斉藤耕一監督の『約束』や神代辰巳監督の『青春の蹉跌』や西村潔監督の『白昼の襲撃』、アンジェイ・ワイダ監督の『灰とダイヤモンド』やアンリ・ジョルジュ・クルーゾー監督の『悪魔のような女』のような、お勧めガイドには是非加えたい作品がまだまだあるので、早く手軽に見られるようにしてほしい。
 作品紹介には、その作品の記憶に残る名台詞が一言づつ載せられ、思い出への入り口になっている。

    ◇

 映画館の記憶……………
 映画は大きなスクリーンの大音響で見る醍醐味がある。映画館の帰り道に、いま見た映画の余韻に浸ることもできる。出かけた街の様子もどこかに記憶され、映画とともに思い出の一部になる。
 だから、映画館っていい。
 しかし今、記憶にある映画館ってのは昭和の時代のものでしかない。
 
 かつてシネラマ映画館というのがあった。“スーパー・シネラマ方式”で上映される映画館は、テアトル東京と大阪OS劇場、そして名古屋の中日シネラマ劇場の3ヶ所しか存在せず、中日シネラマ劇場は世界一のワイドスクリーンを誇っていた。
 子供の頃、毎年正月には家族で映画館に行く我が家の習慣で、『アラビアのロレンス』も『サウンド・オブ・ミュージック』も『マッケンナの黄金』もここで観た。
 子供の目からすると、いまのシネコンのような楽しさがあったのかもしれないが、この大きな劇場の使命も90年代にして終ってしまった。

 正月以外は、ほとんど映画館へはひとりで行くものだった。
 高校生のころ、学校をサボッて名画座で観たアニエス・ヴァルダ監督の『幸福』。その映画館で初めて男色痴漢にあった記憶。
 東京では渋谷の某館の2階が、薔薇族たちのたまり場と言われていた。出没するのが分っていても、あそこの劇場の2階の一番前はスクリーンが見やすかったな。
 一番たくさん映画を観ていた青春期に、憶えている映画館の匂いは煙草の匂い。
 名古屋東映の2階にあった東映パラスでは、松田優作の『遊戯シリーズ』や『ヨコハマBJブルース』がよく似合っていた。いつまでも修繕されない壊れた椅子の後ろが毎回の指定席だ。
 日活ロマン・ポルノの館内はいつもすえた香り、椅子が狭くて前の客の頭がジャマで、席をいろいろ変えてうろうろしたり。悪条件ばかりだから思い出は残っている。
 
 この本の巻頭カラーには、昭和からつづく映画館が紹介されている。愛知県西尾市にある西尾劇場。映画のセットではないかと見間違うような佇まい。御年63年の映画館である。遠くはないから、一度行ってみよう。
 東映系列で館内にはスターたちのポスターがいっぱい。菅原文太がいる。高倉健がいる。梅宮辰夫がいる。千葉真一がいる。女優なら佐久間良子、賀川雪絵らしい写真も見える。あの頃、どこの小さな町にもあった系列劇場は、一歩入れば各社銀幕スターたちの砦だった。

 シネコン・スタイルになって、映画館が綺麗になり気持ちよく映画鑑賞ができるし、満員で立ち見なんてこともないし、途中で入場してくる人もなく、ストレスがないってのは良いことに決まっているはずなのに、快適な環境になればなったで今度は映画館の記憶が残らない。

 シネコンって、なんであんなにポップコーンを食べる客が多いのだ。ぼくは嫌いだ。
 そしていまの映画館では、好きな映画を繰り返し観ることができなくなった。あの頃は一日中映画館の中に居られたのに。
 ……何度も何度も繰り返し同じ映画を見た記憶………

シネマの手帖[昭和篇]
   発行:暮しの手帖社 
   定価:1,400円(税込)

映画遺産200[日本映画篇]



 キネマ旬報創刊90周年ということで、映画人・文化人・読者が選ぶ“心に残る珠玉の10本”『オールタイム・ベスト 映画遺産200[日本映画篇]』が出版されている。([外国映画篇]は近日刊行)

 1位から10位までのラインナップは以下のとおり。

    ◇

第01位 東京物語
第02位 七人の侍
第03位 浮雲
第04位 幕末太陽傳
第05位 仁義なき戦い
第06位 二十四の瞳
第07位 羅生門
第07位 丹下左膳餘話 百萬兩の壷
第07位 太陽を盗んだ男
第07位 家族ゲーム
第10位 野良犬
第10位 台風クラブ

    ◇

 昨年の12月1日は、ここで「 TEA FOR ONE 邦画オールタイムベストテン」を選出していた。
 よくある企画。
 キネ旬では過去30年の間にこれで5度目となり、半分はやはり不動の名作に占められているが(順位は若干変動している)、10年単位で顔ぶれの違う作品、それも70年代以降の作品が多く入るようになった。団塊世代以下の映画人が多くなれば当然だろうか。
 その象徴が『太陽を盗んだ男』と『仁義なき戦い』であり、作家性の強い森田芳光監督と相米慎二監督の作品も、日本映画史上に燦然と輝いていることは間違いない。

 映画人・文化人らが選出した10本の作品は同率1位として計算され2人以上に選ばれた200本が作品紹介。そしてジャンル別に選んだベスト・テン(「漫画原作ベスト10」「フィルムノワールベスト10」「ロマンポルノベスト10」「映画ポスターベスト10」等々)は面白くて好きな企画だ。
 その中から、お気に入りの石井隆と萩原健一の作品を探してみると、思わぬ作品が入っていたり、逆に、何で選ばれていないのだろうと不思議。

 石井作品『人が人を愛することのどうしようもなさ』と根岸作品『透光の樹』を並べた秋本鉄次は“らしい”選出で好感。
 他の石井隆作品は『天使のはらわた 赤い教室』『天使のはらわた 赤い淫画』『天使のはらわた・赤い眩暈』『ラブホテル』が選出されている反面、読者選出のオールタイム・ベスト200には『GONIN』97位と『ヌードの夜』118位の2作品のみであり好対照。読者選出には、石井作品に限らずロマンポルノはまだまだランクインされない現状である。

 ショーケン主演の映画では、映画人選出には『青春の蹉跌』に7人。『股旅』に4人。あとは『アフリカの光』『恋文』『約束』が1人づつ。
 行定勲監督が『恋文』を選び、塚本晋也監督が『青春の蹉跌』と『股旅』の2本を選べば、廣木隆一監督も『股旅』と『アフリカの光』。
 犬童一心監督は『約束』を次々点扱いで票には加算されなかったが、これが読者の選んだ200本となると『約束』が89位で一番支持されており、以下『青春の蹉跌』151位、『股旅』160位となる。切なく、ショーケンが彷徨えば心に残る。

 当たり前ではあるが、“心に残る映画”とは人それぞれのもの。


オールタイム・ベスト 映画遺産200[日本映画篇]
   発行:キネマ旬報社 
   定価:1,800円(税別)