TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「泥の河」*小栗康平

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1981_泥の河
監督:小栗康平
原作:宮本輝
脚本:重森孝子
音楽:毛利蔵人
出演:田村高廣、藤田弓子、朝原靖貴、加賀まりこ、桜井稔、柴田真生子、芦屋雁之助、殿山泰司。蟹江敬三、初音礼子、八木昌子

☆☆☆☆ 1981年/日本/105分/BW

 初見1981年6月。
 昭和30年代はじめの大阪安治川河口付近を舞台に、河っぷちの食堂の少年と、廓舟で軀を売って生活する母を持つ姉弟との束の間の日常を描いた作品。
 戦後10年ほどの、まだまだ戦争の傷跡が残っている時代背景に、3人の子どもたちがリアルな世界を灯し、その素晴らしい演技に魅せられてしまい、出演シーンは少ないが加賀まりこの存在感にも脱帽。
 そして、あの廓舟を追いかける有名なラストシーンには、当時映画館の席から立てないほどに涙にくれた映画なのだった。
 思い起こせば、小学生低学年に似たような環境が身近にあったことで、出会いと別離に自分を投影していたのだと思う。
 何度も観たい映画ではないが、こころに突き刺さったまま身体の一部に確実に残っている作品である。

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「日本の熱い日々/謀殺下山事件」*熊井啓

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するものです。

1981_謀殺下山事件
監督:熊井啓
脚本:菊島隆三
音楽:佐藤勝
出演:仲代達矢、山本圭、浅茅陽子、中谷一郎、井川比佐志、隆大介、大滝秀治、平幹二朗

☆☆★ 1981年/松竹/115分/BW

 初見1981年11月。
 俳優座の映画部門が製作した映画で、ほとんどが俳優座(元俳優座出身)の役者陣が名を連ねた作品。
 「松川事件」「三鷹事件」と並んで戦後日本に起った三大ミステリのひとつとされる下山国鉄総裁の変死事件「下山事件」を題材に、当時のニュース映像を交えて、捜査や報道に携わった人々を描いたもので、モノクロ画像で映し出される重厚な映像がサスペンスを盛り上げている。
 ただし、俳優陣の演技の熱量が高く(特に仲代達矢)、かなり暑苦しいドラマになっているので御用心。

「スローなブギにしてくれ」*藤田敏八監督作品

 以下作品は、映画前売券のコレクションとしての記録です。

1981_スローなブギにしてくれ
監督:藤田敏八
原作:片岡義男
脚本:内田栄一
撮影:安藤庄平
音楽:南佳孝
出演:浅野温子、古尾谷雅人、山崎努、竹田かほり、春川ますみ、赤座美代子、室田日出男、伊丹十三、奥田瑛二、岸部一徳、鈴木ヒロミツ、高橋三千綱、和泉聖治、林美雄、石橋蓮司、原田芳雄

☆☆☆ 1981年/東映・角川/130分

 初見1981年3月。
 当時の若者たちの(少なくとも自分には)バイブルであった片岡義男の短編小説『スローなブギにしてくれ』『ひどい雨が降ってきた』『俺を起こして、さよならと言った』の3篇を織り交ぜ、70年代の青春映画の雄・藤田敏八が監督。

 猫好きな少女浅野温子…バイク好きの青年古尾谷雅人…白いムスタングを駆る中年男山崎努…この三人を軸にした〝新しい青春映画〟の企画だったはずが、藤田敏八と内田栄一は、いまだに青春を抜け出せないでいる中年男にスポットを当てることでアンニュイな世界を創り上げている。
 ただ、藤田敏八の80年代に入っても未だ70年代をひきづった感覚が中年男への感情移入となっているので、モダンでスタイリッシュな片岡義男の作風とのズレに気恥ずかしい気分にさせられた。

 藤田敏八作品にはお馴染みの俳優陣に囲まれた〝新人〟浅野温子の存在感は圧倒的。70年代の秋吉久美子から80年代の浅野温子への流れである。
 
 物憂げなメロディが素晴らしい主題歌「スローなブギにしてくれ」。
 〝アーヴァン・ポップ〟の先駆者として70年代からボサノヴァ、サンバ、ジャズなどの要素を取り入れながら、都市に生活する男と女のクールな心情を温かく包み込むような優しさで歌ってきた南佳孝。
 毎回の角川映画の戦略通り大量のTVスポットで流され大ヒットしたのだが、70年代からの南佳孝ファンとしては何をいまさらと思っていたりしたのである。

「キネマの天地」*山田洋次監督作品

 以下作品は、映画前売券のコレクションとしての記録です。

1986_キネマの天地
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、井上ひさし、山田太一、朝間義隆
音楽:山本直純
出演:有森也実、中井貴一、渥美清、倍賞千恵子、すまけい、美保純、岸部一徳、松坂慶子、田中健、レオナルド熊、堺正章、桜井センリ、平田満、財津一郎、桃井かおり、石倉三郎、ハナ肇、前田吟、笹野高史、吉岡秀隆、粟津號、佐藤蛾次郎、柄本明、なべおさみ、大和田伸也、広岡瞬、山城新伍、アパッチ研、山田隆夫、由井昌由樹、木の実ナナ、笠智衆 / 九代目松本幸四郎、藤山寛美

☆☆☆ 1986年/日本・松竹/135分

 初見1986年8月。
 この年、蒲田撮影所から大船撮影所に移転し50周年を迎えた松竹が記念映画として製作したのが本作。
 サイレントからトーキーになった日本映画の転換期に、カツドウ屋として映画を愛し情熱を注いだ若き監督や作家たち、女優・俳優たちの青春群像劇だ。

 ヒロインは映画館の売り子からスター女優になった小春。演じた有森也実はこの作品でデビューしたのだが、じつは当初、小春役には藤谷美和子がキャスティングされていたのだが藤谷のスケジュールの都合で降板となり、大抜擢されたのが有森也実。まさに、役のままにシンデレラ女優となったわけだ。

 松竹映画(蒲田=大船撮影所)の歴史を描くわけだから、当然そこに出てくるのは往年の監督やスターたちがモデル。
 ヒロインの小春は田中絹代。岸部一徳演じる緒方監督は小津安二郎で、堺正章演じる内藤監督は斉藤寅次郎。九代目松本幸四郎が城戸所長を演じ、松坂慶子は〝世紀の恋の逃避行〟で当時の世間を驚かせた岡田嘉子。等々、といった具合で他にも面影を偲ばせる人物はいるのだろうが、ぼくが知りえるのはこの5人くらい。

 山田洋次作品らしく「寅さんファミリー」も随所に散らばり、エンターテインメントな〝キネマの世界〟が楽しく展開する。



「ハワイアン・ドリーム」*川島透監督作品

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するのみです。

1987_07_ハワイアン・ドリーム
HAWAIIAN DREAM
監督:川島透
脚本:川島透
撮影:前田米造
音楽:加藤和彦、朝妻一郎
主題歌:竹内まりや「夢の続き」
出演:時任三郎、ジョニー大倉、桃井かおり、タムリン・トミタ

☆☆☆ 1987年/東宝/111分

 初見1987年8月。
 2015年11月19日に62歳の若さで他界したジョニー大倉。やんちゃなロッカーが、またひとり天国への階段を上ってしまった。
 ジョニー大倉出演映画は、日本アカデミー賞優秀助演男優賞を獲った根岸吉太郎監督作品『遠雷』(’81)も良かったが、翌年の曽根中生監督作品『悪魔の部屋』(’82)が好きだ。
 麗しき中村れい子と、ほとんどふたりだけの密室芝居。2本ともギラついたエネルギーに付き動かされた演技だった。
 もう1本、池田敏春監督の『魔性の香り』(’85)の存在感も忘れ難い。石井隆ワールドとして、運命の女に翻弄される男を好演していたのだが、相手役にもっと恵まれていれば、作品ともども評価も高かったろうに……。

 さてこの『ハワイアン・ドリーム』は、『竜二』(’83)で監督でビューした川島透監督の3作目。故・金子正次の脚本で製作した前作『チ・ン・ピ・ラ』(’84)の続編的作品で、バブル期真っ只中ということもあり潤沢な製作費で豪華に製作されている。
 2作ともに弾けた演技を見せていたジョニー大倉だった……。
 竹内まりやの「夢の続き」が映画の切なさを上手く表していた。
 


「カポネ大いに泣く」*鈴木清順監督作品

 以下作品は、映画前売券のコレクションとして記録するのみです。

1985_カポネ大いに泣く
監督:鈴木清順
原作:梶山季之
脚本:大和屋竺、木村威夫、鈴木岬一
音楽:井上尭之
出演:萩原健一、沢田研二、田中裕子、チャック・ウィルソン、柄本明、樹木希林、加藤治子、梅宮辰夫、阿藤海、峰岸徹、常田富士男、ベンガル、たこ八郎、平田満

☆☆☆ 1985年/松竹/130分

 初見1985年2月。

 昭和初期、芸者の小染(田中裕子)は旅回りの役者・桃中軒海右衛門(萩原健一)と深い仲になり、サンフランシスコに駆け落ちをする。
 口入れ屋に騙され無一文になった二人は、小染は女郎になり、海右衛門は街頭で浪花節をうなる乞食生活。そんなとき、彼らの前に現れたのは横浜ハウスに巣食う日本人で、通称“ガン鉄”こと大西鉄五郎(沢田研二)。
 海右衛門とガン鉄は、当時シカゴからシスコに進出し始めたアル・カポネ(チャック・ウィルソン)に対抗するために密造酒作りをはじめるのだが、だんだんと追いつめられていく。
 そして、小染は自動車事故で死に、ガン鉄はフグの毒で中毒死。海右衛門は切腹するのであった。

    ◇

 ストーリーの滅茶苦茶なところが、清順映画の良い意味でのチープさだから楽しい作品である。
 破天荒に暴れるショーケンと、気っぷのいい姐さん田中裕子が見ものだが、ジューリーはちょいと損な役回りだったかな。でも、綺麗なジュリーが見られるので良しでしょ。


「せんせい」*山城新伍監督作品


監督:山城新伍
脚本:重森孝子
撮影:鈴木耕一
音楽:津島利章
題字:佐久間良子
主題歌:「望郷」上田正樹
出演:松方弘樹、梅宮辰夫、渡瀬恒彦、千葉真一、北大路欣也、山城新伍、南果歩、沢田亜矢子、蟹江敬三、水島道太郎、室田日出男、冨士真奈美、倍賞美津子、地井武男、津川雅彦

☆☆☆ 1989年/松竹/119分

    ◇

 廃校が近い東京・下町の中学校を舞台に、型破りな教師と生徒たちとのふれあいを描いた作品で、松方弘樹、梅宮辰夫、千葉真一、北大路欣也、山城新伍、渡瀬恒彦の6人が立ち上げた〈トムソーヤ企画〉が製作した1本。

 東京・佃島にある創立100年の歴史を持つ佃二中は、土地開発のため夏休みにとり壊されることになっていた。
 一学期の終業式で教頭(室田日出男)がその報告をしたが、生徒も教師も真面目に聞いている者は少ない。そんな中で国語を教えている中島(渡瀬恒彦)は、夏休みを利用して落ちこぼれの生徒たちに正規の授業でできなかったことを教えようと提案。初めは誰も賛同してくれなかったが、若くて美しい音楽教師の桜井桃子(南果歩)が手伝うことになると、数学(松方弘樹)、理科(地井武男)、社会(千葉真一)、英語(梅宮辰夫)らベテラン教師も一緒にやろうと言い出した。
 授業の初日。教室には氷屋の娘で美人の礼子や、彼女らに引き連れられた落ちこぼれの生徒たち数人が集まり、生徒たちのリクエストで、先生たちはそれぞれ得意なことを教えることになった。女にモテる方法や喧嘩の仕方、ローラースケートやカラオケ、料理など、教える方も教わる方も喜びを感じ始めるのだった。
そんな楽しそうな雰囲気に、ほかの進学希望の生徒たちも集まるようになった。
しかし気に入らないのは塾の経営者(津川雅彦)と高校受験を心配する父兄たち。教育委員会に申し立て、委員(山城新伍)からクレームがついて授業は中止となる。
 落ち込んでいた中島は、癌で寝たきりの女子生徒の父親に祭りを見せてやろうと計画し、再び生徒を集めた。今度も町内会からクレームがついたが、神社の宮司でPTA会長(北大路欣也)の計らいもあり、先生と生徒たちは自分たちの意志で祭りの準備のため神輿づくり
に取り掛かる。そして、祭りは成功に終わるのであった。 

    ◇

 “奴らが泣かせる 大人のメルヘン”

 強面のメンツが学校の先生を演じるっていうだけで、そのギャップある設定が面白そうだったけど、これがベタベタなセンチメンタルなお話。
 古くさく、見え見えのお涙頂戴なのだが、心に沁みる。

 山城新伍の監督ぶりは4本目だけに手堅くオーソドックス。下町の風情から、人間味ある市井の人々を描きながら、日本の教育現場への注文、というより本来の教育者の姿とは何ぞやと問いかけ、理想の姿を求めるかたちになっている。
 まぁ理屈っぽい山城新伍らしい演出なのかもしれない。

 東映の朋友たちがさぞ楽しんで作ったろうなと想像したが、近年、松方弘樹がこの映画の裏話を語ったとこによると、やはり結構大変だったらしい。

 プロデューサーは千葉真一。金を集めるから出演者を集めてくれと松方弘樹に相談したところからこの企画が始まり、倉本聰が「トムソーヤの冒険」のような話を第一稿に書き上げたが各人のスケジュールの都合が合わずボツ……。そして脚本家が変わり、廃校を舞台にした下町ほのぼの物語になったのである。

 当初は千葉真一が監督するつもりだったようだが、監督経験者の山城新伍が名乗りを上げ上手くまとめて進行するはずが、撮影に入るとみんなが演出したがるのでテンヤワンヤ。
 興業的にも大コケした。赤字分を渡瀬恒彦除く5人で出演した入浴剤のCMでペイしたという。
 豪華競演で話題になった1990年の『バブルスター』CMはそんな因縁があったのだが、結局このスポンサーも如何わしい会社であったため薬事法違反に問われ、バブル景気とともに泡と消えたのであった。