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TEA FOR ONE

まぁお茶でも飲みながら気ままに、好きなことを、すこ~しネタバレしながら、のんびりと………。

「赤い雪」*甲斐さやか監督作品


監督:甲斐さやか
脚本:甲斐さやか
音楽:YAS-KAZ
出演:永瀬正敏、菜葉菜、井浦新、夏川結衣、佐藤浩市、坂本長利、吉澤健、眞島秀和、紺野千春、イモトアヤコ、好井まさお

☆☆☆★ 2019年/アークエンタテインメント/106分

    ◇

「実際起ったことと記憶は別物だと思うけどね」


 30年前の雪の日、白川一希(永瀬正敏)の弟が姿を消した。あの日、自分が弟を見失ったせいだと思い込み、心に深い傷を抱えた一希は、記憶を消す作業のごとく、漆塗りに集中する日々を送っていた。

 当時、弟を見失った辺りのアパートに住んでいた江藤早奈江(夏川結衣)が、少年誘拐の容疑者として浮上するも、確たる証言も取れず、完全黙秘のまま真実は闇へと葬られていた。
 その後アパートから姿を消した早奈江の周りでは、三人の男性が死亡し、火災事件も起き、火事現場からは少年らしき白骨死体も発見されていたのだが、事件は時効を迎え、残された家族の苦しみだけが残されていた。

 事件の真相を追うジャーナリスト木立省吾(井浦新)は、当時、早奈江には幼い娘がおり、その娘が全てを目撃していたのではないかとして行方を追っていて、その娘、早百合(菜葉菜)の居所を突き止めた。
 ある日一希の元を訪れた木立は、早百合から真実を聞き出し楽になろうと誘うが、戸惑いを見せる一希だった。

 早百合は、一希の住む地からすぐ近くの島で、旅館の下働きをしていた。島の雑貨店で万引きをし、旅館の客の金をくすめたり、従業員仲間からは男グセの悪さや陰口を叩かれている女で、年配の男とだらしなく陰湿な生活の日々を送っていた。
 同棲している宅間隆(佐藤浩市)は、母親早奈江の元恋人で、酒を飲んでは早百合を抱き、暴力を振るっている。
 抵抗するも宅間から離れられない早百合は、母親のことでか何かしら負い目を感じていた。

 そして、一希が小百合に会う決心をしたことで、被害者の兄と容疑者の娘という、共に心に傷を持つ男と女が交錯していく…
 事件の真相は…

     ⭐︎

 事件関係者のもがき、生きることの叫び、忘却、諦め、どれもが狂気となって突き刺さってくる…
 深雪の景色が朱色に塗り替えられるイメージは、四人の俳優たちの躰の奥から、漆のドロリとした深紅が滲み出してくる感覚を覚えるからだろう…
 圧倒される演技、陰惨で薄気味悪さの存在感に、観る者の感情が揺さぶられる…

 夏川結衣の鬼畜ぶりが凄い…石井隆作品へふたたび登場を願いたいくらい、その不気味な笑みに震えた…無頼な佐藤浩市も、曖昧さが不穏な永瀬正敏も、三人とも石井隆組じゃないか…

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「チープ・スリル」50周年記念エディション


Big Brother & The Holding Co. / SEX,DOPE & CHEAP THRILLS

 27歳の若さで亡くなったジャニス・ジョプリン…伝説のシンガーと言われるのも、活動期間が3年に満たないなかで疾風の如く駆け抜け残していったアルバムとステージ記録が、いまだに強烈な印象を我々に与え続ける存在になっているからだ。

 ビッグ・ブラザー&ザ・ホールディング・カンパニーのバンドの一員として残した初期のアルバムの2枚目『CHEAP THRILLS』は、1968年に発足したばかりのCBS・ソニーレコードのROCKアルバムとして最初の日本リリースだったはず(洋楽としての第1回新譜はサイモン&ガーファンクル)。

 本作は「チープ・スリル」セッションから大量の未発表音源をまとめた50周年記念エディション(2CD)。
 当時『CHEAP THRILLS』はフィルモアでの実況録音盤とされていた(ジャケのオモテにしっかり書かれていた)が、実は擬似ライヴにアレンジされたスタジオ録音だったことは周知のとおり、これまでもアウトテイクが発表されてきたが、今回は収録の30曲中25曲が初出音源で、29曲のスタジオ・セッションと「ボール&チェーン」のみ1968年4月12日のサンフランシスコ・ウィンターランドでのライヴという豪華さ。

 Disc1からオリジナル盤通りの曲順ながらすべて別テイクということで、新たな『CHEAP THRILLS』として聴き応えは十分だ。もちろん、アウトテイク集だから未完成テイクもあるが、生き急いでいるかのように激しいジャニスの歌唱は見事に聴くものの心を掴んでゆく。
 
 当時は過激だった“セックス”“ドラッグ”の言葉、レコード会社が却下した幻のオリジナル・タイトル「SEX,DOPE & CHEAP THRILLS」を表記したネオ・チープ・スリルだが、カバーアートとしてはインパクトあるコミック作家ロバート・クラム(フリッツ・ザ・キャットが有名)のオリジナル盤の方が、思い入れもあるしやっぱり好きだな…

 日本盤の半額以下で輸入盤の方を買ったのだが、グレース・スリック(ジェファーソン・エアプレイン)のライナー訳だけは読みたかったかな…

Disc 1
01. Combination Of The Two (Take 3)
02. I Need A Man To Love (Take 4)
03. Summertime (Take 2) *
04. Piece Of My Heart (Take 6)
05. Harry (Take 10)
06. Turtle Blues (Take 4)
07. Oh, Sweet Mary
08. Ball And Chain (live, The Winterland Ballroom, April 12, 1968)
09. Roadblock (Take 1) *
10. Catch Me Daddy (Take 1)
11. It's A Deal (Take 1) *
12. Easy Once You Know How (Take 1) *
13. How Many Times Blues Jam
14. Farewell Song (Take 7)

Disc 2
01. Flower In The Sun (Take 3)
02. Oh Sweet Mary
03. Summertime (Take 1)
04. Piece of My Heart (Take 4)
05. Catch Me Daddy (Take 9)
06. Catch Me Daddy (Take 10)
07. I Need A Man To Love (Take 3)
08. Harry (Take 9)
09. Farewell Song (Take 4)
10. Misery'n (Takes 2 & 3)
11. Misery'n (Take 4)
12. Magic Of Love (Take 1) *
13. Turtle Blues (Take 9)
14. Turtle Blues (last verse Takes 1
15. Piece Of My Heart (Take 3)
16. Farewell Song (Take 5)
*は既発曲

「銃」*武 正晴監督作品

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監督:武 正晴
原作:中村文則
企画:奥山和由
脚本:武 正晴、宍戸英紀
音楽:海田庄吾
出演:村上虹郎、広瀬アリス、リリー・フランキー、日南響子、新垣里沙、岡山天音、後藤淳平(ジャルジャル)、村上淳

☆☆☆☆ 2018年/KATSU-do/97分

    ◇

 芥川賞作家中村文則のデビュー作の映像化作品…

 大学生のトオル(村上虹郎)は、雨の夜の河原でひとりの男の死体と共に放置されていた拳銃を手にし、自宅アパートに持ち帰る。
 やがて、その銃は彼にとってかけがえのない宝物のような存在になり、大切に扱うようになる…銀色に光り輝く銃は美しき恋人の如く、トオルの大学生活の心的様相を鮮やかに変えてゆく…。

 悪友のケイスケ(岡山天音)に合コンへ誘われたトオルは、その夜出逢った女と一夜を過ごす。翌朝、女の部屋で目覚めると、女がトーストを焼いていた。
 朝食をとりながらテレビを見ていると、あの銃と男の遺体が発見されたというニュースが流れ、途端に気分が悪くなったトオルに対し、優しく接する女。
 その日以来、トオルは彼女のことを“トースト女”(日南響子)と頭の中で呼日、セックスフレンドとして、度々性欲を吐き出すようになった。

 トオルのアパートの隣の部屋から、時折、子供の泣き声と我が子を罵倒する母親(新垣里沙)の声が漏れてくる。それはトオルにとって、親との忌まわしい過去をよみがえらせる。

 大学では帰国子女のユウコ(広瀬アリス)と知り合い、やけにフレンドリーなユウコとはセックスの対象ではなく、あえて時間をかけて親しくなることを計画…それは魅惑的なゲームともいえた。
 優等生的なユウコとトースト女、ふたりの女のあいだで自分なりのバランスをとってゆくトオル…。
 日々、銃に惹かれていくトオルはやがてカバンに入れて持ち歩くようになり、その刺激がトオルをさらに高揚させていった。

 ある日、トオルのアパートをひとりの刑事(リリー・フランキー)が訪れ、近くの喫茶店で対峙する。刑事は、トオルと銃のすべてを知っているようにしゃべり出す。

「人間を殺すとね、不思議なことかもしれませんが、普通の理性でいれなくなるそうですよ」

 そして、刑事からある言葉が発せられたとき、トオルは後戻りのできない“どこか”に、否応なく踏み出していくのだった…。

    ◇

〜ツイッターまとめ〜

 開巻、濡れた画面と雫に石井隆のあの映画のイメージが重なったが、それも一瞬のこと…主人公のモノローグが入ったところから映画の着地点を求め、不安とスリルの虜になっていた…終幕は、鮮やかなカタストロフに息を飲む…
 間違いなく、これ傑作…

 銃を持ったことでフツフツと湧き上がる狂気を抑えつつ、モノクロームに映える白いシャツで疾走する主人公トオルの孤独は、色彩に惑わされないモノクロームだからこそ寄り添えた…
 トオルが唯一、黒いシャツで挑む最初のクライマックスは刑事との対峙シーン…村上虹郎はどのシーンを切り取っても、とてもとても悩ましい…

 生々しさは音の世界にまで及んでいる。隣の部屋からの怒声、それをかき消そうとするスピーカー音、喫茶店の客たちの声、深夜の公園の黒猫の叫び……なんとも挑発的に響いてくる…

 まぁとにかく村上虹郎の存在感に尽きる…今後、企画中の石井隆の新作『SEVEN』への期待と、ダークな石井隆ワールドへの布石も感じながら、男の色気を堪能した…

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ツイートまとめ〜石井隆ブラックな世界〜2018.09-11

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『天使のはらわた 赤い閃光』
名美のリビングからちひろのバーカウンター、ちひろのベッドからラブホのベッドへと、遮断される屋外の喧噪…外界は土砂降りの忌わしい悪夢…ビデオカメラのテープの中からテレビ画面の中へと殺戮は移動し、充満するのは石井ブラックな世界…
#石井隆
#川上麻衣子

『ヌードの夜~愛は惜しみなく奪う』のポスターって、『夜がまた来る』のラストシーンと相対的な図案だよね…ちひろの銃弾も、名美の銃弾も、より鮮烈に魂を射ぬいてくるから、何回観ても胸が苦しくなる…
#石井隆

『夢犯』のDVDジャケが、美麗・赤坂麗を求めるファンから評判が悪いのはリリース前からなのだが、70年代の石井隆劇画を読んできた者からすれば、PYTHON357の今世紀版として難なく受け入れることはできるんだよね…黒の天使じゃないところがミソ…
#石井隆

優と名乗る『夢犯』のヒロインは、原作の名無しのヒットマン(名美に間違われる)とは様相を変えたが、どちらもブローニングを所持している…黒天のガバメントやS&W、ましてやパイソンなど握らせず、峰不二子のように美貌に合わせた武器の選択である…
#石井隆

何を言っているかと笑ってくれていいが『アトミック・ブロンド』鑑賞中、ずっと石井隆の匂いを嗅いでいた…有無を言わせないクール・ヴァイオレンス、血の香り漂うトーン、死臭塗れの銃撃と格闘に石井ノワールを重ね合わせ、新たなる石井隆のヴァイオレンスを絶対に観たいと…
#石井隆

石井隆×安川午朗の作品集…18年前『フリーズ・ミー』公開に伴って「名美の総て」と題して企画され頓挫した経緯もある…今度は『SEVEN』で実現させてくれ…奥山さん、サントラのリリースも念頭に入れて、お願い…
#石井隆
#安川午朗
#奥山和由

安川午朗の「石井隆作品集」アルバムをリリースして欲しいよ…
不覚にも『黒の天使 vol.1』のサントラ盤のことを忘れていたが、石井隆×安川午朗の作品集がGONIN&GONINサーガ(BOX限定CD)の3点だけなんて…他作品サントラがいっぱい出ているのに、寂しい…
#石井隆
#安川午朗

『GONIN サーガ』における土屋アンナや福島リラ、水泳で鍛えた体躯の井上晴美らの銃を構えた姿には惚れ惚れしたが、均整のとれた立ち姿で言えば屋敷紘子のガン・アクションも見たかった…次は必ず見せ場を…
#石井隆

石井隆のピカレスクって、名美的女が欲望と暴力で迫る男たちに銃で立ち向かった【パイソン357】(’75)から、杉本美樹の『赤い手錠(ワッパ)』に触発されながら描かれた【黒の天使】(’82)までのヴァイオレンス・ノワールが源にあるから、やはり女たちのガン・アクションは不可欠…
#石井隆

「SEVENのようなものを本気でやるのは狂気の沙汰…(《映画秘宝》奥山和由Pインタビューより)」とは、如何なるシナリオ、キャスティングなのか…やけどしそうな言葉に狂喜…
#奥山和由
#石井隆

70年代石井劇画に初めて村木が登場したのが【横須賀ロック】…その後【緋の奈落】【夜に頬よせ】などに無頼の村木像の原型があり、80年代には小市民的な村木が存在するのだが、佐藤浩市はそのどちらでもいける…
#石井隆

池部良の律儀さと色気を持った俳優をなぞってみたら、佐藤浩市が浮かんだ…『GONIN』における佐藤浩市扮する男は、名前こそ“万代”だが村木哲郎とも読み取れる存在…根津甚八亡き後の三人目の村木に思いを馳せると、佐藤浩市の村木像はピタリと嵌る…
#石井隆
#GONIN

石井隆の劇画における村木姓は『乾いた花』の池部良扮するヤクザの名前から頂いた、と何かで読んだ気がする(間違っていたらごめんなさい)…艶やかで謎めいた女に翻弄される中年やくざ、ここが村木哲郎の原点のひとつと考えてもあながち間違いとは言えないだろう…
#石井隆
#乾いた花

『永遠の詩(狂熱のライヴ)』グッズ詰め合わせ



 twitterで告知されていたLed Zeppelin「『永遠の詩(狂熱のライヴ)』グッズ詰め合わせ」プレゼントに応募し、9月末に当選報の通知が来た…

 そして昨日、ワーナーより荷物が届いた…
 Tシャツは黒のLサイズ…ジャケットの絵柄を模した額絵はオリジナル・レコードと同じようにエンボス加工され、欧米仕様の厚紙変形サイズの告知ポスターは両面別デザインで、4点目はターンテーブル用マット…

 当選者はたったの5名…久々のくじ運の良さに、これで今年の運は使い果たしてしまったかな?

「抱きしめて」有沢とも子



有沢とも子◆ 抱きしめて/あなたの面影 1969年

 荒木一郎がスカウトしたと言われる梶芽衣子の実妹の歌手デビュー曲であり、荒木一郎に取っても初のプロデュース作品。
 両面ともに作詞・作曲が荒木一郎で、編曲は川口真。

 「抱きしめて」は、荒木一郎らしいメロディに乗ったポップなサウンドで、当時深夜放送で聞き及んでいたが残念ながらヒットするには至らなかったなぁ。
 結局、翌1970年にレコード会社を移籍し、太田とも子として再デビューしたわけで、同時に梶芽衣子のヒット・シリーズ「野良猫ロック/マシン・アニマル」に実名歌手本人として登場し、2曲(「恋はまっさかさま」「とおく群衆を離れて」)を披露…ここでクールビューティーなお姿拝見ということになった…

 ただ、やはり姉・梶芽衣子の名前の大きさに翻弄されてしまった感もあり、1971年リリースの「甘い嘘」を最後に芸能界を去ってしまった。
 そして、梶芽衣子の自伝『真実』によると、既に他界されていたことが記述されていて驚いた。
 姉・梶芽衣子の名前の大きさに翻弄されてしまった不幸もあるのだろうが、5枚のシングルと映像がファンのこころに残されていることに感謝…

『女優芹明香伝説』



 1996年の幻のロング・インタビュー復活本『女優芹明香伝説』を購入してきた!
印刷とはいえサイン入りポートレイトがなんか嬉しいし、解説入り完全フィルモグラフィーも喜ばしいのだが、誤植が6か所もあるのはいただけないな…
 …それはさておき、あの頃夢中になっていた彼女の作品を、ふたたびじっくりと観たくなってきた…


[第1章]エッセイ
  白けちゃいないけど…ポルノ女優の告白
[第2章]インタビュー
  ロング・インタビュー「私の足跡」(1996年)
  「芹明香は芹明香である」トークショー採録(2016年)
[第3章]芹明香研究会 [名花]
[第4章]フィルモグラフィー
  映画作品・OV作品・テレビ作品


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    ◇

女優芹明香伝説/芹明香・述、鈴村たけし/鵜飼邦彦・編
【ワイズ出版】
定価 2,200円+税