「反撥」

REPULSION
監督:ロマン・ポランスキー
脚本:ロマン・ポランスキー、ジェラール・ブラシュ
撮影:ギルバート・テイラー
音楽:チコ・ハミルトン
主演:カトリーヌ・ドヌーブ、イヴォンヌ・フルノー、ジョン・フレイザー、イアン・ヘンドリー、パトリック・ワイマーク
☆☆☆☆ 1965年/イギリス/105分/B&W
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カトリーヌ・ドヌーブ22歳。恐ろしいほど美しい。
まさに“美しきブロンドの狂気”である。
思春期の少女のセックスへの興味と嫌悪が狂気に変わっていく様を淡々と描くロマン・ポランスキー監督の心理ドラマは、『シェルブールの雨傘』で可憐な少女を演じ一躍大スターになったカトリーヌ・ドヌーブを、一転してモダン・サイコ・ホラーのヒロインとして輝やかせている。
アンドロイドのような無機質さで、色気を感じさせないカトリーヌ・ドヌーブではあるが、それがとても儚く、壊れていく様が美しい。
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英国で働くポーランド人姉妹。姉のヘレン(イヴォンヌ・フルノー)は外交的で、コスメティック・サロンに勤める美しい妹のキャロル(カトリーヌ・ドヌーブ)は内気な少女。キャロルはヘレンを保護者のように慕いながら日々を送っている。
ヘレンには妻のいるマイケルという愛人がいて、最近は毎夜部屋に連れて来ては夜を過ごしているのだが、キャロルにとっては不快な人間。洗面所に置かれた、男が使う剃刀や歯ブラシを見ては嫌悪している。
毎晩のように隣の部屋から聞かされる情事の喘ぎ声に恐怖と憎悪を募らせていくが、その一方で、男性への官能を妄想するようになり、次第に精神を狂わせていくようになる。
ヘレンとマイケルがイタリアへ旅行をすることになり、10日間のあいだキャロルはひとりで過ごす事になる。心細さも加わり、キャロルは幻覚を見るようになる。
そして、彼女の強迫観念がついに…………。
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ドヌーブの目のクローズアップにキャスティング・クレジットが流れるようにスクロールするオープニングや、アパートメントの一室の壁に突然起こるヒビ割れや無数の手。そして、ウサギ料理の腐敗とキャロルの心的状況の時間経過や、数々のキャメラ・ワークの工夫など、後々、多くの映画にシンパシーを与えたスリラーである。
空想癖と妄想癖で内向する子供のままのキャロルだから、自分の手の甲を舐めながらポットに映る自分の顔を眺めるシーンなんかは、とにかくイッちゃってる女の子の目で、大部分で台詞の少ないドヌーブの演技は、すべて目の動きに集約されている。
映画はほとんど密室劇といっていいが、職場とアパートメントの往復で何度か映される街を彷徨うシーンでは、キャロルの心的状況の変化が見てとれる。
キャロルに声を掛ける肉体労働者がいると思えば、次に、キャロルの妄想として寝室に侵入する乱暴者として登場し、キャロルはいつしかその乱暴者を待ちわびるようにまでなる。
嫌悪と期待が入り交じりながら、閉ざされた空間で叫び声ひとつ上げずに狂っていくキャロルなのだ。
床に置いたキャメラからのアングルや、チコ・ハミルトンのシンプルなジャズや、パーカッションの力強い効果音が、観るものの心まで不安定にさせ不気味さを醸し出していく。














